《【書籍化】キッチンカー『デリ・ジョイ』―車窓から異世界へ味いもの輸販売中!―【コミカライズ】》彼の世界の現実は
翌日、やっぱり元気の無いレイモンドさんに弁當を渡し、勵まして見送った。
この後、將軍からの訓示をけて出発だそうで、いつもの守備兵の部分アーマーじゃなく、フルアーマーでの戦闘らしく大荷を擔いでいた。歩兵行軍とかじゃないよな?馬車か何かに乗って行くんだよな…?
今から疲れ切ってる背中を見て、なんだか落ち著かない気分になった。
それでも、振り返れば俺の戦場がある。それが現実だ。
だから気合をれ直して、俺は俺の世界で仕事にを出した。
常連客ができて來ると、好みや志向などが顧客データとして蓄積されて來て、予測作業でデリや弁當をさばいたりできるようになる。ワンオペ當たり前の俺の店だから、そこは早急に流れを作らなければいけなかった。その上で、好みに応じた新メニューを的確にお勧めしたり、ご要なんぞを訊いてみたりもする。
そんな風にキッチンカーでの作業に慣れて來て、休憩タイムをしずつ取れるようになって來る。そんな時は、新メニューを考えたり、次の仕れや補充品を確認したり、それから……。
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中井が窓を開けて以來、期間限定メニューと夏野菜に振り回されたこともあって、その週いっぱい窓を開けなかった。
そして、翌週の月曜の午後。定番メニューと夏メニュー々に戻して、力と手間と気持ちに余裕が生じた瞬間を狙い、窓の取っ手に手をかけた。
さすがに、もう彼はいないんじゃないかなと思いながら、様子見のためそーっと窓を開けると。
ええ、居ましたよ。開けた途端に隙間から丸くて青い方の目が覗きこんできましたよっ!
「…やっと開いたっ」
花が咲き綻んでいくような笑顔が俺を出迎え、嬉しそうな小さな囁きが聞こえた。窓に最接近しているせいで、フードの中の耳も見え、目も耳も俺に向けて集中してるのが見て取れた。
なんだか嬉しい気分と申し訳ない気分のり混じった複雑な心境で、數日間の無視(シカト)を反省した。
「待ってたか?ごめんな。こっちの仕事が忙しくて大変だったんだ」
「それなら、仕方ないわねっ。でも、五日も私を待たせた罪は重いわよ?」
待たせたって…そこは街道沿いの空き地でしかないはずだよな?貓耳子の上から向こうを眺めてみるが、相変わらず草原が続いてて住居地らしいすらない。一、彼はどこから來てるのやら…。
それにしても、相変わらず土埃に塗れた旅裝束っぽい姿だ。まさか、野宿して俺を待ってたなんてことないよな?
「お前、毎日來てたのか?家は近いのか?」
俺の拳が通るくらいの隙間から辺りを見回して、それから貓耳子に尋ねた。
と、彼の大きなオッドアイが細められ、目がきゅっと吊り上がった。あれ?これって、し怒ってる?
「私の名はフィヴ!白銀豹族のフィヴよっ。お前なんて呼ばないで!」
ああ、俺の口調が気にらなかったんだな。年頃のの子に、「お前」はないか。またもや反省。
「ごめんごめん。俺はトール。異世界の二ホンって國の人民だ。フィヴは貓じゃなくて豹だったのかぁ…へぇ~」
俺が珍し気にフードの頭を辺りを見ると、フィヴはばっと勢いよく頭を両手で押さえた。まるで見るなと言わんばかりの仕草に、なんだかセクハラ野郎認定されたみたいで、慌てて視線を落とした。
でもな、視線を落とすと窓の高さ的に、フィヴの鎖骨辺りっつーか……うはっ、ぐっと盛り上がってる元に目線が行っちまう訳で…どうしろと。
「家はないわ……この近くの避難地區にを置いてるのよ。私の住んでた所は、隣國との戦爭で戦場になっちゃったの…」
「あ…」
そう言えば、旅人らしい連中が話してたな。あちこちで戦爭が起こってるって。じゃあ、フィヴは戦爭難民か。なら、この格好は仕方ないのか。戦場になった故郷から、命からがら逃げて來たんだろうし。
「悪いこと聞いちゃってごめん…。お詫びに、今日はこれをあげよう。フィヴは一人か?」
フィヴがいたら渡そうと思っていた、サンドイッチとクッキーの袋。サンドイッチは、中井が俺に「休憩に食え」と言って寄こしたで、半分嫌がらせが込められたバタークリームにジャムのサンドイッチ。俺が甘すぎるは苦手だって知ってのことだから、この間の仕返しだな。クッキーは店で割れてしまった引き取り品。持って帰っても、俺は食わない。団子ならOKなんだがなぁ。
