《【書籍版8/2発売】S級學園の自稱「普通」、可すぎる彼たちにグイグイ來られてバレバレです。》15 キャ VS 100人のアウトロー
こんなことだろうと思った。
案の定、である。
清原兄弟。
三男がいっちゃんに手を出して。
次男が、甘音ちゃんを的にして。
ならば長男も何かしでかすだろう――と思っていたところだったのだ。
やつの企みは、こうだ。
俺が「黒に染まれ」の大會に出場しているスキに、甘音ちゃんたちをさらう。
そういう作戦を、ブタさんに吹き込まれたのだ。
ブタは三人への復讐を果たせる。
清原兄弟は、極上のを三人手にれることができる。
両者の利害が一致しての、この作戦だったわけだ。
だが――その企みは挫(くじ)かれてしまった。
俺が阻止したのだ。
ももちー先輩のおかげだ。
撮れ高に気をとられていた俺に、甘音ちゃんたちの危機を知らせてくれたのは彼だ。
おかげで、第二プールに連れ込まれていた三人を助けることができた。
だから――今度は俺が、先輩を助けるターンだ。
◆
ももちー先輩を背中にかばいながら、清原長男と対峙する。
Advertisement
さすがに次男や三男とは違う。
が発する「圧」が違う。
分厚く、そして度の濃い筋。
青白い蛇のれ墨が、隆々とした筋の上にうねっている。
顔半分もその蛇に覆われ、細い目がギラギラとっていた。
「ガキが、思い知らせてやる――」
やつは、俺と視線を合わせたまま、ゆっくり後ずさる。
さっきの試合會場の方へと、後ずさっていく。
すでに大會は終わっているが、観客が半分以上は殘っている。
大會「黒に染まれ」に參加した百人のアウトローたちも居殘っている。
ヤンキー、チンピラ、ならず者だ。ウンコ座りでしゃがみ込み、煙草を吸って、酒を飲んで、周囲にゴミと騒音をまき散らしている。
そんな連中が、長男の姿を見かけた途端――。
「おい! 超星(すたー)さんだぜ!」
「不良のカリスマ!」
「マジ? 今からメン限配信? もう撮ってんの?」
「あれ、さっきのブッ飛び野郎じゃね? まだ居たのか?」
口々に、崇め始めた。
長男は得意そうにの端を吊り上げて、大聲で言った。
「これより『黒染ま』のメンバー限定配信を始める!」
百人のアウトローたちが、歓喜の奇聲を発した。
俺は背中に守る桃の髪の先輩に尋ねた。
「ももちー先輩。メンバー限定配信ってなんですか?」
「清原兄弟のオンラインサロンにお金を払ってるメンバーしか見られない、特別な番組よ。視聴者がコアで限られているから、普通の配信より過激なことができるの」
ふうん。
過激、ね……。
長男が演説を続ける。
「今日のテーマは『キャ VS 不良百人』だ。大會參加者百人全員で、このガキと戦ってもらう。タイマンを百回やってもいいし、百人で一斉にかかってもいい。お前らに任せる」
えっ、というどよめきが起きた。
百人分のどよめきだ。
その聲が、視線が、怒濤のように押し寄せてくる。
背中でももちー先輩が足をすくませる気配が伝わってきた。
安心させるため、その細い腰を抱き寄せた。
「大丈夫です。俺が守りますから」
先輩は恥ずかしそうにモジモジして「馬鹿……」とつぶやいたが、俺のに顔をくっつけて離れようとはしなかった。
ヤンキーのひとりが聲をあげた。
「おいおい、何ももちーとイチャついてんだよ! キャ!」
「あんだけかっこ悪い負け方しといて、よく粋がれるなぁ? オオ?」
百人の敵意が束になって、俺のにぶつかってくる。
さっき長男が企畫を宣言した時は、戸いもあったように思う。「いくらなんでも、百人で一人をボコるなんて」という戸いだ。もちろんそれは俺を思いやったわけではなく「勝負にならない」「撮れ高なさすぎ」ということで発したものだろう。
だが、可憐なアイドルをこの手に抱く俺を見て、その戸いは敵意に変わったようだ。
そこにすかさず、長男が油を注ぎに行く。
「さらに追加だ。あのキャから桃原ちとせを取り返したら、ちとせをお前らの好きにしていい。いいか? もう一度言うぞ。『好きにしていい』。ケツは全部この俺が持ってやる。さらに最初にゲットしたやつには、一千萬の賞金を出す!」
再び、百人分のどよめきが起きた。
そこにはもう、戸いはない。
興にまみれた聲だった。
「マジかよ、あのももちーを」
「いいの? 配信で?」
「しかも一千萬もらえるって……」
「やべーっしょ、それ、やべえッ!」
「バカ、超星さんならやるんだよ! やれるんだよ!」
「さすが、不良のカリスマ!」
「さすスマ!」
ふーん。
百人の男でよってたかって、の子ひとりを嬲り者にするのが、カリスマか。
どうやら「カリスマ」の定義は、俺が知らないうちに書き換わっていたらしい。
盛り上がる観衆に満足したように、長男が言った。
「オンライン上のコメントも盛り上がってる。そこに大型ビジョンに映すから、リアルもネットも同時に盛り上がろう」
プールの背後にあるイベント用の大型モニターに、配信の様子が映し出されている。
コメントがすごい勢いで畫面を流れている。
■不良三世 すげー超星さん、気前よすぎぃ!!
