《【書籍化】Fランク冒険者のり上がり、俺だけができる『ステータス作』で最強へと至る【コミカライズ】》お買い

「ティム君、これどうかな?」

「はい、似合っています」

カーテンが開くとミナさんがワンピース姿を俺に見せる。

「ティムさん、ど、どうですか?」

「とても似合っていますよ」

続いてオリーブさんがブラウスとスカートを見せてくる。

さきほどから、目の前の試著室のカーテンが開き、ミナさんとオリーブさんが著替えては俺に意見を求めてくる。

たちの買いに付き合っている俺だが、さきほどからずっと意見を求められている。

この店にはの服を扱っているのか周囲にいる客もすべてなので、俺は視線を向けられ気まずい思いをしていた。

「さっきからずっと『似合う』しか言ってなくない?」

「そうですよ」

同時にカーテンが開き、二人がじっと俺を見てくる。

「仕方ないじゃないですか。本當に似合ってるんだから」

「そ、そう?」

「そ、そんなこと急に言わないでください」

正直に答えただけなのに二人は慌てるとカーテンを閉め引っ込んでしまった。

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周囲からはひそひそ聲で「どっちが本命なのかしら?」などと邪推が聞こえてくる。単に買いに付き合っているだけなのになぜそのような話になるのだろうか?

俺は首を傾げながら二人が出てくるのを待つのだった。

「ティム君が見立ててくれたから良い服が買えたわね」

「どれも似合うって言ってくれるからついつい買いすぎちゃいました」

服を買った後、俺たちはカフェへと移した。

ここはミナさんとオリーブさんの行きつけの店らしいのだが、店であふれかえっている。

俺たちはそれぞれケーキセットを注文して寛いでいた。

「それにしても一杯買いましたね」

空いた椅子にはいくつか袋が置かれている。彼たちが買った服がっているのだ。

「冒険者をやっていると金銭覚がおかしくなるのよね」

「また稼がないといけませんね」

ミナさんとオリーブさんはしみじみと反省の言葉を口にした。

冒険者は高ランクになってダンジョンの深い層に潛るほど金がかかるのだ。

モンスターや罠の危険がある分、籠った時の収が多くなるので、その収が頭にあると彼たちみたいな豪快な買いをしてしまうのだろう。

「それにしてもティム君、私たちの買いに付き合わせちゃってごめんね」

「いえ、俺は別に……」

買いのことならば別に構わない。

二人が著替える服はよく似合っていたので見ていて飽きなかったし、待っている間はステータス畫面を眺めていたので考え事をしていたからだ。

「埋め合わせしなきゃいけないですね」

オリーブさんはそう言ってチラリと俺を見る。今なら切り出しやすそうだ。

「だったらし聞きたいことがあるんですけど……」

「ん、いいわよ?」

ミナさんはケーキを食べると幸せそうな顔をした。

「支援魔法の『アップ』なんですけど、どうやって時間とか管理してますか?」

さきほど試したじ、どうしたって戦闘中に効果が切れるのは避けられないだろう。

ソロの俺ですら管理が難しいとじているのだ、オリーブさんがどのように対策をしているのかが気になった。

「うーん、そうですねぇ。そもそもあまり掛けないんですよ『アップ』って」

「そうなんですか?」

「アップの魔法って効果が高いですけど、そのぶん魔力の消耗が激しいんですよ。だから頻繁に使うとなると、マナポーションがいくらあっても足りませんから」

「……なるほど」

確かにオリーブさんが『アップ』を掛けるとなるとパーティー全員分になる。自分だけに掛ければよい俺とは狀況が違うのだろう。

「基本的にポーションは各自で用意することになっているからね。私もオリーブもなるべくポーションは使わないで休んで魔力を回復させているのよ」

「使うとしたらボス戦とかでしょうかね?」

ミナさんがそう捕捉し、オリーブさんが使う狀況を上げてくれた。

確かに、この前の時には使っていなかったのを思い出す。

「そう言えば、ティム君ってマナポーション飲みまくってるのよね?」

「ええ、まぁ……」

「道理で長が速いわけよね……。四層でたまに見かけるけど、隨分と魔法を連発してたわよね」

同じ四層で狩りをしているので俺も彼たちの狩りを何度か見かけたし挨拶もしていた。

「それ、お金大丈夫なんですか……?」

オリーブさんが心配そうに聞いてくる。

「魔石を割とドロップするので、一応黒字にはなっています」

運を上げたお蔭で、一般の人間と同じくらいには魔石を得られるようになったのだ。

「話を戻しますが、そうするとボスとの戦闘でしか使わないから時間の管理はしていないってことですかね?」

『アップ』の魔法に関する管理について再度聞いてみるが……。

「まあそうですね。でも戦闘が長引く場合があるので方法はありますよ?」

「それってどんな方法なんですか?」

俺はオリーブさんに教えを乞う。ボス戦ともなれば集中して挑まなければならず、時間を計る余裕がないはず。それにもかかわらず、コントロールする方法があるらしい。

「アップ系は重ね掛けができるので、効果が切れる前の大まかな時間で再度同じアップ系の魔法を掛けて上げれば隙を曬すことなく継続して戦えるんですよ」

「なるほど、そんな裏技があったんですね」

正確に時間がわからなくても、それなら何とかなりそうだ。俺がオリーブさんに教えてもらったテクニックにしていると……。

「ところで、私、ティムさんに『アップ』が使えるって教えた記憶がないんですけど、どうして知ってたんですか?」

「あっ……いや、えーと……」

俺はオリーブさんの質問に笑顔を向けるとどうにか誤魔かすのだった。

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