《【書籍化】オタク同僚と偽裝結婚した結果、毎日がメッチャ楽しいんだけど!》ご挨拶のつもりが
「持ってきて良かった~」
私はUSBを持って花田屋さん近くのコピーショップにった。
朝の時點でお母様との待ち合わせ時間が決まってなかったが、とりあえずUSBにデータを持ってきたのだ。
結局待ち合わせ時間は19時になり、いつも通り退社した私には絶妙な時間が確保された。
週末にイベントがあり、ワラビちゃんのスペースで売り子をすることになっている。
そこに置く無配のコピー本をこの時間で刷れそうだ!
昔コピー本といえばコンビニで刷っていた。
某コンビニのコピー機は進化してるけど、専門店は全然違うのだ。
作業できるPCがあるし、そこには全てのアプリがっていて即直せる。
そして紙の種類も富で、なにより製本された狀態で出てくるのだ。
神すぎる!
問題は都に數店舗しかない事。
そしてこの店は寫真屋さんがサブでやっている小さな店なので、コピー機が一臺しかない。
待ち合わせまであと1時間ちょっと。時間的には余裕なんだけど……
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「あれ……? 文字が見えない……濃度……?」
私が使いたいコピー機をずっと使っている人がいて、コピーできないのだ。
その子はセーラー服を著た學生さんで、後ろで見ていると分かるんだけど、同じようにコピー本を作ろうとしている。
他にもコピー機はあるけど、本で出てくるのは、この一臺だ。
いつもはお助けのスタッフが居るけど、今日は居ないみたい。
うーん……。
この店は花田屋さんにすごく近いけど、それでも15分前には出たい。
私は出てきている原稿をチラリ見る。
……なるほど。
「すいません、これは濃度の調整じゃ無理だと思うんです」
「えっ?!」
振り向いたの子は、大きなメガネを持ち上げながら振り向いた。
が真っ白で前髪がきっちり揃ってて、メイクなどしてるように見えない。とても真面目そうな子。
私は、黒ベタ上の文字の縁取りは、このサイズの原稿なら3ピクセル以上必要なこと、このフォントは向かないこと……などを教えた。
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「データを修正しないとダメですか」
との子が言うので
「んだ結果を出すには、修正が必要だと思います」
とハッキリ言った。
分かりました、ありがとうございます……との子はアクキーが付いたUSBを抜いて、私に順番を変わった。
よっしゃ、間に合うわ。私はデジタルデータを出して、速攻コピーを始めた。
ツコーンツコーンとコピー機が気持ちよくいて、もう本になって出てくる。
神……!!
私は10部ずつ手に取り、持ってきた紙で束にして、持ってきたボックスにれた。
週末はこのまま持って行けばオッケー。
振り向くと、店のPCでさっきのの子が必死に作業していた。
チラリと見ると、うーん……そのフォントではさっきと同じことになる。
私は後ろからスススと近づいて
「……ここにあるフォントで何とかするなら、最低でもW8以降ですね。フチはここで付けましょう。これはズレます」
「!! ありがとうございます」
私はテキパキとの子の原稿に指示を出して、ついでにコピー機の設定もして出してあげた。
なるほど、ジャンルは任俠ゲームですね。かなりマイナー! しかも主流の逆カプじゃないかな。
だけど分かる……強面けいいよね! 當然口は出さないけど。これはマナーだ。
「ありがとうございました!」
「いえいえ」
私も初めて同人誌を作った時は、思い通りに線が出ない、なんならトーンったのに真っ白、逆に真っ黒、文字は読めない……。
誰か教えてしいと心底思ったものだ。だから若い子が頑張ってると思わず助けてしまう。
だって將來その子が私のジャンルに來て、神配給してくれるかもしれないじゃん! 未來への投資は、結局自分への投資なのだ。
の子は私に會釈しながら店を出て行った。將來の神、配給よろしくね……私は笑顔で見送ったが
「……あ!」
機の上を見るとの子がさっき作業していたPCの橫に紅茶屋の袋が置き去りになっていた。
確認すると、の子はまだ店の外で電話をしていた。
間に合う!
