《【WEB版】王都の外れの錬金師 ~ハズレ職業だったので、のんびりお店経営します~【書籍化、コミカライズ】》243.実家の人々の思いやり
「デイジーお姉様! 目を覚ましてくれたのですね!」
お母様の隣に並ぶようにして、リリーが嬉しそうに私の手元に手をばした。
「心配してくれたのね。ありがとう、リリー」
私は手をばしてくるリリーの方に手を差し出す。すると、笑顔のリリーがぎゅっと私の手を握ってくれた。
「お加減はどう? お姉様」
リリーが若干不安そうな顔をしながら、首を傾げて私に尋ねてくる。
「お醫者様が指示してくださったハーブを飲んでいたら、きっと良くなるわ」
お母様はリリーを安心させようとしているのだろうか。リリーの頭をでながら易しく説明したので、私も笑顔を浮かべてリリーに向かって頷いた。
それを聞くと、リリーの曇った顔が、明るくなっていく。
「じゃあ、お姉様! 元気になったら、私の研究についてお話をさせてください!」
リリーは、國民學校の錬金科で教鞭を取っている、ホーエンハイム先生のお宅のお孫さんのところへ訪問しているらしい。その果を説明したいのだろう。
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「わかったわ。お醫者様からベッドから出てもいいってお許しが出たら、ゆっくり聞かせてもらうわね」
私がにっこりと笑って答えた。
すると「やったぁ! 約束ですからね、お姉様!」と言って二人で指切りでの約束を私にねだる。そして、それを終えると、エリーを連れてぱたぱたと部屋を後にした。
「あらあら、リリーったら。最初の頃より落ち著いたと思ったら、あなたが目覚めたら興しちゃって」
そんなお母様の顔は、「仕方がないわね」と言った様子の優しい苦笑を浮かべている。
「じゃあ、私も一度お暇しようかしら。じきにケイトが粥を持ってきてくれるわ。ゆっくり休んでね。また來るわ」
「はい。お母様、ありがとうございます」
お母様が、私の頭をひとでしてから、腰を上げる。そして、私のベッドに置かれていた簡易テーブルを退けてくれた。
そして、私のベッドから離れようとして一度背を向けてから、私の方に向き直った。
「ああ、そうだわ。あなたのアトリエには、使用人からあなたがうちでしばらく靜養することになりそうだと連絡してあるの」
「ご配慮ありがとうございます。連絡がないと、みんなびっくりしますものね」
「でしょう? でね、あなたの狀態が落ち著いたら、お見舞いに來たいと言っていたわ。落ち著いたら、來ていただいても大丈夫だと連絡しましょうね」
「はい」
「じゃあ、ゆっくり休んでちょうだい」
そう言うと、お母様は今度こそ部屋を後にした。
パタン、とドアが閉まる音がして、私は部屋に一人になった。
「ふー」
二日も寢ていて、急に喋ったからだろうか。
軽い疲労を覚えて、私はまだベッドに橫になった。
でも。
……家族は溫かい。
そして、合が良くなったらお見舞いにと言ってくれるアトリエの仲間達も優しいわ。
「ねえ、リーフ。來てちょうだい」
彼の溫もりがしくて、子犬のような姿でベッドの脇にふせをしていたリーフに聲をかける。
そして、上掛けを半分めくって私の橫をポフポフと手で叩いて、「ここにおいで」と指し示す。
その音にリーフが顔を上げて、むくりと起き上がる。そしてたんっと床を蹴ってベッドの上に乗る。
「デイジー様。この小さき姿のままで良いですか? それとも大きい方が?」
リーフは聖獣フェンリルだ。大きな姿になると、大人の男よりも長がある。そして、今のような子犬ほどのらしい姿にも変化(へんげ)できるのだ。
問いかけてくるリーフに、私は首を橫に振って答える。
「今のままでいいわ。一緒にいてくれるだけで溫かいもの」
私はリーフを抱き寄せ、上掛けが私達を覆うようにかける。
そうして、頼んでおいた麥がゆが出來上がるまで、リーフの溫もりに癒され、うとうととしながら待ったのだった。
◆
そうしてうとうとと微睡んでいると、食をそそる香りが微かに鼻先を刺激した。
その刺激に薄く目を開けると、ベッド脇に人影がある。
「ケイト」
私はパチリと目を開けて、彼の名を呼ぶ。
「ああ、お気づきになられましたか。お食事の用意ができておりますが、食べられそうですか?」
「うん。どれくらい食べられるか分からないけれど……食べたいわ」
私が起き上がりながら答えると、ケイトがにっこり笑って頷く。
「じゃあ、準備いたしますね」
お母様が退室する前に退けた簡易テーブルを、ケイトがまた私の前においてくれる。
リーフはそれを見計らって、その前にベッドから降りていった。
ケイトが移式の小テーブルに載ったお皿から、シルバーのディッシュカバーを外す。そして、私の目の前に置いてくれた。
すると、さっき鼻先をくすぐった香りが、もっと強く私の周りに漂ってきた。
「いい匂い! 味しそうだわ!」
粥といっても、麥だけではないらしく、細かく刻んだミンチや野菜、小ぶりの豆が混ざっている。
「栄養をつけていただきつつ消化に良いようにと、廚房擔當のボブとマリアが張り切って作ってくれましたよ。さあ、どうぞ」
そう言いながら、ケイトが皿のそばにフォークを置いてくれた。
「……いただきます」
私は、皆の思いやりに謝しながら、麥がゆを食べ始めた。
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