《【書籍化】Fランク冒険者のり上がり、俺だけができる『ステータス作』で最強へと至る【コミカライズ】》ダンジョン探索の再開

サロメさんとの通信を終え、冒険者ギルドの職員側の部屋から出ると、ガーネットが男たちに囲まれていた。

はつまらなそうな表を浮かべると、男たちが話し掛けるのを無視しながら本を読んでいる。

元々、容姿が整っているということもあり、彼が獨りで冒険者ギルドにいると邪な思いを抱く男は多い。

俺は彼を連れ出そうと歩いて近付いていく。

「あっ、ティム先輩。お待ちしておりました」

ふと何かに気付いたように顔を上げたガーネットは、俺と目を合わせると満面の笑みを浮かべた。

「悪い、待たせたな。ちょっとサロメさんと話し込んで」

周囲の男どもを無視してガーネットが俺に駆け寄ってくる。

「いいえ、全然大丈夫です。それよりさっさとダンジョンに行きましょう」

背後から、男たちの刺すような視線をじる。

から一刻も早くこの場から立ち去りたい気配をじる。やはり男不審なのは相変わらずのようだ。

「とりあえず、実家に二週間もいる間に隨分と差がひらいてしまいましたから。今日からは先輩に追いつけるように頑張りますね」

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闘技大會での戦闘を思い出しているのだろう。彼は気合をれると、俺の手を引いてダンジョンに向かうのだった。

「ガーネット、次の曲がり角にモンスターが四匹いるから注意してくれ」

「はい、ティム先輩!」

俺が彼報を告げると、ガーネットは慎重な足取りで曲がり角へと進む。そしてしして戻ってくると、

「『アロセラ』か」

ガーネットの後ろにはかし歩行する赤い花を咲かせたモンスターがいた。

あれは『アロセラ』というモンスターで蔓を絡ませて獲を捕獲し尖った牙でかみ砕いてで溶かす恐ろしい存在だった。

「ティム先輩、後お願いします」

素晴らしい速度で走って俺の背中に隠れるガーネット。俺はあらかじめ用意しておいた魔法を放つ。

「【ファイアバースト】」

「「「「キィィィィィィィィィーー!!」」」」

四匹いたアロセラがまとめて発に巻き込まれて吹き飛ぶ。植系モンスターには火魔法が相が良いので、ガーネットに敵を釣ってもらい、その間に俺が魔法の準備をすることで安定した狩りができるようになっていた。

モンスターが焼け落ちるとドロップボックスが出現し『アロセラの』がった瓶を手する。

これは嗜好品の一つで、パンケーキに塗ったり紅茶にたらして味を変えたりと、様々な使い方をすることができる。

「流石ティム先輩。一撃で倒すなんて凄いです」

はそう言うと自分のアイテムボックスを開いて『アロセラの』をしまった。

「それにしても、新スキルの『地図表示』と『索敵』って凄いですね」

「そうだな、特に敵と味方の位置がわかるのは凄く助かる」

自分を中心に500メートル以にいるモンスターの位置が赤く表示されているので、先手を打つことが可能なのだ。

今やったみたいに、ガーネットが敵を引っ張ってきて俺が倒すという連攜も上手く嵌るので、効率よくモンスターを狩ることができていた。

現在俺たちがいるのは植系モンスターが湧くダンジョンの三層になる。

ここは迷路のような作りになっていて、右に左にと移している間に方向覚が狂ってくる。実際、逃げる『チェリーブロッサム』を追いかけていて道がわからなくなって帰るのに苦労したこともあるのだ。

「今なら俺にはガーネットの位置がわかるからな、迷子になってもすぐに迎えに行くこともできるぞ」

「大丈夫です、お手を煩わせないために離れませんので」

満面の笑顔で答えてきた。迷を掛けたがらない彼らしい返事だ。

「そうです、今のでアイテムボックスが埋まってしまいました。ティム先輩はどうでしょうか?」

「俺も、あとししか空きがないな」

「では、そろそろ帰りましょうか?」

効率が良すぎるのも考えものなのか?

潛って半日も経たず、俺たちはダンジョンから帰還するのだった。

「ただいま戻りました。お母様」

「あら、お帰りなさい。早かったのですね、ガーネット」

パセラ伯爵夫人が出迎えてくれる。

現在、俺とガーネットは活拠點としてパセラ伯爵家に滯在している。

実の娘であるガーネットは問題ないのだが、俺までお世話になっているのには訳がある。

「そうだ、家が経営している店から売上金が上がってきたのでお渡ししますね」

パセラ伯爵夫人から売上金が積まれたトレイが差し出される。

金貨が二十枚ある。

俺とガーネットはトレイからそれぞれ金貨十枚ずつけ取った。

「今日の狩りの分も後で部屋に運んでおきますから」

ガーネットは母親にむけてそう言った。

俺までこうしてパセラ伯爵家に世話になっているのはこのためだ。

『アイテムドロップ率増加』のスキルがあるお蔭で、ドロップボックスから手にるアイテムの數が通常の狩りよりも多い。

先日の『チェリーワイン』みたいな希の高いアイテムを頻繁に持ち込むと目立ってしまう。

かといってアイテムボックスに仕舞おうにも保存できる數に限界がある。そこで考えたのが、パセラ伯爵家に代わりに売ってもらうこと。

ダンジョン探索を終え、怪しまれない程度に冒険者ギルドにアイテムを買い取ってもらい、ワインや寶石など、目を惹くアイテムはパセラ伯爵家に持ち込む。

伯爵家は元々王都にいくつも店を構えているし、ワインなどはパセラ伯爵が喜んで買い上げてくれたりするのでこちらとしても助かるのだ。

代わりに売買してもらう手數料として売り上げの三割を支払っているが、それでもこの利益なのだ。

「そうです、ティムさん。旦那様が今夜もお酒に付き合うようにと伝言がありました」

伯爵夫人がとってつけたように伝言を口にする。

「……わかりました」

俺はそう返事をすると、日課となりつつあるパセラ伯爵との酒の席を思い浮かべ苦笑いを浮かべるのだった。

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