《【書籍版8/2発売】S級學園の自稱「普通」、可すぎる彼たちにグイグイ來られてバレバレです。》2 腐れ縁を切ったら、自由になった

【ほぼ毎日投稿】るあ姫が斬る!~わきまえなさいッ~

チャンネル登録者數108.5萬人

『ぶんぶーん。へろぅ、ヨウチューブ! 聲優やってる〝るあ姫〟こと、高屋敷瑠亜でーすっ!』

『ん。今日はねぇ、「いちばんムカついたこと」ってテーマでしゃべろっかな~』

『あーね、アタシね、お晝にね、クラスの子たちとカラオケいったんだけどー』

『あ、もちろん子だけだよ? アタシキャだからw 男子トカ怖くてしゃべれないしぃ』

『そのときにね、ひとりだけノリの悪い子がいてー』

『ひとりムスッとして歌わなくて。おまけに途中で帰るとか言い出してー。テンションダダ下がり~』

『その子、アタシがったからさ。みんなに申し訳なくてー』

『これ聞いてる臣下のみんなもね? ちゃーんとわかっといてほしいの』

『ひとりはみんなのために、ってコトバ』

『せっかく盛り上がってる場を臺無しにするようなこと、ダメゼッタイ!!』

『じゃないと、るあ泣いちゃうからねっ。ぐすぐすっ』

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『最後に、業務れんらくー』

『新しいお仕事が決まりました! どんどんどんぱふー』

『同じ事務所・同じ學校の聲優・皆瀬甘音(みなせあまね)ちゃんと、ユニット組んで、CD出します!』

『詳しいことが決まったら、またこのチャンネルで告知するから、見逃さないでよ?』

『そーゆーわけで、るあ姫でしたっ♪ まったねぃ♪』

『とーろくとーろく♪ ちゃんねるとーろくー♪』

【コメント欄 1052】

まずい棒・1分前

いるよな、そーゆー空気読めないやつ

ドンガバス・1分前

姫様には我々がついておりますぞ!!

ヘラジカ緑茶・2分前

るあ姫に恥かかせたヤツ、ぶち殺してえ…。

ST・2分前

ユニット決定おめ!

るあたん好き好きマン・3分前

ミナセってだれ? ググってもウィキすらねーし

吉田・3分前

姫の格を下げるような子と組んでほしくねーな

さて――。

俺の機と椅子が、廊下におっぽり出されているわけですが。

こういう時、いろいろと選択肢はあると思う。

定番行としては、機を教室に運び込んで、何事もなかったような顔で席に座り、周りの嘲笑に耐えながら心を無にして授業をけること。おそらくこういう目に遭ったら、八割の生徒がこの選択肢を選ぶであろう。仕方なく。

殘りの二割は、職員室に駆け込むはずだ。

すなわち、先生に言いつける。

り紙という証拠もあることだし、熱心な先生であれば「いじめ」として取り扱ってくれるかもしれない。大人に頼るとは弱なようだが、勇気ある生徒はむしろこちらの選択肢を選ぶのではないか。

だが、俺としてはナイ。この選択肢はナイ。

理由はふたつ。

ひとつは、この帝開(ていかい)學園の特殊

もうひとつは、瑠亜が人気聲優であることだ。

創立十年に満たない新設私立高校である帝開は、學校を有名にしようと躍起になっている。部活にも進學にもめちゃめちゃ力をれていて、試で良い績を取った者は授業料免除、スポーツで優秀な者には寮費をタダにしてまで、全國から「特待生」を集めているのである。「イケてるヤツらを集めて學園を有名にしよう」というのがこの學園の方針――いや、『法律』なのだ。

勉強・スポーツ・蕓能に秀でた天才が、上。

その他凡人は、下。

このカーストは、ある時は隠然と、ある時は骨に、この學園を支配しているのだ。

そんな〝天才學園〟のなかで、今一番知名度があり、もっとも広告塔として目立っているのが、るあ姫様こと高屋敷瑠亜だ。

普通、人気聲優が自分の通う學校名を公にするなんてありえないのだろうけど、瑠亜はふつーに「帝開生」であることを畫でしゃべっている。瑠亜のチャンネル「るあ姫が斬る!」は事務所が管理しているらしいから、學校にも事務所にも公認なのだろう。時々、ファンが校門に押しかけてきて警備員とめてることがあるけど、それも學校は「広告費」代わりに思っているのかもしれない。

それほど瑠亜を大事にしている學校が、俺なんかの味方をするだろうか?

もちろんNO!

うちの擔任のハゲジジイにしてからが、瑠亜のことを貓かわいがりしている。瑠亜も彼の前では貓かぶっている。では「うわーあのハゲジジイキモッ。見られただけで髪のぬけちゃう~」とか抜かしているが、知らぬはおハゲばかりなり。

そういうわけで、選択肢は「機を教室に戻して、黙って授業をける」しかない。

――の、だけれど。

もう、ぼっちで生きていく覚悟を決めた俺には、第3の選択肢がある。

「……これでよし、っと」

り紙にキュキュッとマジックで書き足して、教室の扉にり付ける。

機と椅子を、通行の邪魔にならないよう、廊下の隅にくっつける。

俺は歩き出した。

り紙には、おハゲ先生にあてて、こう書いてある。

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おめえの席、ねーからw

――と、高屋敷瑠亜さんに言われたので、ひとりで自習します。

高屋敷さんの命令ですので、ちゃんと出席扱いにしてくださいね。

よろしくお願いします。

鈴木和真

-----------------

學校(會社)の人気者に逆らうって、勇気りますよね。

でもいっそ解き放たれてしまえば、楽。

〝無敵の人〟。

そんなじで展開していきます。

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