《【書籍化】Fランク冒険者のり上がり、俺だけができる『ステータス作』で最強へと至る【コミカライズ】》穏やかな休日

「さて、今日はどんな本を読もうかな?」

今後の方針を決めて、職業変更とステータスを振った俺は休日ということもあったので街へと繰り出した。

それというのも、最近、本を読むのに嵌っていて、休日は近くのカフェに籠って読書をして過ごすようになったからだ。

「おっ、ティム君。今日はお休みかい?」

店にると初老のマスターが笑顔を向けてくる。

「ええ、ちょっと々考えていたら遅くなりましたけど、まだランチメニュー行けますか?」

時間は晝時をやや過ぎていて、自分で休日を設定する冒険者以外は労働に戻っているころなので店は客もまばらだった。

「もちろんさ、私は若者が味しそうに食べるのを見るのが好きだからね。どんどん注文しておくれ」

実際、ここのカフェの料理は味くて量も多い。

オリーブさんに教えてもらった店なのだが、彼もここが気にっているのか俺が利用していると何回かに一回は顔を合わせることがある。

「じゃあ、今日は『お勧めパスタのスープセット』で、飲みは溫かい紅茶を食後にお願いします」

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「はいよっ! ちょっと待っててね」

俺はメニューを橫に置く。今日一日ここにいるつもりなので追加オーダーをする予定なので手間を省いたのだ。

「ええ、ゆっくりで構いませんので。俺は本を選んでますから」

このカフェには本棚があり、たくさんの本が収められている。

マスターが若いころからコツコツと集めたらしく、利用客ならば好きに手に取って良いので、宿暮らしで本をそれほど所有できない俺にとっては大変嬉しいサービスだった。

「ここは王道の冒険者功譚にするか……、それともダンジョン攻略にするか?」

いずれもが高鳴る語だ。日頃ダンジョンに潛り、休みの日までダンジョンのことを考えてしまう。それほどの魅力があの危険な場所にあるのだと本を手に取りながら考える。

やがて俺は、數多くある本の中から數冊を選ぶと自分の席へと戻っていった。

「おっ、その語に目を付けるとは私と気が合うじゃないか」

しばらくの間、本を読んでいるとマスターが料理を運んでくる。

「どうやらマスターとは本の趣味が似ているみたいですね」

俺は手にしていたダンジョン語の本を閉じる、テーブルの端に置き料理を楽しむことにした。

「うん、ボリュームがあるし味しい。いくらでも食べられそうですよ」

大皿にこれでもかと盛りつけられたパスタを小皿にとってから口に運ぶ。

味わいは申し分なく、ときどきスープで舌をリセットしては次々と食べていく。

「ふぅ、馳走様でした」

あれだけあったパスタはものの十數分ですべて俺の胃袋へと消えた。

「良い食べっぷりだね」

「連日ダンジョン暮らししてますからね、こういう時には一杯食べたくなるんですよ」

「ふむ、それはが疲れている証拠だな。冒険者は疲労をしているとそれを回復させるために食いだめをすることがあるんだ。足りないようならまた作るからいつでも言いなさい」

マスターにお禮を言う。事実疲れているのだろう。

「そう言えば一昨日壁が壊れてね、そこは隙間風がるだろう? 場所を移した方が良いのではないかい?」

言われてみれば確かに頬を風がでる。

「まだ暖かい時間ですから丁度良いくらいです」

「そうかい? あまり風に當たると調を崩しかねないからな。席は勝手に移しても構わないから」

そう言ってマスターは戻っていく。

俺はマスターが食を洗う音や、他の客が注文する聲、來客を告げるベル。すべての音を聞きながら語に集中していった。

「……ムさん? ……つれいしますね」

何かが聞こえた気がするが語が気になって顔を上げることはない。

差しが暖かく、食後ということもあってか次第に眠気を覚えた俺は――

――気が付けば微睡にを任せていた。

「っと……、いつの間にか寢てしまっていたようだな?」

を起こすと何かが背中からずり落ちた。

「これは……?」

手に取ってみるとストールのようだ、柄を見ていると落ち著く何とも言えぬ良い匂いが漂ってくる。

「スースースー」

橫を見てみると椅子にもたれかかりオリーブさんが眠っていた。

どうやら、さきほど俺に聲を掛けていたのは彼だったらしい。

「となると、このストールも彼か」

休日に會った時にに著けていたのを思い出す。俺が風邪を引かないように掛けてくれたのだろう。

「おっ、ティム君目が覚めたようだね? 何か飲むかい?」

マスターが俺に聞いてくる。俺はまだ眠っているオリーブさんのにストールを掛けると……。

「…………くしゅん」

「いや、今はいらないです。ただ、もうししたらホットココアを2つ注文するかもしれませんね」

「そうか、それは良い考えだな」

マスターと2人で笑い合うと、俺はオリーブさんが目を覚ますのを待つのだった。

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