《【書籍化・コミカライズ】誰にもされなかった醜穢令嬢が幸せになるまで〜嫁ぎ先は暴公爵と聞いていたのですが、実は優しく誠実なお方で気がつくと溺されていました〜【二章完】》第4話 理由
鷹のようなスピードで婚約が決まり、荷造りを命じられた翌朝。
(そういえば……なんで嫁がされるんだろう、私)
離れの家屋で、トランクに本を収納しながらふと思った。
家を出られるのが嬉しくて、そもそもの話に疑問を持つのを忘れていた。
父セドリックにとって、アメリアはなるべく表に出さずそのまま朽ち果てるまで幽閉しておく方が都合が良いと思っていた。
エリンを立てるとはいえ、アメリアの評判を過剰に落としすぎるのも家名そのものに傷がつく。
なのでアメリアは、一生をこの離れで終えるものと覚悟していた。
……実は一點だけ、思い當たる可能はあるが考えないようにしていた。
兎にも角にもセドリックが理由を話さない以上、考えても仕方がない。
アメリアは頭を振って、トランクに本を詰める作業に集中した。
◇◇◇
使用人は誰一人手伝いに來てくれなかったとはいえ、荷作りには多くの時間を要さなかった。
最低限のの回り品と、本と、草(おやつ)、調合した薬類……くらいしか、アメリアが持ち出すものはなかった。
Advertisement
通常、嫁ぐ際に持たされるような豪華なドレスや寶石類などは一切ない。
最後に、小さな額縁で微笑む母の肖像畫をカバンにれて肩に掛ける。
トランク二つと小さなカバン。
それが、アメリアの持ちの全てであった。
出て行く際、これが見納めになるだろうと十七年間お世話になった家を見回した。
さまざまな記憶が蘇る。
嫌な記憶もたくさんある。
だけど何よりも、母親との思い出がたくさんつまった家……。
「……今まで、ありがとう」
瞳の奧が仄かに熱くなるのをじながら、アメリアは家屋を後にした。
◇
ローガン公爵家からの迎えの馬車は晝ごろに到著した。
見送りはセドリックだけだった。
義母とエリンはもちろんのこと、使用人すらいない。
「いいか。向こうに著いたらすぐに支度金を貰って送金しろ」
馬車に荷を積み込んでからいよいよ出発というタイミングで、父が真剣な表で言った。
通常、支度金は婚姻前に送金されるもの。
しかし今回の縁談は急な話だったので、アメリアが著いてから送金される手筈になっているらしい。
「今まで無価値だったお前が、我が家にそこそこの利益をもたらすのだ。栄に思え、アメリア」
(ああ、やはりそうなのね……)
下心に溢れた父の下卑た笑みを見て、自分が嫁がされる理由に合點がいった。
ようするに“金”だ。
やっぱり“金”だった。
ハグル家は先代までそれなりに経営もうまくいっていたが、セドリックの代から雲行きが怪しくなり始めた。
主に、義母やエリンの散財が理由で。
それは、ハグル家の書類仕事や財務管理を引きけていたアメリアが一番よく知っている。
ここ最近の収支表を見たじ、そろそろまずいのではと思っていた矢先のこの婚約……。
要するに私は、支度金という形の収にされてしまったのであろう。
母と同じように、文字通りを売られたのだ。
(せっかく考えないようにしてたのに……)
実の娘を売るようなことを、流石の父といえど無いだろう……。
そう信じていたが、見事に裏切られた。
父に抱いていた最後の信頼が音を立てて崩れるのをじた。
々言いたいことはあるが、アメリアは拳を握りしめることで耐える。
ここで言い返して婚約が破談にでもなったら本末転倒だ。
「……はい」
それだけ答えると、セドリックは満足そうに頷いた。
馬車の扉が閉められ、ガタガタとき出す。
セドリックはすぐに背を向けて屋敷に戻った。
改めて、この屋敷では誰にも気にかけてもらえなかったんだなと、寂しい気持ちになる。
(ううん……落ち込んではダメよ)
──人生、なるようにしかならないわ。
母の言葉を思い出す。
辛い時間はいずれやってくる幸せな時間の前振りだとも、母は言っていた。
アメリアに唯一を注いでくれた母の言葉に、今まで何度も救われてきた。
數々の仕打ちをけてきたにも関わらずアメリアの心が折れなかったのは、母のおかげが大きい。
母の肖像畫がったカバンをに抱きしめて。
新天地であるローガン公爵家での日々を、アメリアは前向きに捉えることにした。
いよいよ新天地に旅立ちです!
ここまでで「面白い!」「続きが気になる!」「更新頑張れ!」など思っていただけたら、ブクマや↓の☆☆☆☆☆で評価頂けると勵みになります……!!