■瑠亜姫好き好きマン え、ほんとに? ももちーが? え? え?
■シルヴァーナ公爵 今から會場行っても間に合いますか!?
■無頼男 デストローイ!
■クリリソ 悟空! はやくこないでくれーーー!
■はべりん あのキャ、さっきすげー飛んでたヤツじゃんw
■炭酸抜きコーラ オイオイオイ死ぬわアイツw
咎めるようなコメントは一切ない。
配信を見てる連中も、ここに集まった百人と大差はない民度のようだ。
わざわざこの反社兄弟に月謝を払っているような連中、そのモラルと知能は推して知るべしだ。
「どうしたキャくん。今更びびってももう遅いぞ?」
カリスマは勝ち誇ったように言った。
「畫がびる訣を教えてやろうか? カネと、暴力と、セックスだ。この三つこそ最大の撮れ高、エンタメなのさ。だから俺たち兄弟が天下を取れる。世の愚民どもがそれを選択したんだ。お前とちとせには、その生贄(ネタ)になってもらう――」
なるほど、貴重なご意見だ。
「ごめんなさい」
か細い聲が、その時聞こえた。
ももちー先輩が、大きな目に涙を浮かべながら、俺を上目遣いに見つめている。
「あたしのせいで巻き込んで。本當にごめんなさい。あんたはただ、の子たちと遊びに來てただけだったのに」
俺はその涙をそっと拭った。
百人から怒號があがる。
「俺は、あなたを泣かせるようなやつを、無條件で憎むことができます。それがカリスマだろうとチャンピオンだろうと、知ったことじゃありません」
そもそも、俺は正義の味方ではない。
俺は、俺が可いと思うの子の味方だ。
だから――。
「ももちー先輩。すぐそばで、見ていてください」
左手での腰を抱いたまま、俺は百人と対峙する。
「『外道』や『裏社會』より〝キャ〟のほうが強いってところをね」
S級學園、全國書店にて発売中です!
このカバーを見かけたら、ぜひお手にとってみてくださいね!
異世界から日本に帰ってきたけど、やっぱりダンジョンに入りたい! えっ、18歳未満は禁止だって? だったらひとまずは、魔法學院に通ってパーティーメンバーを育成しようか
異世界から帰ってきた楢崎聡史と桜の雙子は、胸躍る冒険の日々を忘れられなくて、日本に発生したダンジョンに入場しようとする。だが〔18歳未満入場禁止〕という法律の前に、二人の希望は潰えてしまった。そこに救いの手を差し伸べたのは、魔法學院の學院長。二人の能力に気が付いて、即戦力としてダンジョンの攻略をさせようと、學院への編入を勧める。ダンジョンに入る権利を手に入れようと試験を受ける二人…… だが彼らの想像以上に、日本の魔法はレベルが低かった。異世界帰りの高いレベルと數多くのスキル、そして多種多様な魔法を生かして、學院生活を送りながらダンジョンを攻略する雙子の活躍に、次第に注目が集まっていく。 肩の力を抜いて読める內容です。感想等お寄せいただけると、とても嬉しいです!