私は袋を手に取って、電話中の彼の前に來て、視界に袋をれた。
「!!」
の子は電話しながら、頭をさげてそれをけ取った。
良かった。
あの袋は今日本橋でしているイギリス展でしか売ってない紅茶の袋だと思う。
気になってたの! 明日仕事終わったらいこ~っと。有名なスコーンも來てるの、めっちゃ食べたいスコーン。
私はスケジュールに『スコーン』とれて、花田屋さんに向かった。
花田屋さんは小さな日本庭園が店の真ん中にある品の良い店だ。
真ん中の庭園は季節それぞれで見せる顔が違う。
5月後半の今は藤棚がしい。暗闇に品よくあるライトが紫の藤の花をよりしく見せている。
「初めまして、滝本の母です」
「初めまして。相沢咲月と申します」
靜かな和室で私は滝本さんのお母様に會って、挨拶した。
滝本さんのお母様はショートのグレイヘアで、優しそうなお顔立ちだった。目がすごく滝本さんに似ていて、ああ、お母様だなあと思った。
シックなベージュのスーツを著ていて「仕事帰りなので、こんな服裝ですみません」と頭をさげた。
そんなの私のほうが悪い。
「私のわがままで、突然のお話になり、申し訳ありません」
頭を下げると
「隆太から話を聞いて、もう私のほうこそすぐにお會いしたかったんですよ。よろしくお願いしますね」
とお母様は言ってくれた。
ああ……なんて思っていた通りの人なのだろう。我が家とは雲泥の差だ。
運ばれてきた食事をしながら滝本さんは姿勢を正して
「だからさ、安心して橘さんと結婚してよ。俺はもう大丈夫だから」
と言う。
私も靜かに目を伏せて頭を軽く下げて同意する。
お母様は、ふう……とため息をついてお箸を置いて
「私もそうしたいんだけど……どうしても向こうの娘さん……絵里香ちゃんって言うんだけどね。私が家にるのを嫌がってる気がするのよ。外でお茶とかはよくしてるのよ? 今日もこれを持ってきてくれてね。隆太のお嫁さんにどうぞ……って、よろしくお願いしますって!」
「あっ……お気遣いすいません、私のほうは本當に仕事帰りで何もお持ち出來ずに……」
「持ってきてくれたのは絵里香ちゃんよ、私は相沢さんと同じ。今日はご挨拶ですものね」
と優しくほほ笑んでくれた。
ああ、気遣いに気遣いを返された……。
ではすいません、ありがとうございます……と袋をけ取った。
これはイギリスの紅茶。これ私大好きで明日買いに行こうと……と脳に言葉を準備して袋の中を見ると
「!!」
さっきコピーショップで見たアクキー付きのUSBが見えた。
これは間違いない、さっき會ったの子が使っていたUSBだ。
あのコピーショップは花田屋さんにとても近い。
つまり私と同じ思考……? お土産を買い、待ち合わせに近いあの店でついでにコピー本を印刷していた……
さっきのの子は、滝本さんのお母さんの再婚相手の娘さんだ!
そんな偶然あっていいの? 私は気が付かれないように荷の中からUSBを取り、上著のポケットにれた。
これにはあの原稿データがってるはず。中は當然任俠BLで、再婚相手のお母様には見られたくないこと間違いなし。
「橘さんのお宅にお邪魔しても、部屋から一歩も出てこないし、お休みの日も居ないことが多くて……やはり家にられるのはイヤなんじゃないかしら」
「絵里香ちゃん、真面目ないい子だし、學校厳しいから勉強も大変なんじゃないかな」
滝本さんがフォローする。うん、勉強してると思うよ。でも部屋で原稿もしてるんだ、絵里香ちゃん。
しかもさっき刷ってた折り本、準備號だったからね、本の本は落ちてるんだ……たぶん。
出すって告知してスペースも取っちゃったから、何もない機の上に出來なくて作ってるんだよ!
滝本さんのお母様は
「だからせめて高校卒業まで待とうかなって思ってるの」
「そうやって俺の時も待ってて……橘さんも一緒に住みたいって言ってくれてるんだろ?」
「だけど、絵里香ちゃんの気持ちが一番大切よ」
ああ、なんて良い人たち。
でも違うんですわ。
自分の城とかペースとかあって、お父さんだけなら適當にあしらえたけど、知らない人がってくると落ち著いて原稿出來ないんじゃないかな?
