《【書籍化】Fランク冒険者のり上がり、俺だけができる『ステータス作』で最強へと至る【コミカライズ】》橫毆り

「それにしても本當に人が多い……」

モンスターを倒したくても湧くたびに奪い合いが起きている。

ダンジョンの三層はかなり広いのだが、草原のところどころに木々が生えている風景だけに敵を発見しやすい。

どのパーティーもモンスターが湧くまでの間休憩をして湧いたら近付いて倒すといった定位置を決めて活している。

「そりゃあ、こんな好條件ならこうなるか……」

一戦ごとに態勢を立て直せるし、もしピンチになっても周囲のパーティーに助けを求めることもできる。

噂には聞いていたが三層は冒険者にとって人気のスポットのようだ。

「これは早いうちに六層まで降りた方が良いかもな……」

ダンジョン攻略において五層までに留まるのと六層を攻略できるのではレベルが違ってくる。

俺はウォルターとの勝負を考えてしでも早く力をつけたいと考えていると……。

「おっ、湧いたな」

俺ともう一組のパーティーの中間よりややこちら側にモンスターが湧く。

湧いたのは戦士コボルトが2匹で、近いせいもあってか俺へと近付いてきた。

俺はマジックダガーを抜くと戦士コボルトへと接近していく。

さっさと倒して新しい職業のレベルを上げたいと考えながら倒す手順を考えていると……。

「えっ?」

「ギャ……」

矢が飛んできて戦士コボルトに突き刺さった。

「なっ……いったい何を?」

俺が困していると、戦士の男が接近してくる。

「おらっ! こいつでお終いだっ!」

背後から矢をけて傷ついていた戦士コボルトをそのまま切り伏せる。

「お前らそっちも囲んでやっちまえ!」

殘る1匹も3人の冒険者が戦っている。き自はたいしたことないが集団で囲んでいるので間もなく倒されるだろう。

戦士の男は倒れたコボルトが地面へと吸収されるのを確認すると戻っていこうとする。

「ちょっと待てよ」

「なんだぁ? 何か文句でもあるってのか?」

「今のモンスターは俺に向かっていた。人の獲を奪っておいてその態度はなんだ?」

さきほどから中間に湧くモンスターを強引に何度か自分たちの方へと引き寄せるのを見ている。多は仕方ないと割り切っていたが、ここまで強引な確保の仕方をされると一言いわなければ気が済まない。

俺が抗議を口にすると、戦士は馬鹿にしたような笑みを浮かべた。

「はぁぁっ? たった一人でこの狩場の権利を主張してんのかよ? 組んでくれる人間もいねぇくせによぉ」

「どうしたんすかリーダー?」

大げさに騒いだことでもう一人冒険者が寄ってくる。

「こいつがよぉ、俺たちに因縁つけてくるんだよ」

「あのモンスターは明らかに俺をターゲットにしていた。橫から割り込むのはマナー違反だろ?」

見たところ、こいつらは俺の一つ下の冒険者のようだ。

冒険者の教育期間で習っているはずなのだが忘れているようなので教えてやる。

「マナーだぁ? 実際の冒険じゃそんなもん関係ねぇよ。ここじゃ先に攻撃を當てた方に権利があんだよ!」

ところが戦士は謎のルールを持ちだしてきた。

「なー、みんな。そうだよなー?」

俺の周囲に陣取っていた冒険者パーティーは全員が知り合いらしくニヤニヤしながら同意をしていた。

「こいつよく見たら例のスキルなしのゴブリン専門じゃね?」

そのの一人が俺の素に気付いたらしく、指を差してきた。

「なんだよ、じゃあ俺たちはこいつを助けてやったってことか。むしろ禮を言われるべきじゃねえか?」

こいつらには俺の首元にかかっているシルバープレートが見えないらしい。

「おい先輩よぉ。俺たちは冒険者になって1カ月でここまで來た実力者なんだよ。あんたみたいな落ちこぼれの指図なんて聞く気はねえ。目障りだからどっか行けや」

俺のこれまでの評判のせいか完全に舐められてしまっている。

立ち去ろうとする戦士に俺は確認をする。

「……あん、何だって?」

言葉が聞き取れなかったのか戦士の男は振り返ると聞き返してくる。

「だから、先に攻撃を當てた方の獲ってことでいいんだな?」

「ぎゃはははははっ! そんな短剣一本で何ができるっての!」

「ああいいぜ。こっちには魔道士も弓も揃ってるんだ、先に當てられるもんならやってみなっ!」

「その言葉、忘れるなよ?」

全員が笑う中、俺は念押しをするのだった。

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