《【書籍版8/2発売】S級學園の自稱「普通」、可すぎる彼たちにグイグイ來られてバレバレです。》5 馴染は未練があるようだ
【ほぼ毎日投稿】るあ姫様が斬る!~わきまえなさいッ~
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『はろはろ~ん、ヨウチューブ!』
『聲優チューバー〝るあ姫様〟こと、瑠亜ですっ!』
『ん。今日はねー、ムカついたことと、良かったこと、ひとつずつしゃべろっかなー』
『ムカついたことは、大切な――じゃなくて、友達が、アタシの目の前でイジメられてたこと』
『なんかさぁ、『これはイジメじゃない、イジリだ!』とか開き直ってて』
『ほら、アタシって正義強いほうじゃん? そういうの許せなくてー』
『「今度やったら承知しねーぞッ♪ ぷんぷんっ♥」って、圧力かけといたw』
『良かったことはねえ、大好きなカ――じゃなくて、友達の、カッコイイところ見れたことかなっ』
『チョーシのってるクラスメイトに、ビシッとバシッと言ってやっててさあ』
『……マジ、かっこよかった……』
『あ! 言っておくけど! これ友達のハナシだからね! 男の子じゃないから!』
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『がに惚れるってヤツよ! アタシ、男子のことコワくて(汗 高校ってまだいっかいもしゃべれてない(汗汗』
『最後に、業務れんらくー』
『きのう話した皆瀬甘音ちゃんとのお披目ライブが決まりましたっ』
『日にちはちょっと急なんだけど、10日後の日曜、5月20日!』
『會場はシャインモール1F広場でっす。なんと観覧無料!』
『詳しいことはまたこのチャンネルでお知らせするから、みんな來ってねん♪』
『そーゆーわけで、あなたのアイドル、るあ姫でしたっ♪』
『とーろくとーろく♪ ちゃんねるとーろくー♪』
【コメント欄 1552】
砂糖昆布・1分前
いますよね。イジメじゃなくてイジリだって言い張る人。他人の痛みがわからないのかな。
クラピカミルクティー・1分前
イジメかっこわるい! 姫様さすが!
すいからーく・2分前
その友達、素敵な人ですねー
ドラコンバール・2分前
百合の波をじるっ!
るあ姫の家來A・3分前
ミナセとか言う、メインの役いっこもねーじゃん。テイカイのごり押し枠?
吉田・3分前
皆瀬氏ね。事務所はもっとるあ姫を大事にすべし。
・
・
・
◆
皆瀬甘音の練習に付き合うようになって、一週間――。
放課後、地下書庫に二人で集まって、毎日彼の歌とダンスを見せてもらった。
正直、歌は上手いとは言いがたいけど――ダンスはなかなかのものだ。
おっとりしている彼にしては意外とリズムがあって、なかなか軽快に踴れている。テレビで見かけるアイドルなんかと遜ないように見える。多分これは、家でも相當練習してるんだな。ダンス用のシューズがボロボロになってるし。
難點は、姿勢が貓背でうつむき加減なところか。
こればかりは、本人の格によるものだろう。練習したからどうこうなるもんじゃない。
一曲通しての練習×3を終え、タオルで汗を拭いている彼に言った。
「ダンスはもう、十分なんじゃないかな」
「そ、そうですか? こんなんじゃ、まだまだ瑠亜さんには……」
「アレのダンスは見たことがないけど、そのくらい踴れれば十分上手いと思うよ。それより姿勢がね」
彼はシュンとなった。
「やっぱり私、貓背ですよね。振り付けの先生にもいつも怒られるんです」
「じゃあいっそ、貓背を活かしてみたらどう?」
「貓背を??? 活かす???」
キョトンとする彼に、俺は立ち上がって見本を見せた。
「こんな風に手を丸めてさ。にゃーんって」
「にゃ、にゃ~~~ん?」
「そうそう」
前屈みになって、両手で貓の手を作って、鈴が鳴るような聲で鳴く皆瀬さん。
……いや、わりとマジで可いんですけど。
前髪隠れたままで、この破壊力はただ事じゃない。
「それで、さっきのダンス踴ってみるといいんじゃない?」
「は、はいっ、やってみます!」
