《【書籍化・コミカライズ】三食晝寢付き生活を約束してください、公爵様》4.報収集は洗濯場で1

報収集は、世の常だ。

おしゃべり好きはどこにでもいるし、噂好きもどこにでもいる。

今日も今日とて、わたしは元気にお洗濯。

のお仕著せ著ていれば、誰もが認めるリンドベルド公爵家下の一人に早変わり。

なんでこんなの持っているのかというと、びっくりする事に、クローゼットにありました。

たぶん嫌がらせの一種なんだろうけど、わたしは大層喜びました。

ありがとう、ミリアム夫人。

あなたのプレゼントは忘れない!

そんなわけで、下に扮したわたしは、楽しくお洗濯をしながらも、下のお姉様方と楽しくおしゃべり。

たちはとっても報通。

しかも、時々わたしを哀れんで、差しれもくれたりするのだから、最高です。

主に容に関するものだけど。

おかげで、この一か月でかなりまともになった。

無駄に暇なおかげで、睡眠だけは良くとれている。

寢不足は容の天敵とまで言われるそれは確かな事で、すばらしい寢のおかげで良質な睡眠がとれて、目の隈が消え青白い顔も本來のを取り戻している。

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睡眠だけでなく、栄養価だけは高い激マズ家畜飯のおかげでもあるけど、絶対に認めたくはない。

ちなみに、あれは十日で我慢の限界を迎え、以降一切口にしておりません。

「若いっていいわね! あたしなんて一回でも徹夜したらがボロボロでもとに戻るのに何か月かかるか……確か十七歳だったわよね?」

そう言ってくるのは、この洗濯場で一番初めに會ったお姉様で名前はリル。

濃い青い髪と同の瞳が知的な輝きと姉の気の強さが見え隠れする、年長者。

年二十五歳の行き遅れ間近だと嘆いているけど、全く焦ってはいない模様。

「本當ねぇ、こんなにツルツルして。うらやましい限りだわ。それに、この白さ。どうしたらこんなに生まれるのかしら?」

そんな事を言いつつわたしのでまわし、ぐいっと両方の手でわたしの頬挾み覗き込むのは、第二のお姉様のライラ。

ピンクの髪がフワフワゆれて、らかく顔にれた。

だってまだ十九で、ピチピチのおなのにわたしのをうらやまし気にっている。

ちなみに、わたしのの白さは家系的なものだ。

もともと家系的にが白く生まれる。

にとっての白いというのは何歳になっても憧れらしく、いろんな人からうらやましがられる。

「そういえば、侍長様が超怒ってたって知ってる?」

じゃぶじゃぶ洗濯を洗いながら、噂話を展開するのは、十八歳の新人のリーナだ。

明るいオレンジの髪と瞳は、元気一杯で、いつも楽し気だ。

噂好きで、一どこから噂話を仕れているのか分からない程、詳しくよく知っている。

なにせ、この城の如く邸宅の中だけでなく市中の噂や、社界の出來事さえも知っていたりするので、何者かな? と真剣に考えてしまう事もあった。

「知ってるも何も、あの人聲大きいじゃない。すぐ広まるわよ」

「公爵様がいないことをいい事に好き勝手してるけど、肝心の公爵様がいないんじゃ、どうしようもないって事でしょ」

噂の的は、ミリアム夫人。

一介の使用人しかいないような場所で、んでいれば、そりゃあ広がるスピードは速い速い。

わたしからしたら、そんなの昔からじゃないのかな? って思うようなこと。

容は旦那様がこの城――もとい邸宅に寄りつかないことに起因していた。

一か月間、旦那様をこの邸宅で見かけた事はないし、ミリアム夫人も苛々と言っていた。

見てくれアレなわたしを見て、娘をとりあえず妾にでもしようとしていたようだけど、まあ、本人いなけりゃ無理ですよね。

されるだけの自信がおありなようでしたけど、未だに手を付けられていないのだから、もう諦めればいいのに。

本當に行き遅れになりますよと親切に進言してあげたい。

なにせ、聞いた話ではミリアム夫人の娘さん――エリーゼは、年二十三。

貴族社會においては、立派な行き遅れの部類にる。

一応、前公爵様が娘のようにかわいがっていたと言うのは噓ではないようで、それなりに持參金はつけてもらえるらしい。

公爵家の事は社界に上りやすいのに、なぜわたしが彼の話を知らないのかと言うと、それは皇様が関係しているご様子だ。

自分が結婚しようと思っていた相手を狙っているが、公爵邸に住んでいたら、気分がいいものではない。

つまり、完全に社界から追い出すように、彼の事は無視同然だし、皇様がそんな態度なら、他のものも追従するのは當然の事だ。

の場にも呼ばれることはない。

それに旦那様も彼のために骨折ってまで何とかしたいとも思っていないようだ。

そのため、一部の人間だけが彼の事を知っていて、皇様より年下のわたしが參する頃にはすっかり彼のことは忘れられた存在に。

たぶん異母姉は知っていたと思う。

でも、わざわざそれを教えなかったのは、わたしに対する嫌がらせだったのだろう。

今思うと、それも旦那様がわたしを選ぶ理由になったような気がした。

それでも持參金についてはそれなりに知られているので、つられて結婚を申し込む人もいるにはいる。

でも、この公爵家で、めばなんでも手にる生活をしていたら、どこの家も見劣りして、結局未だに結婚していない。

しかも、病弱を裝って儚げ人を裝っているとか。

旦那様が言っていた常に(・・)合が悪いわけではないの意味が分かりましたよ。

むしろ、仮病であったとね。

「奧方様が登場して、立場が相當不味いって話だけど、今どうなってるの?」

「今のところ、奧様の方が靜観しているみたいよ。き出している話聞かないし、そもそも侍連合や従僕(フットマン)連中はみんな侍長様の味方(いいなり)だし、何かしたくてもうかつには出來ないわよ」

そうそう、その通り。

現狀変えるにはまずは報収集。

今のところこの三人衆は、わたしの一番の報収集源。

そして、栄養源でもあったりする。

現在、この邸宅における勢力図は、完全に向こうが上だ。

別にわたしに何もしなければ、わたしだって何もしない。

しかし、わたしの怠惰生活を脅かす存在になり果てたのだから、わたしは全力を以て対処する――――と思っていた時もありました。

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