《【WEB版】王都の外れの錬金師 ~ハズレ職業だったので、のんびりお店経営します~【書籍化、コミカライズ】》236.魔力の種

「さてと、今日は何をしようかしら」

調合をするか、と思って振り返ってみる。すると、マーカスがポーションを調合中だった。

ルックは今日は學校がお休みらしい。彼はマーカスの橫でビーカーを出したり、下処理をしたりといったお手伝いをしている。

二人で間に合ってそうね。

ならばと、パン工房まで足を運んで様子を見てみる。

すると、ミィナの指示のもと、アリエルとウーウェンがせっせと働いている。

そして、ふわふわと宙に浮くピーターとアリスが、イートインで食事をしているお客さんのおしゃべり相手をしていた。

多分、こちらも人手は足りていそうなじだ。

……なら、畑の様子を見に行こうかしら?

そうと決まれば話は早い。

まずは、栄養剤りのお水をやる必要があっても困らないように。私は、保管庫から栄養剤りの瓶を取り出して、ポシェットにれる。

次に、いつも畑のお世話をしてくれている霊さんと妖さんのために、お禮のジャムを持っていこう。

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私は廚房に行って、小さなお皿とスプーン、そしてジャムのった瓶をいくつか取り出した。

廚房の窓から差し込む日差しは、暖かな春の日差しだ。

それを見て、私は思いついた。

「春だから、作りたてのいちごジャムにしようっと」

私はそう呟いて、ジャムの瓶の蓋を開けた。

そして、小さなスプーンでジャムを數回皿に移す。

「よし、行こう!」

私はジャムを盛ったお皿を手にして畑に向かった。

「みんな、おはよう!」

し遅い朝の挨拶を畑へ向かって投げかけると、わぁっと妖さんや霊のリコが近づいてくる。

「「「おはよう、デイジー!」」」

私の周りを舞うように彼らがクルクルと辺りを飛び回る。

「いつも畑のお世話をありがとう。今日は、旬のいちごのジャムを差しれに持ってきたわ」

そう言って私が彼らにお皿を差し出すと、わっとみんながお皿を覗き込んだ。

「わぁ! あまーいジャムだ!」

「いちごだ!」

味しそう!」

みんなの目が赤いジャムに釘付けになる。その瞳はキラキラと輝やいていた。

「じゃあ、棚の上に置いておくから、みんなで仲良く食べてね」

「「「はーい!」」」

とは言いながらも、押すな押すなとお皿に群がる妖さん達が微笑ましい。私は彼らを橫目に見ながら、くすりと小さく笑うのだった。

そんな私は、不意に肩をトントンと小突かれた。

リコだ。

「ねえねえ、デイジー。私達に特別にジャムをくれたんだもの。植達にも、栄養剤りの特別なお水をあげたらどうかしら?」

そう言ってリコが片目でウインクする。

「……そうねえ」

私が、どうしようかな、と思って植達の狀態を見ようと思って畑を見回す。

すると、青と赤の二のマンドラゴラさんが、嬉しそうにお花を揺らして歌い出した。

「「栄養剤りの、味しいお水〜♪」」

ばっちりと私達の會話を聞かれていたらしい。

「聞かれちゃったわ」

「もう、あげないわけにはいかないわね」

私とリコは顔を見合わせ、肩をすくめて笑いあう。

私とリコは、ジョウロが置いてある棚に向かう。

そして、ジョウロの中に栄養剤をれて、水魔法で作り出した水を足していく。

「「デイジー、早く〜♪」」

待ちきれないといった様子のマンドラゴラさんが、私に催促してくる。まずは彼らに特別製のお水をあげないと、大人しくはしてくれなさそうね。

私は、まずはマンドラゴラさん達が植っている場所へと移する。

「お待たせしました。たっぷり飲んでね」

サアァッとジョウロの口(くち)から溢れる水が、彼らを、そして彼らが植っている土を濡らしていく。

「「わーい!」」

マンドラゴラさん達は、嬉しそうにを揺らした。

さて、他の子達にもたっぷり味しいお水をあげないとね。

「リコ、一緒にまわりましょう」

「いいわよ!」

そうして、二人で順番に水を撒いて回った。

「最後はあべこべの木ね」

そう思って、水を撒こうとしたときだ。

……あれ?

どうも、見たことのない形をした実がっていた。

「ねえ、リコ」

「どうしたの? デイジー」

「……あべこべの木に、おかしな実がっているわ」

「えっ?」

あべこべの木というのは、同種族の植配に適した木で、他の木で配を行うよりも新種ができる功率が高い。

そう考えると、新しい新種の実が出來ていても不思議ではないのだ。

「一何が出來ているの?」

リコが私に尋ねてきた。

「ちょっと待ってね……」

私は、鑑定の目に切り替える。

【魔力の種】

分類:種子類

品質:高品質

レア:A

詳細:一時的に魔法威力が上がる。

気持ち:魔導師垂涎(すいぜん)の品だね!

それは、やっぱり新種の種だった。

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