《【書籍化】Fランク冒険者のり上がり、俺だけができる『ステータス作』で最強へと至る【コミカライズ】》次の街に到著

『それでは、今日と明日は補給のためこの街に滯在いたします。出発は明後日になりますのでそれまでは自由にお過ごしください』

街を出てから3日が経ち、俺たちは次の街へと來ていた。

現在は、乗合馬車の人間が手配している宿へと到著し、この後の予定を聞いている最中だ。

王都に続く街道のところどころに街が點在しているのだが、とある事のせいで次の街までの距離は差がある。

ここに來るまでの間、旅人が自由に使えるベースキャンプ地で野営をしている。

野営とは言っても、食事は用意してもらえるし、寢るときは馬車の中で、布もある。

見張りも護衛の冒険者が雇われているのでモンスターや盜賊などに対し周囲を警戒する必要がない。

金で快適さと安全を買っているのだから當然なのだが、普段は冒険者側だけに、自分たちだけ寛いでいる狀況に、なんとも申し訳ない気分になった。

他の乗客たちは早々に用意された部屋へと引き上げていく。

疲労が溜まっているようで、欠をしている。

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馬車の中はそれなりに広いのだが、自分以外に他人がいる場所というのはぐっすり眠るには不向きらしい。

寢がえりの音や、誰かの寢言などが聞こえるたびに眠りが淺くなったりするようで、ガーネットもそれを気にしては目を開き周囲を確認していた。

一方、俺に関しては問題なかった。遊び人の『眠る』スキルのお蔭だろう。

このスキルは眠っていれば自力回復に努めてくれるのだが、ある程度は任意で発することもできる。

俺が「そろそろ寢たいな」と考えると眠気が発生し、それにを委ねると心地よく眠ることができるのだ。

お蔭で馬車の移をストレスなく過ごせていた。

「明後日まで自由行ですけど、先輩。どうするんですか?」

既に夕方なので、道がわからない夜に街を歩き回るのは止めておいた方が良いだろう。迷ったり、怪しい人間に絡まれてトラブルになる可能もある。

今夜は食事を摂ってを休めるべきだと判斷し、考えていることガーネットに告げる。

「明日はダンジョンにろうと思っている」

「だ、ダンジョンですか……?」

街には最低一つはダンジョンがある。

それと言うのも、生活をり立たせている基盤はダンジョンから得られる魔石とドロップアイテムだからだ。

「せっかく隣町まできたんだ。この機會にガーネットの力も見ておきたいし」

何より、俺はここ數週間一切戦闘すらしていない。ここいらでダンジョンの空気を吸いに行きたかった。

「わ、わかりました」

いよいよダンジョンデビューということもあり、ガーネットの表が険しくなる。

「そんなに気負う必要はない。深く潛る気はないし、何かあっても俺が対処するからな」

そう言うと、俺たちもその日は食事をとってぐっすりと眠るのだった。

「さて、早速はいるとするか」

「…………はい」

翌日になり、早朝から俺たちはダンジョンへと來ていた。

俺はまだったことがないダンジョンに新鮮さを覚えて若干気分が高揚している。

「あまり寢てないのか?」

一方、ガーネットはと言うと目の下にくまを作っており、顔も悪かった。

「はい、これからダンジョンに潛ると考えたらどうにも眠れなくて……うぷっ!」

そう言えば朝食もほとんど手を付けていなかった。今日は延期にすべきか?

そのような考えが一瞬浮かぶが、それではこの先もガーネットが慣れることはないだろう。

可哀想だが、割り切ってもらうしかない。俺は彼に聲を掛けるとダンジョンへとっていった。

「ううう……。まだ、モンスターは現れないのですか?」

張しながら剣を握っている。

俺の持つ剣よりやや短めの、ガーネットの背丈を考慮して作られたミスリルソードはカタカタと音を立て揺れていた。

「まだ潛って數分だ、り口付近は他の冒険者も通るからモンスターもあまりいないぞ」

『ライト』で作り出した明かりが周囲を照らしている。

自分が初めてダンジョンに潛った時はどうだっただろう?

この明かりを頼りなくじ、巖のからモンスターが襲い掛かってくるのではないかと怯えていなかっただろうか?

俺は毎日ゴブリンを殺していたので、生の命を絶つことに慣れていたが、ガーネットはまだモンスターを殺したことがない。ましてや初ダンジョンだ。

張して當たり前だろう。

「一つ朗報がある」

「な、なんでしょうか、ティム先輩」

「このダンジョン一層に湧くモンスターは俺たちの街のダンジョンと違ってゴブリンではない」

後輩の心のケアは先輩の仕事だろう。

俺は昨晩得たダンジョンの報を伝えてやる。

「そ、そうですか……。私どうにもあのにまみれてギラついた目が怖くて……」

ガーネットの言うこともよくわかる。

ゴブリンやオークといったモンスターは繁のためにを攫って犯すことがある。

毎年、村など、規模の小さな集落では被害がでている。

俺たちは冒険者になる際、そういった現実について嫌になるくらい教え込まれているので、たかがゴブリンだからと言って侮る人間はない。

特に冒険者は講義をけた後、ゴブリンを完全に忌避の目でみるようになり、冒険の際も自分のを守るため、折り畳みナイフくらいは懐に忍ばせるようになる。

「ああ、まあ……。確かにあの講義は凄慘な容だったが、そのお蔭で冒険者でゴブリンに被害にあう人間はほとんどいないんだぞ」

昔は「ゴブリンなんて余裕」と言ってろくな準備もせずに森にり戻らない冒険者が多かったらしく、芽がある若者の犠牲を減らそう! と冒険者ギルドが考えたのが、研修期間なのだ。

そのお蔭で、冒険における基本知識もに付き、冒険者になりたてで死ぬ人間は減った。

俺がそんな話をガーネットに振ると……。

「えっと、そうなのですか……? ゴブリンがを襲う……なんて……あわわわわ」

先程までより恐怖が増幅している。俺は更に怯えるガーネットに、

「いや、まて。ちゃんと習っただろ?」

たとえどの講義を適當に流していても、あれだけは忘れるわけがない。俺が彼に確認をすると……。

「私は元々家庭教師の下でスキルを取得しておりましたので、王都からあの街に到著するまで數週間。到著したころにはその研修期間が終わっていたので講義をけていないのです」

「なるほど……そういうことか……」

新しく浮かび上がる事実に、俺はガーネットの目をじっと見てある推測を立てるのだった。

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