《【書籍化】Fランク冒険者のり上がり、俺だけができる『ステータス作』で最強へと至る【コミカライズ】》暗殺者の正は……
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「くそっ! あの野郎、調子に乗りやがって!」
スラム街に存在する、もう使われていない古びた倉庫の中でニコルはび聲を上げていた。
「にしても旦那、流石に失はないっす。俺たちもあれには引きましたよ」
周囲には暗い雰囲気を纏った人間がいて、含み笑いを浮かべている。彼らは盜賊ギルドの人間で、現在はニコルに雇われている最中だ。
彼は聲を掛けてきた男を睨みつけると、思考を先日へと戻す。
先日、闘技大會の決勝戦で、ニコルはティムと戦った。
その際に失態を犯し、今まで築き上げてきた地位を失ってしまったのだ。
「あいつは初めてあった時から気にらなかったんだ」
ニコルは剣を抜くと、目の前にあったテーブルへと振り下ろす。
「私にあのような恥を掻かせやがって……」
元々、ニコルが王都で冒険者としてり上がったのは、意中の相手であるサロメを振り向かせるためだった。
パーティーが解散する際にプロポーズをしたのだが、けれてもらえず。
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誰の目から見ても魅力的な男になれば振り向いてくれると考えた。それを実現させようと思い、単王都へと向かったのだ。
ところが、王都で果を上げて戻った彼が見たのは、彼がたかだがDランク冒険者の専屬サポートをしている姿。
最初は自分の気を引くための作戦か何かだと考えていたが、彼がティムに向ける視線には暖かさがあった。
気になったニコルは、盜賊ギルドに調査を依頼し、ティムと言う人を徹底的に調べさせた。
結果、彼はギルドが期待する新鋭で、ゆくゆくは冒険者ギルドのエースになると目されていたことを知る。
今はまだサロメが好意を抱いていないようだが、ティムが地位を得たらわからない。彼もサロメに言い寄るかもしれない。
そう考えたニコルは、釘を刺すため、ダンジョンで待ち伏せをして警告をした。
ところが、ティムはその警告をはっきりと拒絶。気が付けばニコルは怒り狂うとティムに襲い掛かっていた。
その後、ティムが意識不明の重となったので安心していたのだが、何故か王都の闘技大會に現れ、自分の前に立ちはだかった。
後は皆が知る通りだ……。
「おまえっ! 間違いなく急所を刺したのではなかったのかっ!」
警告する際、人払いを指示した盜賊ギルドの男をニコルは怒鳴りつける。
ティムの予想外の反抗に苦戦していたところで男がティムを刺した。これまで何人ものターゲットを暗殺している手練れと言うので信じていたのだが……。
「いや、あれは普通死にますって……。エクスポーションでも治せない傷だったんすから」
男の見立ては正しい。ティムが咄嗟に『深く眠る』スキルを取得していなければ今頃生きてはいないだろう。
「とにかくっ! こうなったら手段は選ばない! 金はいくらでもだすっ! やつを殺せっ!」
周囲の気配が変わったところで、
「頭領!」
盜賊の一人がかけこんで來た。
「何だこんな時に……」
話を遮られたニコルは不機嫌そうな顔をすると、
「こんなところで奇遇ですね」
盜賊に囲まれてティムがってきた。
「お、お前っ!」
ティムの顔を見るなり怒鳴りつけるニコル。
「怒鳴らないでくださいよ、話をしにきただけなんですから」
「話し……だと?」
どうしてこの場所がわかったのか、自然と警戒心が高まる。
「ニコルさんの目的は、俺をサロメさんから手を引かせるというものでしょう?」
確かに當初の目的はその通りだった……。
「なら専屬サポートを他の付の人に変えてもらいます。それで手打ちにしませんか?」
「どういうことだ?」
何故いまさらそんな提案をするのか?
「今回のことは誤解なんですよ。俺は別件でけていた依頼に対して『手を引け』と言われていると思ったもので、その件が片付いて改めて狀況を整理しなおしたんです」
「良かったじゃないっすか、これで旦那の目的も達っすね」
頭領もそう口添えをする。
「ふざけるなっ! 大舞臺であんな恥を掻かせておいてこれで終わりだと?」
ニコルが犯した失態の噂は間違いなくサロメの耳にっているはず。いまごろそんな提案をされたところで手遅れなのだ。
ニコルが腸を煮えくり返し、どうすれば目の前の男の表を歪めることができるか考えていると……。
「頭領……」
「どうした?」
困した表を浮かべた盜賊の男が一人のを連れてきた。
「路地裏に潛んでいたを捕まえました」
「ガーネット!? どうして……」
高級な裝をに著けた、思わず見惚れずにはいられないしい姿に、おもわずが湧きおこる。
「ティム先輩、申し訳ありません……捕まってしまいました」
その言葉でニコルは狀況を把握する。元々話し合いと言ってはいたが、ティムとて完全にそれを信じたわけではない。
爭いが起こった際、助けを呼べるように外に人を待機させていたのだと気付いた。
「その娘は……パセラ伯爵家の三。これまた扱いに困るっすね」
Dランク冒険者が失蹤したくらいならそこまで調査の手はびない。盜賊ギルドでどうにでももみ消すことが可能だ。
だが、貴族令嬢ともなれば違う。拐でもされようものなら兵士たちが徹底的に調べ上げる。
國が介してくると、これまでけた後ろ暗い仕事にも調査の手が回るので、どう扱うかで頭領は頭を悩ませた。ところが……。
「そう言えば聞いていたな。お前は才能がまったくない貴族のの面倒を見ていると。よし、そいつをここへ連れてこい」
目を走らせたニコル。盜賊は悩みつつもガーネットをニコルの前へと連行した。
「……どうするつもりっすか?」
目の前には怯えるガーネット、その先には焦りを浮かべるティム。
頭領が眉をひそめ聞いてくると、ニコルは嗜的な笑みを浮かべこういった。
「やつの目の前でこいつを犯して廻してやる」
「やっ、止めろっ!」
ティムのび聲が聞こえる。ニコルはガーネットに手をばし、どのような悲痛な悲鳴を上げるのか楽しみにしていると……。
「この場の全員、伯爵令嬢拐の現行犯で逮捕する!」
いつの間にか、倉庫の周囲を多くの兵士が囲んでいた。
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