なので、この始末はフィヴの胃袋にお願いしよう。
二つの品をフィヴの目の前に差し出すと、また謎の葉っぱ包まれたサンドとクッキーが彼の前に。閉容じゃないから、きっと甘ったるい匂いが屆いてるだろう。
すぐに違いの瞳をキラキラさせて、見たことのない食べだけに遠慮がちにそろそろと両手を出してけ取った。
「うん…一人。父さんと兄さんがいたけど、戦爭に駆り出されちゃってるから、今はお互い行方不明ね…」
「なら、これはフィヴだけで食え。ただ、他の人に見つかるなよ?」
「うん!誰にもやんないっ」
厳しい話題を出してしまったと反省しつつお詫び品を渡したのに、ご本人はもうに抱え込んだ甘い匂いの食いに夢中だった。
はぁ~。
「それにしても……一人で大丈夫なのか?」
避難地區と言っても、の子一人でうろつくなんてお兄さんは心配だぞ。なんかな、俺に妹がいたらこんな気持ちなんだろうな。
あからさまな心配顔で見下ろしていたらしく、不意に顔を上げた彼の違いの雙眼は、そんな俺の心を撥ね飛ばすほど力強いを湛えていた。
「トール、本當に異世界人なんだね。私達みたいな耳も牙もないし。そんな風に心配してくれるなんて、そんな人は私の周りにはいないよ?」
「いないって…でも、の子一人じゃ…」
俺は吃驚した。
だって、の子が一人で逃げて來てるんだぞ?一緒に同じ辺りから避難して來た人たちだって―――その中に大人だっているだろう?そいつらは、何してるんだ?
「あのね、私はもう子供じゃないのっ。親から獨立して―――あっ」
フィヴが俺への抗議を始めてすぐだった。いきなり後ろを振り返りながら抱えていた食べをマントの中へと素早く隠した。
「誰か來た。トール、ありがとう。またね」
「あ、ああ。またっ」
振り返ったまま俺にお禮を告げると、フードを引っ張って目深に被り直し、足早に街道へと駆けて行った。
まだ姿は見えないがフィヴの察知能力を信じて、窓を細目に開けておくだけにする。こうしておくと、どうも樹の幹に紛れているからか、音は聞こえど見つからずにすんでる。
俺は営業を続けながら、時々耳を凝らして報収集をしていた。
そして。
木の下で休憩を取っていた、避難民らしい二人連れがする不穏な話題を耳にして、俺は居たたまれない程の不安に苛まれることになった。
字訂正 2/10
【書籍発売中】【完結】生贄第二皇女の困惑〜敵國に人質として嫁いだら不思議と大歓迎されています〜
【書籍版】2巻11月16日発売中! 7月15日アース・スターノベル様より発売中! ※WEB版と書籍版では內容に相違があります(加筆修正しております)。大筋は同じですので、WEB版と書籍版のどちらも楽しんでいただけると幸いです。 クレア・フェイトナム第二皇女は、愛想が無く、知恵者ではあるが要領の悪い姫だ。 先般の戦で負けたばかりの敗戦國の姫であり、今まさに敵國であるバラトニア王國に輿入れしている所だ。 これは政略結婚であり、人質であり、生贄でもある。嫁いですぐに殺されても仕方がない、と生きるのを諦めながら隣國に嫁ぐ。姉も妹も器量も愛想も要領もいい、自分が嫁がされるのは分かっていたことだ。 しかし、待っていたのは予想外の反応で……? 「よくきてくれたね! これからはここが君の國で君の家だ。欲しいものがあったら何でも言ってくれ」 アグリア王太子はもちろん、使用人から官僚から國王陛下に至るまで、大歓迎をされて戸惑うクレア。 クレアはバラトニア王國ではこう呼ばれていた。——生ける知識の人、と。 ※【書籍化】決定しました!ありがとうございます!(2/19) ※日間総合1位ありがとうございます!(12/30) ※アルファポリス様HOT1位ありがとうございます!(12/22 21:00) ※感想の取り扱いについては活動報告を參照してください。 ※カクヨム様でも連載しています。 ※アルファポリス様でも別名義で掲載していました。
8 73クリフエッジシリーズ第二部:「重巡航艦サフォーク5:孤獨の戦闘指揮所(CIC)」