彼は再び踴り出した。にゃん♪ にゃん♪ にゃん♪ って。いや、別に彼が鳴いてるんじゃなくて、自然とそういう聲が俺の耳に聞こえてくるのだ。そのくらい、彼の貓ダンスはノリが良くて、可らしくて、見る者を和ませて楽しませる「何か」があった。
前世は貓だったのかな……。
ブタと貓のユニット。けっこう人気出るんじゃないか? もちろん、ブタさんのほうが引き立て役で。
「にゃんにゃん♪ あまにゃん♪ あまにゃん♪ にゃぁ~ん♪」
あまにゃんにゃん♪
思わず、俺まで口ずさんでしまった。
「はーっ、はーっ……♪」
踴り終わった後、彼の表は晴れ晴れとしていた。ようやく自分の武が見つかった、みたいな。どうやら彼にも手応えがあったようだ。
「裝さんに頼んで、貓耳としっぽを作ってもらうといいかもね」
「はいっ!」
笑顔を弾けさせた皆瀬さんだったけど、すぐにシュンと肩を落とした。
「……でも、だめですね。これは、ユニットでは使えません」
「えっ。どうして?」
「瑠亜さんと調和しないからです。聲優としての格は彼が圧倒的に上ですから。私は瑠亜さんの引き立て役に徹しないと」
「ああ、なるほど」
キャで気で、前髪ロングな彼が選ばれた理由がよくわかった。事務所もバカじゃない。ちゃーんとそこは計算してるってわけだ。
「それに私、歌うのや踴るのは本職じゃないですから。〝聲優〟ですから。アニメのキャラクターを演じたいです!」
「なんか、生き生きしてるね」
「アニメ大好きですから! 鈴木くんには、こんな歌やダンスじゃなくて、演技の練習を見てもらいたいです」
なんて、ちょっぴり積極を覗かせて。
こんな顔もするんだ、彼。
心の底から、アニメが好きなんだな。聲優って仕事が好きなんだな。
……本當、良い子じゃないか。
アイドルじゃなくて、立派な〝役者〟だ。
どうしてこんな子が無名で、ブタが有名なんだろう。聲優業界って、そういうものなのか?
「ところで鈴木くん、ちょっと気になってることがあるんですけど……」
「ん?」
彼は、言いにくそうにもじもじした。そんな風にすると、服をぱっつり盛り上げるたわわなモノが強調されて、ちょっと目の毒。
「この前、瑠亜さんと鈴木くんがケンカしたって聞いて。もしかして私のせいですか?」
「へ? いや、全然関係ないけど」
「瑠亜さんとはなじみだって聞きました。もしかして、板挾みにさせちゃってませんか?」
「ぜーんぜん」
そもそも、あのブタはもうなじみじゃない。ただのクラスメイト。いや、クラスブタ?
「アレとはもう、なんの関わりもないから。なんとも思ってない」
「あんな、綺麗な子なのに?」
「綺麗?」
ああ、そういえばブタさんって意外と綺麗好きだと聞いたことがあるなあ。
「綺麗かどうか知らないけど、俺的にはどうでもいいかな」
すると、彼はほっとをで下ろした。
「あ、あのっ。鈴……か、和真くんっ!」
「うん?」
彼は急に顔を近づけてきた。
前髪からちらっと覗く大きな瞳が、ウルウルしている。いつも見えないだけに、たまに見えると破壊力抜群だな。
「も、もしよかったら、わ、わわ、わたしと、わたしとっ……」
勇気を振り絞るように、彼が何か言いかけたその時だった。
――バァン!!
地下書庫の扉が蹴破られる。
後を背負って現れしは、小さな人影。
埃の舞うなかに、きらきらと揺れる長い金髪。
形の良いがぎゅぎゅっと吊り上がる。
腕組みをして仁王立ちするのは――1匹のブタであった。
「 浮 気 の 現 場 、 ハ ッ ケ ソ ! 」
…………古っ。
いつもブックマーク、評価ありがとうございます。
誤字報告してくださる心優しきお方もいて、とても助かっています。
しかし、しかしですね……。
部分數:第4部分 報告日:2020/03/01
93行目:
×「か、かっこいぃ……」
↓
○「カッ、カカロットォ……ッ」
ち、ちがうんです……。
ここは、誤字ではないのです。
確かにブタさん、ちょっとギャリックしてるところはありますが、決して、そのような戦闘民族ではないのです……。
本日はあと1話更新します!
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