《【WEB版】王都の外れの錬金師 ~ハズレ職業だったので、のんびりお店経営します~【書籍化、コミカライズ】》245.デイジーの願い

「私がし(・)た(・)い(・)こと、かぁ……」

私は斜め上の天井を眺めながら、ぼんやりとリーフの言葉を反芻した。

ぼんやりと呟きながら、私は傍に寢そべっているリーフの頭をずっとでている。無意識にでている彼のらかく、溫は私より高い。

ときおりすぴー、すぴーと聴こえる寢息が可らしい。

彼は私にアドバイスと彼自の思いを告げたあと、まるで私に一人で考える時間を與えるかのように眠ってしまった。

「したいこと。すべき、じゃなくて……」

自分のおでこに手の甲を添えて、うーんと私は考え込む。

アトリエのみんなと、笑ってお店経営したいわ。

……何をしたいかと聞かれれば、私はみんなの笑顔を守りたい。

マーカス、ミィナ、アリエル、ルック、ウーウェン。そしてピーターとアリス。

畑のみんなも大事。

リコを中心とした緑の妖達。マンドラゴラさんに、世界樹。そして私を手助けしてくれるさまざまな素材達。

家族にも笑っていてほしいわ。

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お父様、お母様、お兄様にお姉様。それに小さなリリー。

セバスチャンやケイトを筆頭にした使用人達にも笑顔でいてしい。

王家の方々や、城で働く方も。

私が五歳の時から見守ってくださる陛下に王妃殿下。そして王子殿下と王殿下。

商談でよく會う軍務卿、財務卿、宰相閣下に、鑑定士のハインリヒ。

王都の人達もそうだわ。

アナさんにリィン、ドラグさん。

商業ギルドの人達。

最近會っていないけれど、可い冒険者服の店主のマリリンさんや、そのお母様のバルバラさん、妹(?)さんのダイアナさん。

糸つむぎと機織りのララとルルの姉妹。

そうそう、素材採取に出た先々で出會った、この國に住む人達もいる。

ルックの故郷の村人達や、海遊びをした南の町。

「みんなの笑顔を守ることって、出來ないのかなぁ……」

私は人々の顔を思い浮かべながら呟く。

錬金師。それは、自然の理(ことわり)を理解し、自然にあるものの価値をもっと有用なものに変換する者。私は『錬金師』とは、『自然魔師』ともいえるのではないだろうかと考えている。

あ、し話が逸れたわ。

「みんなを守りたい」

でも、錬金師の一人でしかない私。

「私に、そんな大それたことができるのかしら?」

近くに小さい姿のリーフしかいないベッドの中で、私は呟いた。

そんな私に、リーフが、ぺろりと頬を舐めた。

「できるか出來ないか。……簡単に諦めたり、決めつけてはいけませんよ」

そうして私の頭の橫にいた彼は、私の脇へと移する。

まるで腕枕だ。

「そうね。諦めたりしないで、どうしたら出來るのかを考えるわ」

「それがデイジー様らしい」

私達はふふっと笑い合い、そして私はまた眠りに落ちていくのだった。

次に私が目を覚ましたのは、部屋の扉をノックする音で目を覚ましたリーフが、警戒して立ち上がったから。

上掛けが持ち上がり、その隙間に冷気がり込み、その刺激で私は目を覚ましたのだ。

「デイジー、起きているかい?」

扉の向こうから聞こえる聲は、お兄様のものだった。

「研修が終わったから、お見舞いにきたのよ。今、大丈夫かしら?」

続いて、お姉様の聲もする。

「はい、大丈夫です。お心遣い、ありがとうございます」

そう私が答えると扉が開く。それと同時にリーフは床にひょいっと飛び降りた。

開いた扉からお姉さまが先に、続いてお兄様がってきて、お兄様が扉を閉めた。

「お父様がデイジーを連れて帰ってきた時は驚いたよ」

「本當ですわ。デイジーはぐったりして起きる気配もありませんでしたし」

そう言いながら、二人は私のベッドの方へ歩いてきた。

「ご心配おかけしてごめんなさい。さっき、粥も食べられたんですよ」

私はしでも元気そうに見せたくて、にこりと笑って彼らに伝える。

二人は、ベッド脇にある椅子をそれぞれ引き寄せて腰掛けた。

「そうか。食べる意があるということはいいことだね」

お兄様がほっとしたように笑顔を見せた。

「あの時より顔も良くなっているようだわ」

お姉様がを乗り出して私の顔を覗き込み、ほっとしたように表を和らげる。

「あのね、デイジー」

「はい」

「私達は、お父様から『今デイジーが抱えている問題は、軽々しく相談して、と言っていい問題じゃない』と言い聞かされているんだよ」

お兄様が、眉を下げながら私に告げる。

……それはそうだろう。戦爭が起こるかもしれないなんて、國家機だろう。

「そうなの。だから、お父様の許可をいただかないと、あなたの相談にも乗れないのよ。……姉として悔しいのだけれど」

お姉様は軽く、その綺麗なを噛んだ。

「「でも(ね)! 私達は、あなたの味方だから(ね)!」」

そう二人で揃って告げて、二人して私の手を握ってくれた。

「お兄様、お姉様……」

それでも、彼らの気持ちが溫かくて、嬉しくて、私は目に涙が滲むのをじた。

「……ありがとう」

そう告げて、私は彼らの手をぎゅっと握り返すのだった。

報告にも書きましたが、カドカワBOOKS6周年記念企畫において、

王都の外れの錬金師のSSも掲載していただきました!

ぜひお読みになってみてくださいね!

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