第1回HJネット小説大賞1次通過、第2回モーニングスター大賞 1次社長賞受賞作品の続編‼️ 宇宙暦四五一二年十月。銀河系ペルセウス腕にあるアルビオン王國では戦爭の足音が聞こえ始めていた。 トリビューン星系の小惑星帯でゾンファ共和國の通商破壊艦を破壊したスループ艦ブルーベル34號は本拠地キャメロット星系に帰還した。 士官候補生クリフォード・C・コリングウッドは作戦の提案、その後の敵拠點への潛入破壊作戦で功績を上げ、彼のあだ名、“崖っぷち(クリフエッジ)”はマスコミを賑わすことになる。 時の人となったクリフォードは少尉に任官後、僅か九ヶ月で中尉に昇進し、重巡航艦サフォーク5の戦術士官となった。 彼の乗り込む重巡航艦は哨戒艦隊の旗艦として、ゾンファ共和國との緩衝地帯ターマガント宙域に飛び立つ。 しかし、サフォーク5には敵の謀略の手が伸びていた…… そして、クリフォードは戦闘指揮所に孤立し、再び崖っぷちに立たされることになる。 ――― 登場人物: アルビオン王國 ・クリフォード・C・コリングウッド:重巡サフォーク5戦術士官、中尉、20歳 ・サロメ・モーガン:同艦長、大佐、38歳 ・グリフィス・アリンガム:同副長、少佐、32歳 ・スーザン・キンケイド:同情報士、少佐、29歳 ・ケリー・クロスビー:同掌砲手、一等兵曹、31歳 ・デボラ・キャンベル:同操舵員、二等兵曹、26歳 ・デーヴィッド・サドラー:同機関科兵曹、三等兵曹、29歳 ・ジャクリーン・ウォルターズ:同通信科兵曹、三等兵曹、26歳 ・マチルダ・ティレット:同航法科兵曹、三等兵曹、25歳 ・ジャック・レイヴァース:同索敵員、上等兵、21歳 ・イレーネ・ニコルソン:アルビオン軍軽巡ファルマス艦長、中佐、34歳 ・サミュエル・ラングフォード:同情報士官、少尉、22歳 ・エマニュエル・コパーウィート:キャメロット第一艦隊司令官、大將、53歳 ・ヴィヴィアン・ノースブルック:伯爵家令嬢、17歳 ・ウーサー・ノースブルック:連邦下院議員、伯爵家の當主、47歳 ゾンファ共和國 ・フェイ・ツーロン:偵察戦隊司令・重巡ビアン艦長、大佐、42歳 ・リー・シアンヤン:軽巡ティアンオ艦長、中佐、38歳 ・ホアン・ウェンデン:軽巡ヤンズ艦長、中佐、37歳 ・マオ・インチウ:軽巡バイホ艦長、中佐、35歳 ・フー・シャオガン:ジュンツェン方面軍司令長官、上將、55歳 ・チェン・トンシュン:軍事委員、50歳
8 155無能力者と神聖欠陥
一度崩壊した世界は生まれ変わり、それから特に成長したのは人類の「脳開発」だった。頚椎にチップが埋め込まれ、脳が発達し、人は超能力を手にするようになり、超能力を扱えるものは「有能」と呼ばれる。しかし、チップを埋め込まれても尚能力を持てない者は多數いた。 「無能」は『石頭』と揶揄され、第二新釜山に住む大學生、ググもまた、『石頭』であった。 ある日、アルバイト先で、一人の奇妙な「有能」の少女と出會ってから、ググの日常はそれまでとは大きく変わってゆく。
8 76冒険者は最強職ですよ?
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8 116悪役令嬢がでれでれに溺愛されるまでの話
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8 97病弱を演じる妹に婚約者を奪われましたが、大嫌いだったので大助かりです
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」「ノベルバ」に同時投稿しています。 『病弱を演じて私から全てを奪う妹よ、全て奪った後で梯子を外してあげます』 メイトランド公爵家の長女キャメロンはずっと不當な扱いを受け続けていた。天性の悪女である妹のブリトニーが病弱を演じて、両親や周りの者を味方につけて、姉キャメロンが受けるはずのモノを全て奪っていた。それはメイトランド公爵家のなかだけでなく、社交界でも同じような狀況だった。生まれて直ぐにキャメロンはオーガスト第一王子と婚約していたが、ブリトニーがオーガスト第一王子を誘惑してキャメロンとの婚約を破棄させようとしたいた。だがキャメロンはその機會を捉えて復讐を斷行した。
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