《【書籍化】Fランク冒険者のり上がり、俺だけができる『ステータス作』で最強へと至る【コミカライズ】》フローネ
――ゴトンッゴトンッ――
「スースースー」
馬車が揺れる。
馬車の中にはなりの良い老夫婦や、高そうな裝飾品をに著けた商人、結婚したばかりだと言っていた男などがいる。
補給を済ませ次の街へ向かっている最中なのだが、周囲からの視線はなぜか俺の方へと向いている。
その理由は……。
「ううん……むにゃむにゃ」
隣で眠っているガーネットのせいだ。
彼は俺にもたれかかると睡をしている。
座席には背もたれがついているのだが、今走っている道がやたらと揺れるため彼がもたれかかってきてしまうのだ。
同じ馬車で何日も一緒にいればお互いの素くらい多は話してある。
俺とガーネットは冒険仲間だということにしてあるのだが、周囲の人間はまるで初々しいカップルを見守るような視線を俺たちに向けてきた。
新婚の男と目が合うと、右手の親指を突き出して応援してくる。の方も肩を抱くようなきを繰り返して見せるが、そもそも彼と付き合っているわけでもないのでできるはずもない。
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結局、俺は周囲の視線がきまずく、ガーネットの顔越しに窓の外の風景を見続けていた。
「も、申し訳ありません。ティム先輩の肩を借りて睡してしまうなんて、はしたない……」
その日の移が終わり、街道沿いにあるベースキャンプ地に到著すると、目を覚ましたガーネットは頭を下げてきた。
「いや、気にしなくていい。昨日の疲れが出ていたんだろう?」
初ダンジョンなのに連れまわした俺にも責任はある。
おれは手を振って問題ないことを伝えた。
「それにしても、まさかここまで疲労するとは考えておりませんでした。ティム先輩は平気なのですか?」
そう言うと、彼は俺のを心配そうに見る。
「俺は……特に疲労が溜まってもいないな」
「何かコツがあるのでしょうか?」
彼は首を傾げる。そこで俺は思い當たることがあったので教えてやる。
「コツと言えばよく『食べる』こと、あとはよく『眠る』ことだな」
スキルを自取得したのはこの辺りに理由があったのではないだろうか?
元々寢つきもよく、金銭に余裕ができてからは結構飯を食べるようになっていたから。
「なるほど……よく食べるですか。參考にさせていただきます」
『…………クゥ』
そんなことを話していたからか、ガーネットの腹から可らしい音が聞こえた。
「えと、これは……その…………」
慌てた彼は顔を赤くして恥ずかしそうにする。
「ん、どうかしたか? 今日の料理が楽しみで聞いていなかったんだが?」
そう言って聞こえていなかった振りをする。
実際、今も漂ってくる匂いが食を刺激しており、ガーネットでなくても空腹を意識せざるを得ない。
しばらく待っているとどうやら料理が完したようだ。
さきほどまで料理をしていた人が近付いてきた。
「おまたせしました、客様。食事の準備が調いましたのでこちらへお越しください」
料理をしていたのは俺と変わらぬ歳のだった。彼に呼ばれ俺たちは用意された席へと座る。
この料理は俺たちが乗っている馬車の客のほかは、護衛の冒険者しか食べることができない。
他の馬車の人間は各自自分たちで料理をするなり、保存食をかじるなりしている。
「今日も味しそうだな……」
漂ってくる匂いからして想像はしていたが、実際に目の前に料理を盛り付けられると唾をゴクリと飲み込んだ。
「いただきます」
スプーンで掬ってシチューを口に含む。
「味しいです。まさか野外でこんなに味しい料理が食べられるなんて思いませんでした」
ガーネットの想に同意だ。野菜の甘味とのらかさ、香辛料による味付け。
すべて素晴らしいできで、文句のつけようがない。
この味は『虹の妖亭』に匹敵する。事実、俺たちと同じ馬車に乗る人々も味しそうに食べていた。
裕福な彼らを唸らせるのだから実力は本だ。
「あ、ありがとうございます。お客様にそう言っていただけて嬉しいです」
彼ははにかむとエプロンをぎゅっと握った。
俺たちと彼が話をしていると……。
「おいっ! フローネ! もう料理がねえじゃねえかっ!」
「も、申し訳ありませんっ!」
護衛の冒険者の一人が怒鳴り聲を出し、周囲の空気が凍り付く。
「ったく、日中は馬車の中で過ごして、ちょっと料理を作るだけなんだからよ。良い分だな、おいっ!」
「……もうしわけありません」
俯きながら同じ言葉を繰り返す。俺は一言言ってやろうかと考えた。
「……大丈夫です。いつものことなので」
ところが、フローネの言葉を聞いて堪える。
彼の言葉から、ひごろから同じようなやりとりが繰り返されているらしい。
もしここで俺が注意して収まっても、俺たちがいないところで酷い目にあわされるかもしれない。
「けっ、てめぇの不味い料理を食ってやってるのによぉ。これなら店で買ったツマミの方がまだましってもんだ」
そう吐き捨てて離れていった。
「あの人たち最低です。最初から1人につき1杯までって決まっておりますのに。よくあのようなことを申しますね」
ガーネットが眉を寄せて護衛の冒険者を見た。
「ありがとうございます。でも、冒険者の方はモンスターと戦うので仕方ないのです」
フローネはそう言うと悲しそうな笑みを浮かべると、俺たちを見た。
「二人は冒険者さんなんですよね?」
「ああ」
「ええ、そうです」
フローネの質問に俺とガーネットは頷く。
「私とそう変わらない歳に見えるのに、冒険者として功している。それは並外れた努力の結果なんでしょうね」
彼は悲しそうな目をしながら言葉を続ける。
「それに比べると、私は料理を作るだけ。あの人たちが言うことは間違っていませんから」
「そんなことないだろう?」
「えっ?」
俺の言葉に彼は顔を上げる。
「冒険者を続けるために俺もガーネットも確かに努力はしてきた。途中で周囲から諦めるように言われたけどその言葉を必死に振り払って努力したんだ」
「やはりそうですよね、私なんか……」
「だけどフローネだって努力しているだろう?」
「えっ?」
「野外でこれだけ味しい料理を作れるんだ。日頃から料理や食べる人のことを考え、料理の腕を磨いてきたんだろ?」
「それは……、でもっ!」
「何かに打ち込むのに冒険も料理も関係ない。ここまでの料理を作れるんだ、なくとも俺はフローネを尊敬する」
俺がそう言うと、彼はあっけにとられ、
「あり……がとう……ございます」
両手で顔を覆って泣き出してしまった。
焦る俺は視線でガーネットに助けを求めるのだが……。
「先輩は本當にを泣かせるのが好きですね。……まったく」
なぜか優しい目で俺を見るのだった。
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