《【書籍化・コミカライズ】無自覚な天才は気付かない~あらゆる分野で努力しても家族が全く褒めてくれないので、家出して冒険者になりました~》朱に溶け込めるか

フラグじゃないと言ったな? あれは真実だ

「リアナちゃん……目立たないように、目立たないようにね! リアナちゃんに自覚がないのは承知してるけど、『このくらい普通の人でも出來る』とか憶測で行に移しちゃだめだよ!」

「わ、わかりました。気を引き締めて講習に挑みます!」

「引き締め過ぎなくていいよ!」

初心者講習の前、「監督役の冒険者のアシスタントやるよ~」とギルドマスターさんに申し出ていたフレドさんは「それよりこっちの依頼を頼む」と別の仕事を任せられてとても心配しながら近くのダンジョン型迷宮に向かった。の高い依頼のようだ。當然守義務があるので私は詳しい事は聞いていない。

どうやら私が試験中何か失敗したらフォローできるようにと思ってくれていたらしく、そんなに心配させていたのかと申し訳なく思いつつもその気持ちがとても嬉しかった。フレドさんが失するような結果を出さないように気を付けないと!

「へー、リアナちゃん狩人スタイルなんだ。ねぇオレ近距離武だし今度一緒に討伐行かない? バランス良いと思うんだよね」

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「えーと……申し訳ありません、しばらくは採取依頼中心にこの街の周りの地理や薬草の分布などを學ぼうと思ってるので……討伐依頼をける予定は當分無いんです」

「じゃあ俺が護衛やってあげるよ!」

「護衛が必要なところに行く予定も無いので、あの、お気持ちはありがたいのですが……」

講習が始まる前から私は試練に直面していた。なるべく目立たず今日を終えるつもりだったのに、これでは最初から先行きが不安になる。

なぜこんなに絡んでくるのだろう。執拗に私について來ようとしてる……もしかして、そんなに、見ただけで分かるほど頼りないのかしら。

騎士に混じって訓練もしていたから男が苦手という訳ではないけど、この人のようなタイプが初めてで……私は終始圧倒されてしまっていた。

名前はギール、武は槍。出地では自警団に所屬していたが、その才能をこの地で埋もれさせるのはもったいないとその村の長や親から後押しをけて街に出てきたらしい。だから登録したのは最近だが実戦経験は富なので良かったら々教えてあげてもいいと。

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いきなり話しかけられて自己紹介された際、私が「戦闘には自信が無い」と言ったためこのように提案してくれたらしい。

一方的に話すその言葉をただ聞くしかできないが、その自信の強さは素直に憧れてしまう。私もこんな風に、誰かに教えられるくらい何かが得意だったら良かったのだが。

見た限り、立ち姿勢の重心の置き方や筋の付き方ではそれほどの実力はじない。戦ったら私が勝ってしまうのではないか。……いや、普段はそう分からないようにこうして隠しているのかもしれない。

私は視線を向けないように観察していたが、何もわからなかったのでじりじりと距離をあけて離れようとしていた。

「そこ、おしゃべりは休憩時間にやりなさい。……それでは申し込んだ全員が集まったようなのでだな。これより初心者向けの講習を開始するぞ。俺は銀級冒険者のレイブ。『暁の牙』のパーティーのリーダーを務めている」

待ち合わせにと指定された街の門の前で參加者の人數を確認した後今日の引率を引きける冒険者が聲を上げて皆がそれに注目した。それによって私に話しかけていた人も一旦喋るのをやめたので心ほっとしてしまう。

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中堅以上の冒険者になるとこうして新人の育も依頼に加わる。ギルドが指導に向いてるタイプの人を味して出すものだが、容のわりにギルドへの貢獻度の點數になるので味しいのだとフレドさんが言っていた。冒険者としてのランクを上げるためにはこういった仕事もこなす必要がある、その代わり報酬は控えめだが。

なので目の前にいるレイブさんのように、「怪我の治りかけ」とかでの慣らしをかねてけるには丁度いい依頼らしい。私は彼の肘にってある付(ハップ)剤から、捻挫などでよく使われる系統の薬草の匂いをほのかに嗅ぎ取った。

隣に立つ魔法使いの裝備のエレーナさんは同じパーティーの方だそうだ。

私達も順番に簡単な自己紹介を話すように言われる。手元の名簿を見ながら順番に指していっている、なら私は最後の九番目になるだろう。

「リアナといいます。猟師のおじいちゃんに森の歩き方を教わりました。武は弓が一応使えます」

他の人達は、自分の得意な事を上手くアピールしながらパーティーメンバーを募集してたりしていた。皆さんコミュニケーション能力が高い。

私は反省を生かして、しばらくは事を知っているフレドさん以外の人と行を共にしなくても良いように、考えつつ相談して「リアナ」の設定を作った。

國が変われば、常識も変わる。私が使った技や魔法がここでは特別珍しいもので、そこから出自がバレる可能もある、ここでの「常識」に自然に溶け込めるようになるまで単獨で行した方が良いって言われたし、私もなるほどと思って納得した。

しばらく採取メインでくからという名目もそうだが、基本単獨で行してを隠し痕跡を消し、潛んで獲を狙う猟師だったら討伐でも誰かの同行を斷る口実になる。だ、だから、ここですぐ友達を作ろうとは思っていないから、これでいいの。

普通の「駆け出し冒険者」を観察して、何の変哲もない新人として溶け込まないと。私は心で意気込んだ。

「リアナちゃん……初心者講習、無事に終わったの……?」

「はい、無事に。……特に冒険者失格になるような忌も犯してないと思います!」

「あ、ううん。そっちの心配じゃないんだけどね」

講習終了後、座學が行われた二階から降りてくるとフレドさんが待っていて、おそるおそるといったように尋ねてきた。

私はそれにを張って、「目立つような事はしなかった」という意味で斷言する。

ちゃんと周りを見て、「悪目立ちしない程度の出來」を計算して上手く立ち回れたと思う。當然、手を抜くことはしていない。私が手を抜いたりなんてしたら「何もかも出來なさ過ぎて冒険者になんてさせられない」と止められる恐れもあったし。