【電子書籍化へ動き中】辺境の魔城に嫁いだ虐げられ令嬢が、冷徹と噂の暗黒騎士に溺愛されて幸せになるまで。
代々聖女を生み出してきた公爵家の次女に生まれたアリエスはほとんどの魔法を使えず、その才能の無さから姉ヴェイラからは馬鹿にされ、両親に冷たい仕打ちを受けていた。 ある日、姉ヴェイラが聖女として第一王子に嫁いだことで権力を握った。ヴェイラは邪魔になったアリエスを辺境にある「魔城」と呼ばれる場所へと嫁がせるように仕向ける。アリエスは冷徹と噂の暗黒騎士と呼ばれるイウヴァルトと婚約することとなる。 イウヴァルトは最初アリエスに興味を持たなかったが、アリエスは唯一使えた回復魔法や実家で培っていた料理の腕前で兵士たちを労り、使用人がいない中家事などもこなしていった。彼女の獻身的な姿にイウヴァルトは心を許し、荒んでいた精神を癒さしていく。 さらにはアリエスの力が解放され、イウヴァルトにかかっていた呪いを解くことに成功する。彼はすっかりアリエスを溺愛するようになった。「呪いを受けた俺を受け入れてくれたのは、アリエス、お前だけだ。お前をずっと守っていこう」 一方聖女となったヴェイラだったが、彼女の我儘な態度などにだんだんと第一王子からの寵愛を失っていくこととなり……。 これは、世界に嫌われた美形騎士と虐げられた令嬢が幸せをつかんでいく話。 ※アルファポリス様でも投稿しております。 ※2022年9月8日 完結 ※日間ランキング42位ありがとうございます! 皆様のおかげです! ※電子書籍化へ動き出しました!
8 86【書籍化】え、神絵師を追い出すんですか? ~理不盡に追放されたデザイナー、同期と一緒に神ゲーづくりに挑まんとす。プロデューサーに気に入られたので、戻ってきてと頼まれても、もう遅い!~
【書籍版発売中!】 富士見L文庫さまから2022年1月15日に書籍化されています!! ========== 【あらすじ】 「仕事が遅いだけなのに殘業代で稼ごうとするな! お前はクビだ。出ていけ夜住 彩!」 大手ゲーム開発會社のデザイナーとしてデスマーチな現場を支えていたのに、無理解な無能上司のせいで彩はチームを追放され、自主退職に追いやるための『追い出し部屋』へと異動させられる。 途方に暮れる彩だったが、仲のいい同期と意気投合し、オリジナルのゲーム企畫を作ることにする。無能な上司の企畫にぶつけ、五億の予算をぶんどるのだ。 彩を追放した上司たちは何も分かっていなかった。 ――優秀すぎる彩にチームは支えられていたことを。 ――そして彩自身が、実は超人気の有名神絵師だったことを。 彼女を追放した古巣は瞬く間に崩壊していくが、デスマーチから解放された彩は華やかな表舞臺を駆け上っていく。 夜住 彩の快進撃はもう止められない――。 ※ほかの投稿サイトでも公開しています。
8 109負け組だった俺と制限されたチートスキル
「君は異世界で何がしたい?」 そんなこと決まっている――復讐だ。 毎日のように暴力を振るわれていた青年が居た。 青年はそれに耐えるしかなかった。変えられなかった。 変える勇気も力も無かった。 そんな彼の元にある好機が舞い降りる。 ――異世界転移。 道徳も法も全く違う世界。 世界が変わったのだ、今まで変えられなかった全てを変えることが出來る。 手元には使い勝手の悪いチートもある。 ならば成し遂げよう。 復讐を。 ※序盤はストレス展開多めとなっております
8 170手違いダンジョンマスター~虐げられた魔物達の楽園を作りたいと思います~
神がくしゃみで手元が滑り、手違い、と言うか完全なミスによって転移させられ、ダンジョンマスターとなってしまう。 手違いだというのにアフターケア無しの放置プレイ、使命も何もない死と隣り合わせのダンジョン運営の末、導き出された答えとは!? 「DPないなら外からもってこれば良いのでは? あれ? 魔物の楽園? 何言ってるんだお前ら!?」
8 182姉さん(神)に育てられ、異世界で無雙することになりました
矢代天使は物心ついたときから、姉の矢代神奈と二人で暮らしていた。そんなある日、矢代神奈の正體が実の姉ではなく、女神であることを知らされる。 そして、神奈の上司の神によって、異世界に行き、侵略者βから世界を守るように命令されてしまった。 異世界はまるでファンタジーのような世界。 神奈の弟ラブのせいで、異世界に行くための準備を念入りにしていたせいで、圧倒的な強さで異世界に降り立つことになる。 ……はずなのだけれども、過保護な姉が、大事な場面で干渉してきて、いろいろと場をかき亂してしまうことに!? 姉(神)萌え異世界転移ファンタジー、ここに開幕!
8 106リーンカーネーション 小學生に戻ったおれ
リーンカーネーション 小學4年に戻ったおれ
8 74