《【書籍化・コミカライズ】無自覚な天才は気付かない~あらゆる分野で努力しても家族が全く褒めてくれないので、家出して冒険者になりました~》まだ慣れない
今日は冒険者一日目。國境を越えてアンナを迎えに行ってもらう依頼を後々出す必要があるから、今の手持ちの資金はなるべく減らさないように、その上でギルドからの評価を上げることを何より意識して依頼をこなさないと。
掲示板に推奨ランク別に張り出されていた依頼をいくつかチェックをした上で、私でも出來そうなものの番號札を取って、領手続きを行う。當然、昨日初心者講習が終わったような新人の私がけるレベルの依頼かどうかや、注意事項については付で確認した上だ。
偶然手が空いてて相談に乗ってもらったダーリヤさんには準備もちゃんと出來てるって褒めていただいたし。「みんなリアナちゃんくらい慎重にやってもらいたいくらいだわ」って心されたのはちょっと照れたけど。
「ケブロアの森で薬草と、粘土質の土の採取……」
私が最初けようと思ったのは薬草だけだが、同じ場所で簡単に採取できるからと「粘土質の土」についてもついでに頼まれた形だ。
猟師のおじいちゃんから15の人のお祝いにもらった設定のマジックバッグがあるせいだろう。重いし高価な買取ではないので人気が無い。しかしこういった依頼に協力するとギルドからの評価が付くのだ。
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依頼発行者はリンデメンの街の錬金協會になっている。おそらく薬草の人工栽培についての研究で使うのだろうな、と私はあたりを付けた。リンデメンに所屬する錬金師の研究で、その分野に関しての論文を複數読んだことがある。
薬草に限らず錬金に使うような素材は人の手で育てると薬効が消えたり、うまく育たないことが多い。薬草は完全に供給が需要に追いついておらず、人工栽培について人類が長年向かい合っている課題の一つだ。だから薬草の採取依頼が絶えないのである。栽培には自然な生を再現することが要なのだとは分かっているが、それが難しい。
この土もきっと誰かの研究のためになるんだろうと思うと使命がわいてきた。
私は持ち出し用の簡易依頼書を鞄の中にしまうと昨日教わったこの辺りの地図を頭に思い浮かべて森の方に歩き出す。
依頼書には雑草との見分け方のポイントと、識字が出來ない人の事も考えてか詳細なイラストも記されている。
リンデメンの街の付近でこの薬草が分布しているエリアも大まかに書かれていた。
このルーマツグミ草は人間の生活圏から外れた瘴気の存在する空間でしか生育できないが、あまり瘴気が濃すぎる奧地でも育ちにくい種類だ。
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私の生國では自生していない植だったが、薬草學で學んだ知識にあったので採取だけなら問題はなさそうだ。
資料などがほぼ全て手元にないので詳細な検討が出來ないのが々不安だが。でも娯楽本はともかく、魔導寫真がカラーで載ってたり発行部數がなかったりで専門書はやはり高価だ。駆け出し冒険者が大量に所有しているのは不自然なので、本屋を巡ったり目立ちそうな行為は控えよう。
數か國語の辭書など最低限必要なものは持ち出しているし、多分……しばらくは大丈夫だろう。
「ルーマツグミ草、……この季節なら白い小さな花に、黃いめしべ、明るい緑の丸い葉っぱ……ああ、あった」
私は街近くの、森の外周部を歩きながら足元に注意を向けて目當てのものを探していった。周囲、魔への警戒も怠らないようにしつつ作業をしていく。
ルーマツグミ草は外用、服共に外傷の傷薬の材料として使われる。
主に赤いに薬効分の大部分が集中してるが全草を煎じたりすり潰して炎癥への民間薬としても用いられており、そのままでも創傷治癒促進などの作用があるが錬金には暗赤になるまで乾燥したが使用される。
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主に薬師の作る傷薬の原料や、低級の外傷ポーションに利用されている。
學名や分名がパッと出てこない。外國にしか自生しない薬草だったので実際扱った事は無かったからこのくらいしか覚えてないな……。採取できるものが変わるので、地域が変わると同じ「低級ポーション」でも一般的レシピがガラッと変わってしまう。
この國では比較的手にりやすい、傷薬の原料となる薬草だが、當然離れた地では他の薬草が使われているわけだから。
代替できない素材ならともかく、わざわざ取り寄せて使うようなものではないので重要ではないと無意識に判斷してしまっていたのだろう。こんな事になると分かっていたらしっかり覚えていたのだが、勢いで実行した家出にそんな事を言っても仕方のないことだ。
依頼書には「なるべくっこを長く掘り返して傷付けずに持って帰ってしい」と書いてあったので、一般人が畑を耕す時に用いる生活魔法を利用してなるべくを完璧な狀態で殘せるように注意深く掘り起こした。
ルーマツグミはあまり背が高く育たない植だが、薬効部位となる主は人ひとり分よりも深く地下にを下ろしている。達しなくてはならない目標を、最低限必要な手段を用いてこなすのだ。
先端までキレイに採取できたっこから優しく泥汚れを落とすと、傷付けないように丁寧にくるくる巻き取って束にした一本分を紙に包んだ。この種の薬効分は水溶なので、泥を洗い流す時にゴシゴシこするのは厳。側も切れるし、傷から分が流れてしまうから。
処理はこれで問題ないはず、と私は次のルーマツグミ草を探し始めた。あと5本も探せば今日の食事と宿代になるが、今後の事を考えるとし多めに採取して余裕を持っておきたい。