絵里香ちゃんの気持ちが分かる! でも……橫をチラッと見ると、滝本さんもお母様もションボリしている。
とにかく私に出來ることは、この【命のUSB】を渡してあげることだ。
「今度はぜひご自宅のほうにお邪魔させてください。隆太さんが子供の頃のお話とか聞かせてください」
「ぜひ來てね。待ってるわ」
お母様と私たちは地下鉄の駅前で別れた。
橫で滝本さんが「ふう……」と息を吐き「おつかれさまでした」と言う。
私はキュッと滝本さんのほうを見て
「絵里香ちゃんのLineとか、知ってますか?」
とポケットからアクキー付きのUSBを出した。
今ごろめちゃくちゃ焦っているはずだ。コンビニにBL生原稿忘れたことある私だから分かる。
滝本さんは
「分かりますけど……?」
と首を傾げた。
連絡だけは今日中にしないと絵里香ちゃん泣いちゃうよ!
【書籍化】追放された公爵令嬢、ヴィルヘルミーナが幸せになるまで。
「お前との婚約をここで破棄する! 平民の研究者が功績を上げて勲章を與えられたからな。お前をその褒美として嫁がせよう!」 王太子の婚約者であった公爵令嬢ヴィルヘルミーナは、夜會の席で婚約を破棄されて平民との結婚を命じられる。 王太子に嵌められ、実家である公爵家からも僅かな手切れ金だけ渡して追放され、顔も見たことのない平民の研究者の元へと嫁がされることとなった。 ーーこれがわたくしの旦那様、ダサい男ですわね。 身長は高いがガリガリに痩せた貓背で服のサイズも合わず、髪はもじゃもじゃの男。それが彼女の夫となるアレクシであった。 最初は互いを好ましく思っていなかった二人だが、ヴィルヘルミーナは彼の研究を支え、服裝を正すなかで惹かれ合うようになる。そして彼女を追放した実家や王太子を見返すまでに成り上がって幸せになっていく。 一方、彼女を追放した者たちは破滅していくのであった。 【書籍化】が決まりました。詳細はいずれ。 日間・週間総合ランキング1位 月間総合ランキング2位達成 皆様の応援に感謝いたします。
8 127【書籍化/コミカライズ決定】婚約破棄された無表情令嬢が幸せになるまで〜勤務先の天然たらし騎士団長様がとろっとろに甘やかして溺愛してくるのですが!?〜
★書籍化★コミカライズ★決定しました! ありがとうございます! 「セリス、お前との婚約を破棄したい。その冷たい目に耐えられないんだ」 『絶対記憶能力』を持つセリスは昔から表情が乏しいせいで、美しいアイスブルーの瞳は冷たく見られがちだった。 そんな伯爵令嬢セリス・シュトラールは、ある日婚約者のギルバートに婚約の破棄を告げられる。挙句、義妹のアーチェスを新たな婚約者として迎え入れるという。 その結果、體裁が悪いからとセリスは実家の伯爵家を追い出され、第四騎士団──通稱『騎士団の墓場』の寄宿舎で下働きをすることになった。 第四騎士団は他の騎士団で問題を起こしたものの集まりで、その中でも騎士団長ジェド・ジルベスターは『冷酷殘忍』だと有名らしいのだが。 「私は自分の目で見たものしか信じませんわ」 ──セリスは偏見を持たない女性だった。 だというのに、ギルバートの思惑により、セリスは悪い噂を流されてしまう。しかし騎士団長のジェドも『自分の目で見たものしか信じない質』らしく……? そんな二人が惹かれ合うのは必然で、ジェドが天然たらしと世話好きを発動して、セリスを貓可愛がりするのが日常化し──。 「照れてるのか? 可愛い奴」「!?」 「ほら、あーんしてやるから口開けな」「……っ!?」 団員ともすぐに打ち明け、楽しい日々を過ごすセリス。時折記憶力が良過ぎることを指摘されながらも、數少ない特技だとあっけらかんに言うが、それは類稀なる才能だった。 一方で婚約破棄をしたギルバートのアーチェスへの態度は、どんどん冷たくなっていき……? 無表情だが心優しいセリスを、天然たらしの世話好きの騎士団長──ジェドがとろとろと甘やかしていく溺愛の物語である。 ◇◇◇ 短編は日間総合ランキング1位 連載版は日間総合ランキング3位 ありがとうございます! 短編版は六話の途中辺りまでになりますが、それまでも加筆がありますので、良ければ冒頭からお読みください。 ※爵位に関して作品獨自のものがあります。ご都合主義もありますのでゆるい気持ちでご覧ください。 ザマァありますが、基本は甘々だったりほのぼのです。 ★レーベル様や発売日に関しては開示許可がで次第ご報告させていただきます。
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