《【書籍化】Fランク冒険者のり上がり、俺だけができる『ステータス作』で最強へと至る【コミカライズ】》

馬車がき出し門を通過する。側面にある覗き窓からはのどかな風景が見える。

王都行きの馬車は豪華で、同乗している客は裕福な人間しかいなかった。

見る限り、荒事をしてきたような気配を放つ人間はいないので、俺はこの馬車の中は問題なしと判斷した。

俺たちは無言で顔を合わせて頷くと……。

「どうやら、誰にも気づかれずに出できたようだな」

すっぽりと被っていたフードを外した。

現在、俺たちは王都へと向かう馬車に乗っている。

目的は王都にあるガーネットの実家を訪れ、彼に「貴族との結婚の意志はない」と直談判させるためだ。

「平気だと思いますよ、テ……先輩。だって、まだ意識不明ということになっているじゃないですか」

名前を言いかけて途中で止める。ガーネットは俺の耳に顔を近付けると、ひそひそと囁いた。

さきほどまでフードを被っていたのは追手を警戒してのこと。

俺を襲撃した人間がどこで見張っているともわからない。

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俺たちの目的を知ってしまえば強手段に出ることも考えられたので、そうならないためにを隠したのだ。

「サロメさんにも協力してもらったからな。まず大丈夫だろ」

俺とガーネットは、彼が手配したチケットの馬車には乗らず、サロメさんが裏で用意しておいてくれた馬車に乗った。

治療院を出る時も、他の荷に紛れて出たし、ガーネットの合流にも細心の注意を払っている。

いくら襲撃者が目をらせているとはいえ、これだけの手を回しているからには簡単に俺たちに気付くことは不可能だ。

「ふぅ、もうこれいでしまいますね」

ガーネットがフードをぐと、鎧が姿を現した。

俺の鎧と同様、ミスリルでできており、関節をかす時に邪魔にならない作りとなっている。

を覆ってはいないのだが、その分『プロテクション』という防魔法が付與されており、出している素足を短剣で斬りつけても跳ね返すくらいの防力はある。

その分値段は割高となっているのだが、こればかりは仕方ないだろう。

俺は新調した鎧に興味を惹かれると、次に自分が買う防の參考にしようとついジロジロと見ていたのだが……。

「こ、コホン」

ガーネットが恥ずかしそうにしているので視線を戻した。

「そう言えば、オーラは試したんだっけ?」

街から離れて數時間が経ち、警戒する必要がなくなった俺はガーネットに質問をした。

「はい。先輩の説明だと『筋力』『敏捷度』『力』が10ずつ増えるという話でしたが、確かに能力が上がったのを実できました」

「なら良かった、ちなみにどのくらいの時間持続した?」

「……えっと、2分くらいですね」

スキルレベルが1で2分。この時點で『コンセントレーション』の持続時間とほぼ同じだ。

スキル説明を信じるなら、持続時間はスキルレベルに応じて長くなる。恐らくレベル2で3分、レベル3で4分とかだろう。

初期レベルの時點で効果が『コンセントレーション』の2倍という優秀なスキルだ。取得にスキルポイントを10消費したことからもそれはわかっていた。

もし、これを素直に修行だけで取得しようとした場合、結構な時間を費やす必要があったのだろうと考える。

以前、ギルドマスターが言っていた『遅れてスキルを覚える人間は大する』というのは、取得しにくいスキルであっても気強く続けた結果覚えたということになる。

大抵の人間はそこに辿り著く前に諦めてしまうので、世の中にはまだまだ潛在能力があるのに生かしきれていない人間もいるのではないだろうか?

隣を見ると、ガーネットは読書をしていた。

王都に到著するまで二週間あるのだが、護衛の人間が外を守っているので俺たちの出番はない。

ガーネットもそれがわかっているからか、鎧を緩めて寛いでいる。

俺はそんな彼から視線を外すと、王都についてからの行について考えることにした。

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