《【WEB版】王都の外れの錬金師 ~ハズレ職業だったので、のんびりお店経営します~【書籍化、コミカライズ】》253.グエンリールのした本
真面目なお話です。
キリが良いため、今回は短めです。
私は、古い羊皮紙にインクで書かれた本を捲(めく)る。
一枚目の中表紙には、その本のタイトルである『錬金における忌』という文字が書かれていた。
もう一枚捲ると、『袂(たもと)を別(わか)った古き友人。そして、いつか彼を目覚めさせんとする若き錬金師に贈る』、そう綴られていた。
……私なんかでいいのかな。
グエンリール様がむ、錬金師。
彼の友人だったという人の目を覚めさせることをまれている人。
私はそれに値するのだろうか。
これにれて、そして読むに値する錬金師なのだろうか。
そう、心にしのためらいをじながらも、私はまたもう一ページ先に進むことにした。
そうして順に、彼が考える錬金師のあり方というものが書かれていた。
まず最初に、彼が考える真の錬金師について。
『無価値なものから価値のあるものを生み出す者』、それが、彼のいう真の錬金師(アデプト)なのだという。
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そうして錬金のを極め、賢者の石を作り出すのだという。
次に、ふ(・)い(・)ご(・)吹(・)き(・)について書かれていた。
にかられて金を求め、そのために、ふ(・)い(・)ご(・)という、空気を送りこむための道を吹いてばかりいる者。
グエンリール様曰く、彼らは低俗な錬金師だという。
最後に。
邪法に手を染めたり、他者を貶めたり、ましてや他者を害することによって、自らのを満たそうとする者。そういう錬金師にはなってはならないと斷言していた。
また、こんなことも書いてあった。
自分が世の中にとって有益と思って生み出したものが、そのために使われるとは限らない、と書かれていた。
……これ、ずっと私が抱えてきたことだ!
私が作った自白剤、そして、アルフリートが作る弾が當てはまる!
グエンリール様はこうも書いていた。
◆◆◆
新たに生み出したは、一度世に出れば、必ずしも生み出すその瞬間に願ったことのためだけに使われるとは限らない。
力(・)とは、幸も不幸ももたらす。
人は魔法、特に火魔法を行使する力を得て、文化的に生きられるようになった。
その反面、その力は野を焼き、木を薙ぎ、戦爭で人を殺めるために使われる。
人は魔獣を倒して魔石を得て、それに宿る魔力を力源にした魔道を作ることを覚えた。これにより、魔法を使えない者も、それ以前よりかな生活を送ることができるようになった。
その反面、それは魔法同様、兵としても使われるようになった。
錬金も然り。
無益なものから有益なものを生み出した結果、生活が向上したり、本來であれば命を落としていた者が生きながらえることがある。さらには、失伝したものの、失った四肢を回復することすらできる薬剤があるほどだ。
その反面、それで生まれたもので人を病に侵し、命を奪う。一人だけにとどまらず、その対象を広範囲にすることさえできるだろう。
力(・)とは、功罪を併せ持つもの。
力(・)を行使するものは、その意味を理解した上で使うこと。
善悪を理解し、善なる心で力を使うこと。
ちなみに、善と正義は似て非なるものである。
善は、心の中から生まれる良心である。
正義とは、必ずしも善とは限らない。
例えば、法。
心無い施政者が定めた法であれば、それがその國や領地での法(・)や正(・)義(・)となるだろう。
力を持つものは、善なる心、良心をもってその力を使うことが肝要である。
その上ですら、その力は、他者の手によって、時代によって、必ずしも意図しない目的のために使われることすらあるのだと、覚悟した上で使いなさい。
◆◆◆
そう、書かれていた。
私は思わず固唾を飲み込んだ。
お父様や、アナさんや、ホーエンハイム先生。
私を教え、導いてくれた人々が私に伝えてくれたことと、通じている。
本を読んで真っ先に思ったことは、彼らの存在だった。
それに、グエンリール様は、お母様の遠い遠いお爺様だ。
この數ページを読んで、さらにもっと読んでみようと、私はそう思ったのだった。
科學(化學に限りません)の功罪といえば、ダイナマイトの発明者として知られるアルフレッド・ノーベルの言により設立されたノーベル賞の、その経緯が有名です。
それを、魔法世界にも當てはめました。
ようやく、『自白剤』のときから書きたかった話に辿り著いたじです。
ちなみに、こういった話を経て、この先の明るい展開に転じたいのですが、
「長語」である以上、心の長(學ぶ過程)も必要と思っていて。
デイジーが元気に頑張るシーンが大好き!という方は、
もうしばらくと思ってお付き合いくださいね。
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