《【書籍化】Fランク冒険者のり上がり、俺だけができる『ステータス作』で最強へと至る【コミカライズ】》闘技大會1回戦VS名もなき騎士

「おおお、これで中堅どころって本當なのか?」

闘技大會當日。俺は伯爵夫人に指定された大會會場へと足を運んでいた。

向かう途中に、俺と同じように武や防を包んだ男たちがいた。

彼らは張した表を浮かべていたのだが、無理もない。

今回の闘技大會で活躍すれば城の兵士に取り立ててもらうことも夢ではないのだ。

全員気合のれようが違うので、生半可な覚悟では初戦の突破すら危ういだろう。

「ティム先輩。頑張ってください」

聲がする方を見ると、會場を見下ろす2階の観客席からガーネットが手を振っていた。

貴族としての嗜みなのか、ドレスにを包んでいる。

この場には他にも著飾ったもおり、騎士のファンやの応援に來ているのだろうが、ガーネットのしさは群を抜いているので圧倒的に目立っていた。

俺が手を振り返すと、周囲の男たちが注目する。

視線が鋭くなっている気がするが、おそらく大會前で気が立っているのだろう。

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「そう言えば、ガーネットの婚約者候補もいるんだっけか?」

伯爵夫人の言葉を信じるなら騎士らしい。

この場にいるのは大が冒険者なので、騎士鎧をに著けている人を探していたところ……。

「えっ? あの人は……?」

多くの參加者がいる中でひときわ目立つ男がいる。

貴族令嬢の表かし、輝く鎧にマントと寶飾の施された剣を腰に付けた……。

「ニコル……さん?」

俺の地元の街にいるはずのAランク冒険者がそこにいて、周囲の関心を釘づけにしていた。

「どうして、ここに?」

彼は活拠點を地元の街に移したはずなので、今頃サロメさんに張り付いているものだと思っていたのだが、予想外の遭遇に他人の空似ではないかと思い凝視してしまった。

すると、俺が見ていたことに気付いたのか、ニコルさんが視線を俺に向けた。

「やはり君だったか……」

彼は近付いてくると憎しみの籠った目で俺を睨み付けてきた。

「えーと、もしかしてあなたが彼の……?」

王都に知り合いがいない俺にをぶつけてくる人間は限られている。

「なるほど、くたばってはいなかったようだな?」

見下すような目で見られる。元の街ではサロメさんの報規制もあってか意識不明の重となっているはず。

俺はあの街の冒険者たちに好かれていないのを自覚しているので、彼が俺のことを嫌っていてもなんら不思議はなかった。

このタイミングで彼が現れたのは一つの事実を語っている。

おそらくニコルさんがガーネットの婚約者と言うことなのだろう。

元の街に戻るまで王都で冒険者をしていたことから、縁談があったという推測もたつ。

「……ええ、彼をあなたに渡すわけにはいきませんからね」

俺は彼に挑発を返した。

「まあいい、々私と當たる前に負けないことだな」

彼は踵を返すとその場から立ち去った。

「それでは、1回戦の試合を開始します。お互いに自分に恥じぬ戦いをするように」

俺は難しい表を浮かべながら考えている。

現在使っているのはサロメさんに見立ててもらったマジックソード。これまでの冒険で活躍し、すっかり手に馴染んでいる俺の用の武だ。

目の前では俺より2つか3つ年上の騎士鎧にを包んだ男が剣を構えている。

一目見ただけで相當な剣だということがわかる、剣が赤く輝いていることから魔法剣のようだ。

最近王都の武屋で同じような剣が金貨500枚で売られているのをみているのでよほどの金持ちに違いない。

先程のニコルさんもそうだが、闘技大會において武能差というのは馬鹿にならない。

「よろしく頼む。負けないからな」

「ああ、いえ。こちらこそよろしくお願いします」

じっと見ていると彼が握手を求めてきた。

右手を握る力が強い、やはり騎士だけあって腕は確かなようで、一見するとあまり強くなさそうな俺に対しても油斷はしないつもりらしい。

握手を終え、お互いに離れた場所へ立つと、審判の騎士が合図を告げる。

「試合開始!」

「はぁああああああああっ!」

開始と同時に騎士が剣を抜き俺に斬りかかってくる。

「はっ!」

――キンッ――

あまりにも真っすぐに向かってきたので、俺も自分の剣でけ止めた。

「このっ! くっ! はぁぁぁぁぁっ!」

能のおもあるのだろうが、腕も立つようで重たい斬撃が連続で打ちこまれる。

「はぁはぁはぁ。お、思っているよりやるな……」

だが、レベルを上げてスキルを取得している俺にとって彼くらいの強さは想定だ。

「今度はこちらから行きますね」

剣を構えると、これまでの練習相手リザードウォーリアを思い出して攻撃に転じる。

――キンキンキンキンキンッ――

先程までより剣がぶつかる音が短く連続して鳴り響く。

「くっ! くっ! くそおおっ!」

最初は俺の剣をけていた騎士だったが、剣を重ねる回數が増えるにつれ、きが遅れ始める。

やがて、數十回程剣を合わせると……。

――キィーーン! ガシャッ!――

彼の手から弾かれた剣が地面を転がりっていく。

俺は無手になった彼の元に剣先を突き付けると……。

「ま、參ったっ!」

彼は両手を上げて降參を宣言した。

「ティム先輩。恰好良かったですっ!」

いつの間にか応援に駆けつけてくれていたガーネットが喜んでいる様子が目に映る。

「くそっ!」

騎士は地面を毆りつけると、目に涙を浮かべながら退場していった。

余程悔しかったのだろう、まるで人生が懸っていたかのような……、事実この大會にれ込んでいた様子だ。

そんな相手に完勝したわけだが、ここで気を抜くわけにはいかない。

「ガーネットを解放するには最低でもニコルさんよりはよい績が必要になるからな。はしゃぐのは訳にもいかない」

俺は気を引き締めると、控室へと戻っていくのだった。

※お知らせです

この度、この作品、

『Fランク冒険者のり上がり、俺だけができる『ステータス作』で最強へと至る』

が、

【書籍化】&【コミカライズ】することが決定しました!(*´ω`*)

刊行時期と出版社については報が出せるようになり次第告知します。

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