8 193【書籍化・コミカライズ決定!】過労死寸前だった私は隣國の王子様と偽裝結婚することになりました
書籍化・コミカライズが決定しました! 情報は追ってお知らせいたします。 宮廷付與術師として働くフィリス・リールカーン。彼女は國內で初めて宮廷付きになった付與術師として活躍していた。両親を失い、多額の借金を肩代わりしてくれた婚約者とその家に恩返しをするため、日夜パワハラに耐えながら仕事に打ち込む。 しかしそんな努力も空しく、ある日突然信じていた婚約者から婚約破棄を言い渡されてしまう。知らぬ間に浮気されていたことを知り、悲しみと怒りが溢れるフィリス。仕事で朝帰りをしている時に愚癡を漏らしていたら、見知らぬ男性に聞かれてしまった! しかもその相手は、隣國の王子様だった! 絶體絶命の窮地に陥ったフィリスに、隣國の王子は予想外の提案をする。 「フィリス、お前は俺の嫁になれ」 これは無自覚な天才付與術師が、新天地で幸せを摑む物語。
8 52旋風のルスト 〜逆境少女の傭兵ライフと、無頼英傑たちの西方國境戦記〜
【一二三書房WEB小説大賞金賞受賞】《新・旋風のルスト:公開中です!》 <あらすじ>────────────────── 『私は家畜にはならない。たとえ飢えて痩せ衰えても、自らの意思で荒野を歩む狼の生き方を摑み取る!』 ■17歳の銀髪・碧眼の美少女ルストは重い病の母の治療費のために傭兵として懸命に働いていた。屈強な男たちと肩を並べて戦うが、女性としても小柄であり、実績も無く、名前も売れていないルストは傭兵として仕事を得るのも困難を極めていた。 だが、諦めない前向きな心を持つルストは、ついに未來へとつながる大きなチャンスを摑む。 『小隊長を任されたエルスト・ターナーです。よろしくお願い致します!』 ■そんなルストは、女の子故に腕っぷしや武力では屈強な男たちには敵わない。だが優れた洞察力と包容力と指導力、そして精霊科學『精術』を武器に困難な事態を次々に打ち破り、人々のために確かな明日へと繋がる未來を切り開いていく。 『みなさん! これは困難ではありません! 千載一遇のチャンスです!』 ■気高さに溢れた美少女傭兵が、精霊科學の殘る悠久の大地フェンデリオル國で砂漠の大帝國と戦い、人々を幸せへと導く! 孤獨な道を歩んでいた一人の少女が、傭兵となり救國の英雄となり、幸せの絆を取り戻すロマン溢れるサクセスストーリー! <⇩お知らせ>────────────────── 【一二三書房WEB小説大賞金賞受賞いたしました、ありがとうございます! これに伴い書籍化されます!】 【新・旋風のルスト ―英傑令嬢の特級傭兵ライフと精鋭傭兵たちの國際諜報戦記―】 2月26日開始しました! ──────────────── ただいま、ノベプラ・カクヨム・ノベリズムでも掲載中です
8 112白雪姫の継母に転生してしまいましたが、これって悪役令嬢ものですか?
主人公のソシエは森で気を失っているたところを若き王に助けられる。王はソシエを見初めて結婚を申し込むが、ソシエには記憶がなかった。 一方、ミラーと名乗る魔法使いがソシエに耳打ちする。「あなたは私の魔術の師匠です。すべては王に取り入るための策略だったのに、覚えていないのですか? まあいい、これでこの國は私たちのものです」 王がソシエを気に入ったのも、魔法の効果らしいが……。 王には前妻の殘した一人娘がいた。その名はスノーホワイト。どうもここは白雪姫の世界らしい。
8 1031分の時があれば
主人公の永合亮は超美人な同級生に好かれている自覚なし!?そして、ふとした事で同級生を悲しませてしまう。亮は謝ろうと決心する。だが、転校してしまう同級生。亮はどうするのか。
8 123ガチャで爆死したら異世界転移しました
7月21日、更新しました。 特技ゲーム、趣味ゲームという、ごくごく普通の高校2年生 佐藤 慎也が、ゲームのガチャで爆死したら……。ん?女の子?僕が!? ゲームのキャラになって異世界転移!? ※初投稿、小説初書きなので遅く下手ですが、楽しんでくれれば幸いです。明らかな誤字、脫字などがありましたら、ご指摘よろしくお願いします。
8 177