《【二章開始】騎士好き聖は今日も幸せ【書籍化・コミカライズ決定】》24.俺の想いは伝わったかな?※レオ視點
「うん、味いな」
「それはそうだろう、シベルちゃんが作ったのだから」
シベルちゃんがわざわざ俺(と、ミルコ)のために作ってくれた蜂漬けのレモンを、約束通りミルコの部屋まで屆けに來た。
トレーニング後、風呂にって部屋著に著替えているミルコは、そのレモンをかじりながら満足気に頷いている。
そんな友人を前にして、俺は彼が用意してくれたブランデーを舐めるように口に含んだ。
もちろんそれにもシベルちゃんのレモンを一つれている。
しかし……つい、俺が渡しておくと言ってしまったが、変に思われなかっただろうか。
彼は、本當は直接ミルコにこれを渡したかったのではないだろうか……?
「……」
俺と同じようにレモンを一切れれたブランデーを飲みながら、更にレモンをかじるミルコを、じっと見つめる。
俺は、シベルちゃんの力になってあげたいと言いながら、余計なことをしてしまったのではないか……?
「……」
「なんだ、俺の顔に何かついているか?」
「切れ長の目と高い鼻と引き締まったがついている」
「はぁ?」
先ほど、ミルコとヨティが模擬戦を行ったとき――。
シベルちゃんはミルコを見て、顔を赤くさせていた。ぽーっとして彼を見ていた。
まさか……まさか、シベルちゃんはミルコのことが……!!?
そう思ってしまった俺は、向かいのソファに座っている男前に、じっとりとした視線を向けた。
「レオ……お前にはそんな趣味があったのか」
「違う!!」
だが、俺の返答にミルコは思いきり顔をしかめて、大袈裟なまでに引いている仕草を見せた。
ミルコは昔からにモテる。
彼の何がそんなにいいのだろうか。
……やはりこの顔か?
それとも騎士の中でも特にたくましいそのか?
いや……男のくせにに興味ありませんというような態度がいいのだろうか……?
「うーん」
「さっきからなんだ。はっきり言ってくれ」
彼の頭から足先までをじろじろと見つめる俺に、ミルコは不快そうに息を吐いた。
「今日のヨティとの手合わせのとき、シベルちゃんが君をぽーっとしながら見つめていた」
「……は?」
ミルコに覚えはないのか、間の抜けたような聲で目を見開く。
「ただ、騎士の模擬戦を目の當たりにしてしたのだろう?」
「シベルちゃんのようなの子が騎士の試合を初めて見たら、普通怖がる」
「……肝が據わっているのかもしれない」
「ミルコは昔からすぐの心を奪ってしまうからな」
「…………」
俺が何を言いたいのか察したらしいミルコは、口を半開きにしたまま聲を出さずに苦笑いを浮べた。
我ながら、とても子供っぽいことを言ったと思う。
しかしミルコとは子供の頃からの付き合いで、気を許しすぎてしまっているせいで、俺もついこういう態度を取ってしまう。
「後からそんなにいじけるなら、お前も部下の相手をしてやればよかっただろう。格好いいところの一つや二つ見せておけ」
「ではミルコ、君とやる」
「……あのなぁ」
冗談半分で言ったその言葉に、ミルコはまたしても顔をしかめて深く息を吐いた。
「本気でやる気か、妬くな。彼は別に俺のことをぽーっとして見つめてなどいない」
「……そうかな」
「そうだ。そのレモンだって、先にレオのところに持っていったんだろ? 最初にお前のことを考えたという証拠だ」
友人のその言葉に、俺の気持ちはすぐに明るくなる。
「……そうか、そう言われてみれば、そうだな」
「というか、なんだ。まさか彼に本気で惚れたのか」
「……」
そしてその質問には、一瞬言葉を詰まらせてしまった。
散々やきもちを焼いたというような態度を取ってしまった後だから、「そんなことない」と言っても、既に説得力がない。
しかし……
自分でも驚いている。
彼が自ら俺のところに訪ねてきてくれたのがとても嬉しくて、つい熱くなって自分の想いを伝えてしまった。
口に出したら、余計が熱くなった。
彼の力になりたい。彼の笑顔を守りたい。
自然と湧き上がるその想いの正が、彼にをしているからだということは、もう子供ではないのでさすがにわかる。
それでもシベルちゃんはいつも通りの明るい笑顔を見せて、逆に俺のことを心配するような顔をしていた。
本當に、なんていい子なのだろう……。
「二人きりでしは何か話したんだろ?」
「ああ、何か辛いことがあればいつでも俺が相談に乗ると伝えた」
「彼はなんて?」
「とても可い笑顔で、ありがとう、と」
「そうか」
「俺の想いは伝わっただろうか」
「伝わったんじゃないか?」
まるで思春期の子供のようにそわそわと、そんなことを聞いてしまった。
ミルコはブランデーを呷りながら空返事をしたようにも見えたが、そんなことが気にならないくらい、俺のはドキドキと高鳴っている。
俺はやはり、シベルちゃんのことが好きなのか――?
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