《【二章開始】騎士好き聖は今日も幸せ【書籍化・コミカライズ決定】》33.俺のために?※レオ視點

シベルちゃんにお禮がしたくて。彼に喜んでほしくて。

俺は早朝に寮を出て、一人街に向かった。

ヨティから聞いた、新しくできた人気のケーキ屋は、すぐに売り切れてしまうらしい。

朝から並んだおかげで、なんとかホールケーキを一つ買うことができた。

これをシベルちゃんと一緒に食べよう。

結構大きいから、寮母の皆にもあげよう。そう思ったが、まずはシベルちゃんだ。

二人きりで、彼の幸せそうな顔を見ながら食べたい。

シベルちゃんが嬉しそうにしているところを想像するだけで、俺のは満たされていく。

しかし同時に、実際にその姿をこの目で早く見たいと気が急いて、つい周りをよく確認せずに、すぐに彼に聲をかけてしまった。

他の寮母たちが今どうしているか、もっと慎重になるべきだった。

シベルちゃんが一人のときに聲をかければよかった。

優しい彼が、先輩に聲をかけられて一人でケーキを食べるようななはずがないのに。

完全に俺のミスだ。

でもまぁ、シベルちゃんや寮母の皆が喜んでくれるなら、俺はそれでいいではないか。

シベルちゃんを獨り占めしようとした罰が當たったのだな。

そう思い、大人しく仕事をしようと執務室へ戻った。

しかし、その日の夜――

夕食を終えた俺は、再び執務室で殘っていた仕事を片付けていた。

「レオさん、いらっしゃいますか?」

「シベルちゃん?」

すると、扉をノックする音とともに、シベルちゃんの聲。

「どうぞ」

どうしたのだろうと思うのと同時に、彼の聲に高鳴る

「失禮します。お仕事中にすみません」

「いや、構わないよ」

「あの、こちら……よかったら」

「なんだい?」

立ち上がってシベルちゃんに歩み寄ると、彼は手に持っていたバスケットの中から、それを取りだして俺に見せた。

「これは……」

「晝間は、味しいケーキをありがとうございました。本當に味しかったです。でも、レオさんは召し上がれなかったので……」

「え?」

シベルちゃんが持ってきてくれたのは、カップケーキだった。

しだが、クリームとチョコレートがかかっている。

「いただいたケーキのように味しくはできませんでしたけど、本當はレオさんもケーキ、召し上がりたかったんじゃないかなって」

「……シベルちゃん」

それで、わざわざ作ってくれたのか?

仕事もあるだろうに、その合間に? 俺のために?

シベルちゃん……。君は本當に、なんて優しくていい子なんだ。

それも、俺のことを気にかけてくれていたなんて……嬉しすぎる……!!

これはもしかして、俺たちは両思いなのでは――

「ありがとう、シベルちゃん。俺のためにわざわざ。とても嬉しいよ」

「いいえ、いつも騎士の皆さんに謝しているのは私のほうなので」

騎士の皆さんに(・・・・・・・)、か。

……まぁ、いい。

実際に俺のために作ってくれたんだ。きっと彼も照れているのだろう。

「本當に、俺のためにありがとう。今紅茶を淹れるから、よかったら一緒に――」

そこまで言ったとき、彼のバスケットの中が見えて、俺は言葉を詰まらせた。

「……隨分たくさんあるんだね」

「はい! これからミルコさんたちにも持っていこうと思って」

「……へぇ、ミルコたちにも」

「皆さんいつも頑張ってくれていますから! レオさんに喜んでもらえてよかったです! 皆さんも喜んでくれるといいのですが」

「……」

無垢な笑顔でそう言ったシベルちゃんに、俺はなんとも言えない複雑なを覚える。

そうだよな……彼は優しい子だ。なぜ俺だけのために作ったと思った?

自惚れるな……。

「それでは、お仕事中に失禮しました」

「待って、俺もついていくよ。こんな時間に君一人で男の部屋を回るのは危ないから」

「え……?」

第一騎士団の中に、シベルちゃんをどうこうしようとする奴などいないということはわかっている。

「ありがとうございます。でも、一人でも大丈夫ですよ? レオさん、忙しいでしょうし……」

「いや、仕事はもう終わる。全然忙しくなどない」

「……そうですか?」

「ああ」

わかっているさ。これは嫉妬だ。一番最初に俺のところに來たのだと、皆に見せつけたいだけなのだ……。

く……、我ながら本當に子供っぽい……。

「ありがとうございます!」と言ってまた無垢な笑みを浮べるシベルちゃんに、俺のは小さく痛む。

ああ……なんて純粋な笑顔なんだ。

俺が間違っていた。ケーキで君を釣って、二人きりになろうとしていた俺は、なんて汚らわしい男なんだ……!!

自分が恥ずかしい!!

「でも、やっぱり本當はあのお店のケーキが食べたかったんですよね?」

「いや、いいさ。また買ってくるよ。今度は彼らの分も」

「まぁ……! レオさんって本當に仲間思いでお優しいですね!」

「……そうかな」

キラキラと輝いた天使のような笑顔に、俺のは締めつけられる一方だった。

あれ……?不憫なレオを救うはずが……どうしてこうなった?( ;ᵕ;)‬w

いつも想ありがとうございます!

皆様面白すぎます!!

次回からお話がき出しますm(*_ _)mよろしくお願いします。

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