その後も同じ作業を繰り返して、満足のいく形で採取できたルーマツグミ草を確保した私は日が傾く前に、粘土質の土を採取して街に戻ることにした。
「あの、依頼の納品をしたいのですが」
「……ん? あ、俺行くよ。……はーい、今見るよー!」
私はギルドの裏手から、無人だった納品用の窓口の奧に聲をかけた。まだギルドが依頼達者で込み合う時間には早かったからだろう。(混む前にと早めに戻ったわけだが)
奧で談笑していたうち、想のいい若い男が一人杖をつきながらカウンターにやってきた。
「あ、新人さん? 初依頼はどうだった?」
「薬草採取自は、地元でもやった事があったのでそこまで問題は無かったと思います」
「へぇ、リアナちゃんっていうんだ。君みたいな若くて可い子も冒険者になる前からちゃんと働いてたんだ。偉いなぁ」
「えっと……ありがとう、ございます……?」
紙に包んだまま提出したルーマツグミ草と麻袋にれた粘土質の土をチラッと見た職員らしい男は、採取が間違ってないかだけ確認をすると納品を細かく査定せずに私の出した依頼書を眺め始めた。いや、相當な目利きで、一瞬見ただけで査定が終わったのかもしれないけど。
「リアナちゃん弓が使えるんだ。でも森の奧に行くにはちょっと勇気が出ないじかな。俺怪我で休んでギルド手伝ってるけどもうすぐ復帰予定だから、そしたらうちのパーティーと一緒に討伐連れてってあげようか? 勉強になると思うよ。そのままメンバーに加わってもいいし」
「あの」
「遠慮しなくていいよ。新人育も先輩の役目だからさ」
「……た、大変栄ですが、すみません。私は猟師の技しか知らないので、大勢での戦闘には向いてないんです」
改めて謝罪に頭を下げると、男は笑顔を消して「あっそ」と一言呟いた。
悪い事はしてないはずなのに、なんだかの奧にモヤモヤしたものが殘ってしまう。
「ルーマ草8本と、土15タンタルで、これが報酬ね。確認して」
「……はい、確かに」
トレーにじゃらりと置かれた貨を目視で確認すると、私はそれを財布の中にしまった。依頼書に記載されていた金額と納品量を暗算で計算して、不足も過分もないと確認した上で。
なんだか明らかに不機嫌になった男が、依頼書に納品済みの判を押して評定を書き込む。
返してもらったそれをけ取ると、名前のサインとともに「可」を示す評価が書き込まれていた。良かった、達したけど評定が低い、とかそんな事態にならずに済んで。
「可」なら標準的な評価と言って問題ないだろう。採取した素材の狀態が良いと買い取り金額が上がったりするのだが、それに當てはまるとは最初から思っていない。
報酬をけ取った証拠として、下半分を切り取ってサインをして返した私は「ありがとうございました」と禮を告げて納品窓口を後にした。
「リアナちゃん、お疲れ様。今帰り?」
「いえ、さっき納品が終わったところです。フレドさんは今戻ったんですね」
「そうそう、ギルドマスターの人使いが荒くて」
明日ける依頼をチェックしておこうかと思って正面付の方に回ったら、ちょうどフレドさんとその友人らしき方達が到著したところだった。朝は合わなかったけど、やはり野営前提でない限り日が暮れる前に戻るのが普通だから。このくらいから混み始めるのだ。
大げさに「疲れた」とアピールするフレドさんに笑いがれてしまう。でもそう言いつつ依頼をけるフレドさんはここのマスターの事をきちんと信頼しているのだろう。
「……リアナちゃん、今日も俺と晩飯食べに行かない?」
「私は食事を一緒に摂ってくれる相手が出來て嬉しいですけど、今日一緒に依頼をけた方達とはいいんですか?」
「あいつら皆酒癖が悪くてさ~夕飯付き合うといつも二日酔いになって大変な目に遭うんだよね。俺を助けると思って!」
口実だとは分かっている、私が上手くやっていけてるか相変わらず心配してくれているのだろう。こうして分からないようにさりげなく気遣ってくれてる。それだけではなくて、その提案を斷りたくないと思った私は心喜んで食事のいをけた。
「あ! その子が話してた妹弟子ちゃんだな」
「かわいい子だな」
「やめろやめろ! リアナちゃんのおやじさんにキツク言われてるんだから! 変な蟲がつかないように見ててくれって」
私が挨拶する間もなく、彼らを言葉通り蟲のように追い払ったフレドさんは「報酬はいつも通り口座に!」と言い殘して込み始めたギルドの中から逃げ出すように私を連れて外に出た。
嵐のようだ。私は流されるままになっていた。
「昨日と同じとこでいい? 初依頼達祝いってことで」
「や、屋臺で食べましょうよ。味しいところを教えてしいです!」
また奢られてしまう、と危機を覚えた私はそう言われる前に自分から提案した。そうでなくても、そこまで高級な店ではないとはいえ、今の私の収で3日連続外食は贅沢すぎる。
この地域でも、一般的な冒険者は屋臺で食事を買って家に持ち帰って食べるのが普通だ。早朝と深夜でそれぞれ営業してる店も多い。
「屋臺は……うーん、聞きたいことあったから個室が良かったんだ。じゃないと俺の家になっちゃうよ」
「じゃあフレドさんのお宅でいいですか?!」
「ダ……! だめってことはないけど……リアナちゃんはほんとにそれでいいの……?
?」
「えっと、フレドさんのお邪魔でないなら、お願いしても良いですか?」
「……リアナちゃん、俺以外の男には、一人暮らししてる部屋に行かない方が良い……というか絶対しちゃダメだよ。もしわれたら俺に教えてね。そいつのこと強めに叱るから」
なんだか深刻そうな様子でフレドさんはそう言って、困ったように頭をかいていた。私だってそのくらいの分別はあるし、信用してない人なら部屋に行ったりしないのだが。
言い訳に聞こえてしまうだろうから、私はわかりよく「分かりました」とだけ答えておいた。
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