《【書籍版8/2発売】S級學園の自稱「普通」、可すぎる彼たちにグイグイ來られてバレバレです。》1 新たなプロローグ

長いあいだ待っててくださって本當にありがとうございます!

のんびりとですが連載再開します。

未読の方がこの章から読んでもある程度読めるように書いていきます。

また、想欄を開放しました。

どうぞよろしくお願いします。

十月。

子の制服がブラウスからブレザーへと移り変わる季節。

連日マスコミを賑わすJK社長、胡蝶涼華(こちょうすずか)さんはこう言った。

「和真(かずま)君。プールに行きましょう」

「秋なのに?」

「ええ、秋なのに」

銀髪の生徒會長は、鮮やかな赤ので笑みを作った。

生徒會室に二人きりで呼び出されたから、何かと思えば――。

「秋に泳いじゃいけないって法律も校則もないでしょう? 暑ければ、構わず泳げばいいのよ」

「今日の最高気溫は十七度で、別に暑いってほどじゃないですが」

「もう……和真君?」

今度は子供みたいにを尖らせる。

と同じ赤で塗られたネイルが、つんと俺のを突いた。

「それは、私の水著姿を見たくない――ということ?」

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俺は返答に詰まった。

こういう時、なんて答えるのが普通なんだろう。

ってもらっているんだから、素直に喜べばいいのだろうけれど――。

高校生男子の素直な求を口にするのも、失禮な気がする。

「會長の水著姿を見たくない男子なんて、この帝開學園にはいないと思いますよ」

「他の男子の話はしてないの。あなたの話をしてるのよ。一年一組鈴木和真君」

しまった。怒らせたか。

まったくの子の扱いに慣れてない俺。経験値のなさが出てしまう。小學校中學校、子と話した回數なんて數えるほどしかなかったんだから。

「――見たいです」

観念して、本音を話した。

「會長はスタイル抜群ですから。水著姿もきっと素敵なんだろうなと思います。一緒にプールに行って、泳いだり遊んだりしながら、一日じゅう見ていたいです」

「……ん。合格」

會長は視線を橫に泳がせた。

目元がほんのりと赤い。

「決まりね。いつがいい?」

「俺はいつも暇ですから。忙しい會長に合わせます」

學園では生徒會長、それ以外ではベンチャー企業社長という胡蝶涼華は、日本でも指折りの「多忙な子高生」だろう。

「いきなり明日でもいいの?」

「土曜ですもんね。もちろん構いません」

「じゃあ、明日午前十一時、レジャープールのり口前で。遅れたら駄目よ」

念を押すように言うと、會長はふいに背びをした。

ブレザーの中で窮屈そうにしている大きな大きなふくらみが、俺のに當たって甘くはじける。

顔が近づく。

突然の零距離攻撃。

いや、〝口撃〟。

「……」

「……」

濡れた音とともに、俺のにはルージュの跡が殘った。

「まずいですよ會長。學校で」

會長は潤んだ目で言った。

「遠慮も手加減もしていられないわ。何しろ、ライバルが多いんだから」

ライバルというのは、俺を取り巻く彼たちのことだろう。

新人聲優の皆瀬甘音ちゃん。

最近めきめき実力をつけて、いろんなアニメで名前を見かけるようになった。

けなげながんばり屋さんで、応援したくなる。

ダンス部特待生の同級生・鮎川彩加。

バイト先が同じで、そこでは清楚可憐なメイドさんだったりする。

學校ではカーストトップのギャルなのに、そのギャップには驚かされる。

演劇部の花形スター・白鷺イサミ。

は男子生徒ということになっているけれど――実はとても可い中學生のの子だ。

形だから子にモテているようだが、俺の前ではただひたすら甘えんぼだったりする。

部の天才畫家・綿木ましろ。

優しくてふっくらとした、包み込むような溫もりを持つ二年生の先輩だ。

俺に絵を描く楽しさを教えてくれた人でもある。

四人とも、とても個かな、可すぎる彼たちなのだが――。

どうやら俺は、この四人から想いを寄せられているらしい。

やれやれ。

何故こうなったんだかさっぱりわからないが、ともかく、そうなってしまった。

涼華會長はため息をつく。

「ライバル四人とも、規格外と言って良いほど魅力的だものね。私もうかうかしていられないってわけ」

「四人? 三人では?」

甘音ちゃん。彩加。ましろ先輩。

これで三人。

會長は白鷺イサミが子であることは知らないから、まさかライバルにはカウントしてないだろう。

「いいえ四人よ。皆瀬さん、鮎川さん、綿木さん。それから――高屋敷瑠亜さん」

「ああ、なんだ」

人間の名前に混じってブタの名前が出てきたので、拍子抜けした。

アレをカウントしてたわけか。

さすが會長、人間も家畜も平等に扱うってわけだ。SDGsに対する意識が高い……いや、関係ないか?

「あいつとは、もう絶縁してますから」

「それは、知っているけど」

會長の顔は晴れない。

あのブタが、まだ俺に粘著していることを知っているからだ。

「瑠亜さんは今をときめく超人気アイドル。しかも世界有數の資産家である高屋敷泰造氏の孫娘。どんな理不盡なわがままも通してしまえる〝王〟なのよ。特にこの帝開學園では」

確かにそれは事実である。

瑠亜とそのバックにいる高屋敷泰造の権力は絶大なものがある。

時の総理ですら、頭があがらない。

この國で、あのジジイとブタに逆らって生きていける者はいないだろう。

「瑠亜さんは、どんな手を使ってもあなたを取り戻すつもりよ。高屋敷家の権力と暴力をフルに使って、それこそ――人を殺してでも。そのくらいの執念をじるわ。同じだからこそ、わかるのよ」

「そうかもしれませんね」

會長の勘は當たっている。

確かにあのブタは、俺を取り戻すためならば、人のひとりやふたり平気で殺すだろう。

事実、彩加とましろ先輩は、ブタの手下に殺されかけている。

しかし――。

「俺とあいつは、もう絶縁してますから」

重ねて俺は言った。

「どこに現れようと徹底的に無視するだけです。たとえあいつがどれだけ俺に執著していようと、どんな汚い手を使って來ようとね。それでも會長たちに手を出すというなら、容赦はしない。迎え撃って、叩き潰して、思い知らせるまでです――『普通』に生きるために」

い頃から、ずっと瑠亜の奴隷に甘んじていた俺。

普通に生きることすら、許されなかった俺。

だが、數ヶ月前に瑠亜が発したある一言によって、俺は覚醒した。

〝アンタとなじみってだけでも嫌なのにw〟

――ああ、俺もだよ。

この語は。

なじみとの絶縁をきっかけに。

すぎる彼たちと出會うことになった俺が。

〝普通〟の高校生を目指していくお話。

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