《【書籍化】Fランク冒険者のり上がり、俺だけができる『ステータス作』で最強へと至る【コミカライズ】》二人が出した結末
「うっ……ぐすっ……うぇっ」
両手の甲で次々に溢れる涙をガーネットが拭っている。
今しがた、俺はエクスポーションを彼へと返卻し、彼との関係を清算したばかりだ。
正直、彼と過ごす時間は楽しく、ずっとこの関係が続けばよいと考えていた。
だが、彼はあくまで俺に冒険者の指導を頼んでいただけで、自らの意志で俺とパーティーを組んでいたわけではない。
これまで、ガーネットは俺を呼ぶときに名前の後ろに「先輩」とつけて関係を強調していた。
あくまで自分たちは冒険者の先輩と後輩という関係。
彼にそう呼ばれるたび、俺はそのことを強く意識していた。
だけど、そんな曖昧な関係をずっと続けるわけにはいかない。俺には俺の、彼には彼の冒険者としての道があるからだ。
「うっ……ぐすっ、ティムせん……ぱい。今までありがとうござい……ました」
これまでのことを思い出しているのだろう。ここまで涙を流しながら謝の言葉を口にする彼を見てが暖かくなってきた。
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そして、あの時。彼を一人前の冒険者にしてやる、とサロメさんに啖呵を切った自分が間違っていなかったと確信した。
「俺だって、ガーネットがいたから自分を見つめ直すことができた。君と知り合うまでの俺は、他人と関わり合うのをおそれていたんだ。だけど、強くなろうとひたむきになっている君を見ているうちに負けてられないなと考えるようになった」
俺と彼は境遇が似ている。どちらも自分のままならない狀況を知りつつ、それでも冒険者をあきらめることができなかった。
「俺の人生の中で、君との出會いは間違いなく最高のものだったと斷言できるよ」
「うぇ、ティム……せ……んぱい。私も……ティム先輩と出會えてよかったです」
テーブル越しに腕をばすと彼の頭をでる。
こうして泣いている彼は、モンスターを一撃で斬り伏せられるとは思えない程儚げな普通ののようだ。
「今の君なら大丈夫だ。例えどこの冒険者パーティーにっても上手くやっていける」
かつての弱かった、彼はもういないのだと俺は言い聞かせる。
「だから泣くのは止めてくれ」
「はい、ティム先輩」
彼は俺の最後の頼みを聞いてくれたのか、涙を拭くと正面を向いた。
「……ガーネットさん」
「はい、ティム……さん」
彼の名前を改めて呼ぶと、彼も俺の名前を呼び返した。
「今までありがとうございました、ティムさん」
丁寧な辭儀をする彼。
俺は張で手が震えるのを押さえつけながら手を差し出し握手を求める。
彼の手は涙に濡れ、冷えていたが、俺はそんな彼の手を握ると深呼吸をして言った。
「ガーネットさん。改めて俺とパーティーを組んでいただけないでしょうか?」
「はい?」
ガーネットは愕然とすると俺を見た。
「……あの、ティムさん? よく聞こえなかったので、もう一度言ってもらえないでしょうか?」
勇気を振り絞って言ったのだが、どうやらちゃんと聞こえなかったらしい。俺はなけなしの勇気をふたたび振り絞った。
「俺はこれからもガーネットと冒険を続けて行きたい。だから、パーティーを組んでしい」
改めて言葉にすると恥ずかしい。そればかりか張で手が震えてくる。
これまでは、依頼であったことと、エクスポーション弁済などの理由があったから當然のように行をともにしてきた。
だが、彼を一人前の冒険者にするという依頼を終え、最後の理由となっていたエクスポーションを返還した以上、ガーネットは俺と一緒にいる必要がない。
「……あの、ティムさん? どうして今の流れでそうなるのでしょうか?」
彼のが震えている。やはり俺と組むのは嫌なのだろうか?
「ティムさん、おっしゃりましたよね? 『この関係を終わらせるべきだ』と」
「ああ、このまま上下関係を続けて行くことはできないと思ったからな」
「ティムさん、おっしゃりましたよね? 私なら他の冒険者パーティーにっても上手くやっていけるって」
「ああ、ガーネットは自信が足りないことがあるから一言言っておくべきだと思った」
「一度パーティーを解散しておきながら、私と組みたいから改めてパーティーを申請したと?」
「その通りだな」
彼は顔を真っ赤にして俺を睨み付ける。
「言い方が紛らわしいんですよっ!!! 馬鹿ぁぁぁぁっ!!!」
初めて本気で睨み付けられ、初めて怒鳴られた。
ガーネットは大聲を出したからか息を切らせて呼吸を整えている。
「悪かった、やっぱり図々しい頼みだったよな…………」
一時的にパーティーを組んだからといっても彼にも選ぶ権利がある。俺はの中が空くような覚を覚えていると…………。
「私だって、ずっとティムさんと……あなたと一緒にいたいと思っていました!」
ところが、次に彼が言葉にしたのは俺の考えとは真逆の言葉だった。
「……と言うことは?」
をゴクリとならすと続きを促す。
「私がパーティーを組むのはティムさんだけです。他のパーティーなんて絶対に嫌ですから」
ガーネットから熱烈な想いを伝えられ、俺はが熱くなるのだった。
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