《【書籍化】Fランク冒険者のり上がり、俺だけができる『ステータス作』で最強へと至る【コミカライズ】》冒険者を続ける條件

「それで、ガーネット。話というのはなんだ?」

怒りに任せてか、娘を睨み付けるパセラ伯爵。

こんな雰囲気では彼も意見を言えるわけがない。まず俺は空気を変えることにした。

「そうだ、その前に贈りがあります」

そう言ってあらかじめ用意しておいた寶石箱と酒がった瓶をテーブルの上に並べる。

「ほぅ?」

「まぁ?」

パセラ伯爵と伯爵夫人が聲を出す。どうやら興味を惹かれたようだ。

「こちらは植系ダンジョンと水棲系ダンジョンでそれぞれ手したレアドロップになります。市場でもそれほど出回らない貴重な品です。どうぞ納めください」

「まぁ、綺麗ね」

伯爵夫人が寶石箱を開ける。

き通った水のような明度に、中を粒子が飛びっている石がっていた。

水棲系ダンジョン四層で極まれに遭遇するジュエルスライムからドロップする寶石の一つ『スターアクアマリン』だ。

伯爵夫人は寶石のしさにうっとりしている。

「これは。希モンスター『チェリーブロッサム』が極まれにドロップする『チェリーワイン』ではないか?」

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ワイン瓶を手に取った伯爵は驚きの表を浮かべた。

系モンスターの『チェリーブロッサム』それほど強くないのだが、ダンジョンを徘徊していてもあまり見かけることがない。

遭遇確率はモンスター5000匹に対して1匹という割合で、ドロップボックスを落とす確率も低いことから、このワインは手條件が厳しく貴族の間で伝説として語り継がれていた。

パセラ伯爵も伯爵夫人も贈りに目が釘付けになる。事前にガーネットから聞いておいた報が役に立ったようだ。

「よ、良いのかね? このような貴重なを……」

贈りの効果があったのか、向こうの態度も多化したようだ。

「ええ、たまたま運よく遭遇して手にれただけですから……」

実際のところ、市場に出ている程の価値を俺はじていない。

「そ、そうかね?」

頬がほころんでいる。ここで切り札を使うべきだろう。

「今二人が手にしているはガーネットがダンジョンで討伐したモンスターがドロップしたアイテムです」

「何っ?」

「本當なの、ガーネット?」

俺が告げた真実に二人はガーネットを見た。

「はい。お父様、お母様。ティム先輩がおっしゃるようにそちらの2つの品は私が討伐したモンスターのドロップボックスより排出されました」

両親のガーネットを見る目が先程までと違っている。

怯えが消えたガーネットは二人を見つめるとはっきりと言葉を発した。

「お父様、お母様。私はこの通り冒険者として十分に獨り立ちできるほどの果を出しております。どうかこのまま、彼とともに冒険者を続けるお許しいただけないでしょうか?」

これまでのガーネットは冒険者としても未で、道半ばで死ぬ可能が高かった。

だが、こうして希アイテムを証明に使うことで、彼らに認めさせることができると考えたのだ。

「む……むぅ……」

元々実利で娘を追い出したパセラ伯爵だ。結婚するよりも大きな利を示してやれば形勢は傾くだろう。ことが狙い通りに進んでいると考えていると……。

「私は反対です」

伯爵夫人は寶石箱を閉じるとスターアクアマリンを返してきた。

「元々、私はガーネットが冒険者になることに反対でした。たとえどれだけ強くなろうと、冒険者は常に危険な狀況にを置くことになるはずです」

伯爵夫人の意外な言葉に驚かされる。

「ガーネット、結婚をしなさい。今回のことはチャンスなのですよ? 相手は伯爵家三男ですが、騎士になるほどの実力があります。贅沢ができる生活まではめませんが、子をなしてとしての幸せを摑むことはできます」

その瞳に噓偽りはなく、伯爵夫人はどうやら本気でガーネットのを心配しているらしい。

「あなたもそれでよろしいですわね?」

「う、うむ……」

話の流れが変わる。先程までのような娘を道としてしか見ていないような発言であればガーネットのために壁になってやることもできるが、親として娘のためと言われてしまえば俺にできることはない。

高価な贈りを渡し、冒険者を続けさせてもらえればこの先も供給できるとほのめかした直後に切り返されたのだ。

「それでも、私は……冒険者を…………いえ、この方と一緒にいたいのです。お母様」

お互いに目を逸らさず見つめ合う母娘。

パセラ伯爵はワイン瓶を抱き締めながらり行きを見守っている。

「一つ……條件があります」

「何でしょうか。どのような條件でもおっしゃってください」

このままでは娘が折れないと思ったのか、伯爵夫人は溜息を吐いた。

「今から二週間後、闘技會が開催されます。會場の規模としては中堅程ですが、そこにその騎士も參加する予定です」

王都は広いので、様々な場所にそう言った會場がある。そこで実力を示した人間は國に登用されて兵士になったりするので、中堅とはいえそれなりの人數が參加するはずだ。

伯爵夫人は俺を見ると、

「そこに參加して実力を示してください。あなたがガーネットを守る実力を示したのなら、私は喜んで娘を送り出しましょう」

「えっ? 俺が參加するんですか?」

唐突に話題を振られたので驚いた。

「ティム先輩……」

ガーネットが上目遣いに見つめてくる。瞳を潤ませており、こんな目で見つめられてしまうと落ち著かない。

だが、話の流れとしては悪くない。俺が條件を達することでガーネットが冒険者を続けられる確約をもらえたのだから。

「1つだけ、こちらから條件を付けさせてください」

「何でしょうか?」

「もし俺がこの闘技會に參加する前に死ぬ、もしくは重傷を負ってしまった場合、無條件で彼の言い分を通すと約束してください」

鋭い目付きで伯爵夫人を見る。

ここで話をけさせておきながら妨害工作をしてくることは十分に考えられたからだ。

「それは、當家を信用していないと?」

「殘念ながら、俺は一度命を失いかけているもので」

俺が伯爵に視線を向けると、伯爵夫人とガーネットも同様に見る。

「わ、私は知らんぞ!」

相変わらずワイン瓶を抱きかかえたまま、伯爵は焦りを浮かべる。

この様子からして本當に無関係のようだ。

伯爵夫人は頷くと、

「わかりました。その條件で結構です。念のため、婚姻相手の家にも伝えておきます」

俺の意図が伝わったようで伯爵夫人は「これで文句はないのでしょう?」と目で訴えかけてきた。

これで暗殺に備える必要がなくなり安心して活ができる。

「ティム先輩?」

不安そうにしながら俺の服を摑むガーネット。

「後のことは俺に任せろ」

俺は笑顔を浮かべると彼に言い聞かせるのだった。

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