《【書籍化】キッチンカー『デリ・ジョイ』―車窓から異世界へ味いもの輸販売中!―【コミカライズ】》俺んちで三つ
本日2話更新。
こちらは1話目。
*改稿。フィヴの格があまりに尖り過ぎたので、不機嫌シーンを削りました。
レイモンドから々と説明されたフィヴは、難しい顔をしながら試しにキッチンカーから外へ出ると、戦々恐々としながら辺りを見回し、小聲で何かを話し出した。
「トール!ー・・-・--!!・・・--・・---」
さっぱり分からん。
案の定、フィヴも異世界語を話していたわけだが、レイモンドよりものきに違和があったから、きっと全く違う音聲の言語なんだろうと予測はしていた。
でも、音として聞いて口真似できるレイモンドの世界の言語とは違い、聞き取ることはできても発音できない言語だったのには新鮮なを味わった。いくら獣種だって言っても骨格的には人間なのに、こんな音が出せるのか!と心した。
まぁ、それはいい。
それ以上の難問が、俺の前に聳え立っている。年下なのに頼りになるレイモンドすら、この問題に妙案を出すことは無理だった。フィヴをどうにか浴室に送り込んだ後、俺たちは二人揃って居間の真ん中で遠い目をして佇んだ。
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その難問とは、フィヴの著替え。
一時しのぎだからと妥協して、心の中で詫びつつ祈りながら、ばーちゃんの部屋の品になった簞笥の引き出しを開けた。
だってな、最初は俺の服と新品トランクスで我慢してもらおうと思ったんだよ?でも、いつまでも男じゃ駄目じゃん?かと言って、を買いになんて行けません!主に下著!!
それにな…あの可い顔で「パンツって何?」とか言われてみ?言い方間違えたかと思って、下著や下履き?と四苦八苦しながら言い換えてみたが…。
「なに?それ!そんなは著付けていないわっ!」
と顔を真っ赤にしてばれた時、俺たち男二人はキッチンカーから外へ飛び出してオロオロするしかなかった訳だ。
だってさー…あの容姿で、の…ノーパンって…。
俺たちが慌てふためいた理由が分からず、しだけ不機嫌なままのフィヴが説明をしてくれたのだが、彼の世界の人達は時と場合によっての形狀を変化させる種族なんだとか。その為、必要以上の服をに付けていると変化時に邪魔になるし、類も二度と著れない狀態になる。そんな無駄なことをして、どうするの!?ってことだ。
とは言え、ここは違う世界だし、ここに居る間は下著をつけて貰わないと、他の服を著ることができないだろうし。そこだけは何度か説明をして納得して貰った。
で、その下著の手なんだが…困った。
俺が頭を抱えて唸っているに、レイモンドに他の説明をお願いしておいた。
彼は自分の経験から、すぐに例の間取り図を出して一つ一つ丁寧に説明してあげていた。とにかく即必要な設備や事柄を優先し、そこから部屋の用途や家へと説明を進めていった。
まずは、風呂とトイレは絶対にきっちり理解してもらわないとな。レイモンドみたいに便に嵌って助けを呼ばれても、俺もレイモンドも救出に躊躇しちまうだろうから。
さて、俺の方は一番無難な手法として、罰當たりかも知れんが祖母の品の中から探してみようと二階へ上がった。
ばーちゃんの簞笥の中を見て、泣いた。著と浴と帯しかってなかった。そうだよなぁ。隨分前に品整理してたもんな。
母さんを呼ぶ訳に行かないしなー。
さすがにフィヴを、人前に出すつもりはない。レイモンドのことで反省したものあるが、まずケモ耳と尾が問題の一つ。
耳を帽子やキャップで隠し、尾もだぶっとした服裝でカバーしたとしても、レイモンド以上のインパクトを投げかけること間違いなしの、西洋風な貌にオッドアイは人の注目を集めるだろう。
そして、至近距離で會って初めて気づいたんだが、顔の両脇に《耳》が存在しないのは、注目する方にはどうしても違和を生じさせ、今度はそこに目が行ってしまう。
馬鹿な人間にいらん興味や好奇心を持った弾みで暴かれでもしたら、大変な騒ぎになるのは間違いない。
それらを総合して導き出した結論が、なるだけ人目に曬さない、だ。
「ここに無いとなると、フィヴに著せる服は男しかないんだが…」
ばーちゃんの簞笥を悄然と眺めながら、俺は途方に暮れた。
ピカピカになったフィヴは一段とその魅力を増して、眩しいほどの人となって所から出て來た。やー…どんだけ汚れてたんだ!?と驚いた。
案の定、西洋人形と化したフィブは、俺のタンクトップにTシャツ、七分丈のワークパンツを履いていて、心地悪そうにの辺りを気にしていた。
窓の向こうで會っていた時はいつもマント著用中だったから気づかなかったが、浴前に著ていた服をけ取って洗濯する前に一度手洗いして分かったことがある。彼が履いてたズボンの後ろには、尾を通すがあった。
それを見つけた時、俺の方ががあったらりたくなる程に顔にが上ったことに気づき、脳裏に浮かんだ想像を掻き消すことに躍起になった。
ゲフン…まぁ、そう言うことで、俺が渡したワークパンツと下著にを空けてもいいと言っておいた。
次は飯だぞーってことで、臺所のテーブルに料理を並べ、ジェスチャーで椅子を勧めた。すでにレイモンドは座っていて食前の祈りを始めていた。何に祈っているのか判らないけれど、敬虔な信者なのは彼の生真面目な祈りの聲と顔から分かる。
その向かいにフィヴが座った。尾をくるんと腰に巻き付け、さっきまでの不機嫌はどこへ行ったって笑顔で、テーブル上の料理にオッドアイを輝かせていた。
「トール!トール!-・・-・・・・--!!」
「はいはい、どーぞー!」
子供の様に燥ぐフィヴを落ち著かせ、フォークとスプーンを揃えて用意し、ついでに濡れふきんも置いておく。
ここでは食い散らかさなければ、どんな食べ方でもOKだ。常識だマナーだとうるさく言って、食事が味くなくなっても嫌だしね。
二人が食事をしている間に、とにかくキッチンカーの中を掃除して來ないとならない。一番大事な商売道の上、一番気を使ってやらないとならない場所だ。
レイモンドに「キッチンカー、掃除、行く」と単語で話しかけ、頷きが帰って來たのを見てから外へと向かった。
々あって頭が沸騰気味だが、それを落ち著かせるためにも日課は必要だった。さて、頑張るか!
2話目の後書きに、へったくそなキッチンカー見取り図を載せました。
小説の容と違ってる部分があると思いますが…今は目をつぶってて下さい;;
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