期待されてること……を実行可能な最低限の果で応える、という指針。それに名簿的に、私の前に良いお手本として「駆け出し冒険者」のサンプルを見せてくれて良かった。

役の冒険者に失されないくらいのきを見せることが出來たと思う。

「お、フレド。リアナちゃんのお迎えか?」

「レイブさん、お久しぶり。そうそう、おじさん……リアナちゃんのお父さんから頼まれちゃってるからね。しばらく変なのに騙されないように見てやってくれって」

「そうだなぁ、腕っぷしも強いし依頼はもう一人でけてもいいと思うけど、可い子だから街の中の方が心配だなぁ」

「え? ……もっとこう、『超期待の新人!』とか『100年に一度の逸材!』とかそんなじじゃないの?」

「なんだ、お前。妹弟子だからってひいき目が過ぎるぞ」

「あ、いやー。あはは」

からかわれたフレドさんは笑って済ませていたが、そんな風に持ち上げられすぎて私はその後ろでとても恥ずかしい思いをしていた。フレドさんに持ち上げられすぎて肩が狹い。

けど実家にいた時に私の家族の顔を窺ったお世辭とは違って。褒めてもらうのはまだ慣れないけど嬉しくて、「全的に初心者と思えないくらい優秀だった」と言われた私はその言葉に思ったよりしてしまった。

初日が終わった景気づけにご飯行こう、とわれた私は昨日と同じ、庶民向けのちょっといい食事処の個室でフレドさんと向かい合っていた。何か言う前に、「出世払いね、ランク上がったら何かおごってよ」と言われてしまって私は「絶対にちゃんと夕食を馳走するんだから」とこっそり心に誓う。

「なんか、聞いた限りほんとに問題なく初心者講習終わったみたいだね?」

「はい。……フレドさん心配しすぎですよ」

「絶対何かこう、『このくらいできて當然なのでは』って、ベテランもドン引くようなすごい技を見せてとんでもない騒ぎになってると思ったんだけど」

フレドさん、この街に來るまでもずっとその事気にしてたけど、何かそれに嫌な心當たりでもあるのかしら。

「普通の、いや違う。その分野の一人前のプロじゃないと出來ない技、他に何も持ってないよね? 範囲殲滅魔法を軽く放てるとか、魔法で高度広範囲の索敵が出來るとか、銀級相當の魔が一人であっさり倒せるとか、そういうの」

昨日もそうやって真顔で確認された。當然私に思い當たることはないので、すべていいえと答えたが。……お父様が「これくらい本職の魔導士なら出來て當然」と言うレベルの事を一度も満足に出來たことなんて無いし、お兄様にも「今のは運が良かっただけで実力で倒したとは言えない」と銀級魔の討伐を認めてもらった事は無かったから。

あの人達が、魔法と戦闘でそれぞれ國一番の人がああ言ってたのだから、私は一人前とは名乗れないし、プロなら誰もが習得しているはずの技も無いのだろう。それは確かだ。

「トラブルとかも特になかった?」

「えっと、多分無かったと思います」

講習の開始前に何故だかやたらしつこく話しかけてくる男の子がいたけど、あれはトラブルと言うほどの事ではないだろう。

それに、実力を見るためにって教役のレイブさんが全員との手合わせが終わった次の休憩時間には急に無口になって、口を利くことは無かった。と言うか私を避けていたように見える。

との手合わせで何かあったのだろうか。まぁ多分これから仲良くする予定もないから別にいいか。

「何も? 軽く実力を見るって言われて、手合わせで教役をボコボコに叩きのめしちゃったりとかしてない?」

「そ、そんなことしませんよぉ」

「的に向けて魔法を使ってみろって言われてあたり一帯焦土にしたりも?」

「ふふ、フレドさんってたまにそうやって冗談言いますよね」

「わりと本気なんだけどね」

なんだか、すごく現実のない事を急に言い出すものだから、私は話が大きすぎてつい笑ってしまった。

だって、家出してる事を隠してる私はなるべく目立たないようにしなきゃいけないんだから、そんな事する訳ないのに。まぁ、しろと言われたら出來たけど、やれと言われていないのにするような事ではない。そのくらいは判斷できる。

「リアナちゃん、弓もレイブさんが褒めるくらい上手かったんだね~。道中は乗合馬車と魔導機関車で魔とは無縁だったけど、それなら兄妹の冒険者のフリしても良かったかな」

「そんな、あの中ではってだけで。銀級のフレドさんの狩場では私は足手まといですよ」

私は各分野のプロに師事していたのだから完全な素人ではない。だからレイブさんの言葉には「初心者講習にしては」という但し書きが付くことくらい私だってわかっている。

冒険者になるには実力不足だなんて言われないか冷や冷やしたけど、腕についてはそこまで重要ではないのだとしばらく見ていて気付いた。「いきなり無茶をしてすぐ死んだりしないか」とか、それを見るためのものなのだろう。

「どんどん強くなってガンガンランク上げて稼ぎたい」って言ってた男の子はかなりやり込められてたけど……自分の実力が分かっていて、當分は街の近くの採取依頼くらいしかける気がない私は何も言われなかったのがその証拠。

施設の使い方や依頼書の見方、依頼のけ方、ギルドランクの昇進についてなどしっかり學べたので、これから実力相當に自力で生活できる程度にしっかり稼いでいきたい。

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