《【WEB版】王都の外れの錬金師 ~ハズレ職業だったので、のんびりお店経営します~【書籍化、コミカライズ】》254.グエンリールのした本②
グエンリール様のした本にはまだ続きがあった。
やがてその本は、本というより日記のような、雑記のような書きぶりに変わっていく。
◆◆◆◆◆◆
賢者の石は、それ自がエリクサーであるとも、賢者の石からエリクサーが生されるとも言われる。
賢者の石がエリクサー自であるにせよ、エリクサーの素であるにせよ、それは人が作るべきではないと私は忠告しよう。
私には錬金師の友人がいた。
彼の名はゲルズズ。
彼は非常に才能があり、前途有な若者……だった。
私とゲルズズは學舎(アカデミー)で出會った。
私は次期賢者として、彼は錬金師として將來を期待された同期生だった。
私は、ゲルズズと出會い、彼が実踐する錬金を見る度に興味を深めた。
もちろん、本來の職業である魔導師を學ぶものの、その傍ら、ゲルズズの手伝いや、見様見真似で錬金をやってみたものだ。
我々の學生時代は、非常に有意義な時期であったといえよう。
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學問に熱を注ぎ、時にはを語り。
普通の友人同士と何ら変わらない良好な関係だったと思う。
そして、我々は良い績を殘して卒業する時期が來た。
私は宮廷魔導師団の研修生となった。
ゲルズズは、國王自らが後ろ盾(パトロン)となり、宮廷の中にアトリエを持つようになった。
彼は後ろ盾(パトロン)である國王に求められるがままに、そして、自由な発想で錬金でを生み出していった。
だがやがて、私はこう思うに至った。
『この國はダメ』なのだ、と。
學生時代には、將來を夢見て學業や興味の赴くままに邁進していれば良かった。
この世の中のきれいな未來だけを夢見ていられたのだ。
けれど、宮廷魔導師団見習いとして研修し、研修生として実戦に參戦するようになった。そして、國王がやろうとしている戦爭というものの現狀を、私は目の當たりにした。
その頃には、私から見れば、國王は愚王だった。
彼は、人や土地が荒れることをすら考えずに、この大陸全土に向かって侵攻しようとしている。
侵略戦爭。
大陸を統一するのだという。
騎士団や宮廷魔導師団は、終わりなき戦爭にかり出される。
一方で、ゲルズズが作った火薬は弾や大砲として、魔法を補う戦爭の道として使われている。
彼が作る武もそうだ。
もろい鉄を頑丈な鉄に作り替え、兵士の強靱な盾と武となり、隣國の民を躙する。
彼が偶然植から見つけ出した薬草もそうだ。
その薬草から出したエキスで出來たポーションを飲ませれば、普通の民を、疲れを知らず、眠りもせずに、盲目的に命令に従う勇猛な兵士にすることが出來るのだという。
それに気づいたとき、人の尊厳を冒していると思った。
現國王は、ゲルズズの力を利用して他國を侵略している。
我々宮廷魔師団もそうだ。
そうして、多くのが流れている。
私は、この國を去ろうと決意した。
とてもじゃない、その思想について行けないと思ったのだ。
だが、さすがに、かつて友であった彼もおうと、最後に聲をかけたのだ。
けれど、彼もすでに変わってしまっていた。
彼は、國王に命じられたのだという。
エリクサーを作れと。もちろんそれは、不老不死の妙薬のことである。
そして、彼自がそれに取り憑かれていた。
國王は、大陸全土に侵略し、大陸を治める。
そして、不老不死となり、この大陸を永遠に支配するのだという。
それが最終目標なのだという。
そして、ゲルズズはそのためにエリクサーを作るのだという。
だから、私のいには乗らないと斷られた。
私は驚いた。狂気じみていると思った。
賢者の石も、エリクサーも、本當に作り出した者は未だかつていないと聞いている。
まず最初に彼は言いだした。
「水銀と硫黃だ。それが、まず長壽の妙薬の基礎になる。ならば、これを改良すればエリクサーとなるだろう」と。
私は、彼と決別し、そして宮廷魔導師団を辭して、放浪の旅に出ることにした。
學ぼうとすれば、どこでも學べる。
私は、山野で魔法の訓練をし、困っている民がいれば手助けをした。
そうしてやがて気がついたときには賢者として十分な力を持つようになっていた。
しかし、ゲルズズの研究は、その方向が怪しくなっていったらしい。
「硫黃と水銀」を基礎として作ったという丸薬を飲んでいるという國王も、ゲルズズも、次第に醜い容姿に変わっていく。
にはシミができ、歯は抜け落ち、それをごまかすために化粧をし、義歯をはめているのだと。
そんな醜聞が、流浪の遊詩人や、街頭の見世小屋で演じられるようになった。
やがて、他國侵略の戦爭が苛烈を極めてきた。
私は、もう一度宮廷に足を運び、ゲルズズに苦言を呈しに行った。
火薬の大量生産に関わるゲルズズに、いい加減にやめるようにと。
そして、エリクサーなどという自分達だけのに溺れるのではないと。
しかし、彼から聞かされたのだ。
「エリクサーには、魂が必要なのだ」と。
だから、「戦爭こそ必要なのだ」とまで言い出したのだ。
私は、完全に彼と袂を分かつことにした。
そしてその國を去った。
私は元の國に攻め込まれようとする他の國々に働きかけ、その野を挫くために、同盟を結ばせることに盡力した。
やがて、同盟を結んだ國々には到底かなわなくなり、そして、戦爭をするための資金も底をつき、大陸に吹き荒れた戦爭は終息したのだった。
私はそれを見屆けると、ある國の塔に籠もった。
終戦の功労者でもある私に、その國の王は「私にぜひ國に仕えてしい」とんだ。けれど、もう私は世の中というものを見ていたくはなかったのだ。
隠遁したかった。
その頃には、妻と子がいた。私を支え続けた優しい彼は、私が隠棲をしたいという願いをけれてくれた。
彼達には、大変申し訳ないことをしたと思う。
そうして、私は塔の上階に引き籠もった。
食料は、妻や娘がかごにいれたものを、従魔の子竜が運んでくれ、それで生活を続けることができたのだった。
私は塔の中で、錬金を研究することにした。
もし、またあのような事態が起きたときに、それを防ぐすべを見いだすために。
友の過ちを諫めるために。
もちろん私の職業は賢者であって錬金師ではないから、神の恩恵はない。
けれど、ならばその分を努力で補おう。
せめて、後の世のためになるような知恵を、わずかでもすために。
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