《真実のを見つけたと言われて婚約破棄されたので、復縁を迫られても今さらもう遅いです!【書籍化・コミカライズ連載中】》34話 婚約式
婚約式が行われるのは、皇都で一番大きい聖堂だ。
マリアベルたちは正門ではなく橫手にある門から聖堂の中へり、奧にある皇族専用の禮拝堂へと向かう。
禮拝堂の中にある控室で著替えたマリアベルは、張しながら司祭の前で待つレナートの元へいった。
マリアベルの姿を見たレナートが、し眩し気に目をすがめる。
マリアベルが著ているのは、婚約を決めてすぐにレナートが注文したフィデロ伯爵領の特産の青絹のドレスだ。
皇都から連れて行った侍たちに寸法を測らせていたので細かい調整が必要かと思ったが、さすがに練の侍たちの仕事は完璧だった。
ぴったりとにあったシンプルなドレスは、ウエストから裾にかけてしいドレープを描いていて、マリアベルが歩くたび、まるで波紋のように、白い生地に薄く青いが揺れる。
よく見ると裾には薔薇をアレンジした刺繍が施されていて、急いで作られたとは思えないほどしく、マリアベルの清楚なしさをとてもよく引き出していた。
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レナートとマリアベルは向かい合い、婚約誓約書にサインをした。
既に皇帝のサインは記済みなので、ジェームズと、立ち合い人となるフィデロ伯爵夫妻のサインをして終了だ。
「マリアベル、やっとあなたを名前で呼べる」
正式な婚約者になったので、やっとレナートは、マリアベルを名前で呼ぶ権利を得た。
さっそく名を告げると、マリアベルも小さな聲でレナートの名を返した。
「レナート様……」
見つめ合う二人にストップをかけたのは、いつもと同じカルロ……ではなく、レナートによく似た青年だった。
「二人ともそこまでです。兄上、仕事があるので戻りますよ」
したれ目の青い瞳をした青年が、にこにこしながらも容赦なくレナートの腕をつかむ。
「アンジェロ、俺たちは婚約したばかりなんだぞ。もうしゆっくりしても良いだろうが」
「ダメです。兄上は何日仕事を放棄したか分かってるんですか? いくら馬を飛ばしたといっても、往復に何日かかると思ってるんですか。しかも一度ならず二度までも!」
「それは分かっているが、必要なことだっただろう」
「ええ、僕もそれは分かってます。だけどもう婚約は済ませたんですから、いいでしょう? 溜まっている書類は、ぜーんぶ兄上のサイン待ちなんですからね!」
そう言ってまくしたてた青年は、マリアベルのほうにを向けると、優雅にお辭儀をした。
「初めまして、未來の義姉上。僕はガレリア帝國第三皇子のアンジェロと言います。レナート兄上の家族代表としてやってきました。これからどうぞよろしく。そして仕事がたくさん溜まっているので兄上をお借りしますね。義姉上……僕より年下だけど、この呼び方でまあいいか。義姉上の噂は々聞いています。大変優秀とのことですから、帝國のやり方を覚えて、執務の手伝いをお願いしますね」
息もつかせず一息に喋ったアンジェロは、気押されているマリアベルににっこりと微笑みかける。
「お前は一、初対面の相手に何を言ってるんだ」
呆れたようなレナートを、腕を組んだアンジェロはじろりと見た。
「僕だって未來の義姉上に好印象を持ってもらうべく、爽やかな青年を裝って初対面の挨拶をしたいところですけど、今はそれどころじゃないというかむしろこんな所で時間を食っている場合じゃないというか」
まくしたてるアンジェロに反論しようとしたレナートだが、後ろに控えていたカルロに止められた。
「アンジェロ殿下、つかぬことをお伺いいたしますが、きちんと睡眠はおとりになっていますか?」
「睡眠? ああ、睡眠ね。兄上が急にどこかに行っちゃう上に、帰ってきてからも々といてて捕まらないしでありえないくらいの書類が溜まってるのに、寢られるわけがないよね。リナルド兄上なんて隈で目の周りが真っ黒だよ。見たら凄く変な顔で笑っちゃうよ」
「それで何日寢ていらっしゃらないのですか?」
これはまずいぞという顔をしているカルロに、アンジェロは指を折って日にちを數える。
「二日……うん、三日かな。リナルド兄上はもっとかも。二人で力の限界に挑戦してるんだけど、人間って何日くらい寢なくても平気なんだろうね」
「あ、これはマズいです、殿下。一緒に皇宮に戻りましょう」
カルロはレナートに振り返ってそう言った。
レナートもいつにない弟の饒舌(じょうぜつ)ぶりにこれはまずいと思ったのか、名殘惜し気にマリアベルに別れを告げる。
「すまない、マリアベル。この埋め合わせは後でしよう」
「いいえ、私のことはお気になさらないで。それよりもご無理をなさいませんように、おにお気をつけくださいませ」
それでもなかなか立ち去ろうとしないレナートとしゃべり続けているアンジェロの腕を、カルロが引く。
「お二方とも、行きますよ。……まったく殿下だけでも大変なのに、アンジェロ殿下まで加わるとは……」
去り際にそう言って、カルロは肩を落としながら皇族たちを引っ張っていった。
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