《【書籍化】『ライフでけてライフで毆る』これぞ私の必勝法》死闘 『s2エリアボス』

ジャンル別日刊20位……本當にありがとうございます。皆様の応援のおです!

始めて、全力を出し切るような、激戦と呼びたいような戦闘を書きました。本當に難しかった。

ものすごくポイントが増えている事に背中を押してもらって、なんとか書き切れました。

燃え盡きた分一日だけお休み貰ったあと、なるべく毎日投稿で巨大な目標に向けて頑張りたいと思っています。どうか今後共よろしくお願い致します。

長くなってしまいましたが、今回は後書きありませんので許して! 余韻を崩したくなかったからねっっ

親友と二人、地帯を突き進むこと小一時間ほど。

道中、4のスライムが度々襲ってきたものの、大した障害にはならなかった。

ワイルドボアを狩りまくっていたら親玉が出てきて轢(ひ)き潰(つぶ)された……というようなことも起きず、ただただ順調。

私達しか見當たらない影響もあってか狩りの効率は非常によく、ついさっきレベルも10になったところだ。

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「いやー順調。楽しいね」

「せやね。ユキと遊んでいるだけで最高に楽しいけども、やっぱ上手くいってると言うことないな」

『またこの娘は』

『天然にぶち込んでくる惚気』

『いいぞもっとやれ』

「あはは。カナはド直球でしょ。 そういうさっぱりした所が好きなんだ」

『お ま え も か』

『好き』

『ι(´Д`υ)アツィー』

『唐突な顔文字やめろw』

ふふふー。仲の良さには誰よりも自信があるから。

今、面白い顔文字が流れてきたね。そんなのもあるんだ。

「……ん?なんか見えてきたで」

カナの聲に、意識を前方に集中させる。

見えてきたのは、丸いワープポータルらしきもの。

赤に縁取(ふちど)られたその先は異空間のようになっていて、見通すことは出來ないようだ。

「……もしかして、これが?」

「この先に、ウチらの求めるもんがあるってことやろうな」

エリアボス。このゲートを超えた先に、待ち構えているんだろう。

忘れずにステータス畫面を開き、ポイントを振っておくことにする。

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◆◆◆◆◆◆◆◆

名前:ユキ

職業:重戦士

レベル:10

HP:2558/2558

MP:0

右手 なし

左手 なし

頭 バンダナ

革のよろい

腳 布のズボン

靴 革のくつ

理攻撃:0

理防:8

魔法攻撃:3

魔法防:3

VIT:145(+10)

STR:0

DEF:0

INT:0

DEX:0

AGI:0

MIN:0

所持技能:最大HP上昇 自HP回復 GAMAN ジャストカウンター 致命の一撃 聖屬の心得

稱號:創造神の興味

殘りポイント 0(-10)

◆◆◆◆◆◆◆◆

HPは、とうとう2500を超えた。

夢の大臺まではあと4倍。うーん、遠いね!

だが、これだけあれば問題は無いだろう。

それに、なにより。

隣を見る。 目が合った。

親友(カナ)がにっと笑い、私も頷く。

──さあ、行こうか!

◇◇◇◇◇◇◇◇

ゲートをくぐった先は、大きな沼地だった。

辺りに目立った木々は無く、せいぜいいくつか大巖がある程度。

地面は非常にぬかるんでいて、かなり闘いにくそうなじがある。

……まぁ、私たちには関係ないけど。

「なるほど。ボスだけは完全に獨立したエリアなんやな」

「みたいだねー。さて、何が出るかな?」

『蛙とか』

『大蛇的な何かかもしれない』

『エリアの特徴を踏襲するなら、ビッグなスライム?』

『ありそう』

視聴者さんたちも賑やかに予想をしている。

うん。確かにボススライム説はありそうだなぁ。

沼地であることを考えると、地中から出てくる可能が高いだろう。

カナも同じ考えのようで、何が出てきても良いように油斷なく見據えている。

「──っ!?」

唐突に上から向けられた敵意。

咄嗟にカナの手を引いて、その場から離れる。

した瞬間だった。

先程まで居た場所に巨大な質が落ちてきて、ズシンと地面が震える。

「なっ」

「上、から!?」

◆◆◆◆◆◆◆◆

名前:キングスライム

LV:15

狀態:平常

S2 エリアボス

◆◆◆◆◆◆◆◆

見上げるほどの巨

いったいスライムを何匹重ねればここまでになるのだろう。

思わずぽかんと口を開きそうになった瞬間。刺すような敵意が、を貫いた。

「やばっ、『GAMAN』!」

的にカナの前に立ち塞がり、敵を見據える。

その瞬間、スライムのから一本の太い手が生えてきたかと思うと、強烈な勢いで叩きつけてきた。

「ぐうっ!?」

斜めに振るわれた手の直撃をけて、大きく吹き飛ばされる。

橫目に確認したHPバーは10%強削られていた。

間髪れずにカナの元から放たれた大炎が、緑の巨を焼き焦がす。

一瞬だけ奴のきが怯んだ隙に、なんとか立ち上がって。

「まだ、大丈夫!」

「りょーかい、やっ!」

カナとの間には、言葉は最小限でいい。

しっかりと意図を組んでくれた親友により、またキングスライムが炎に包まれた。

大丈夫だ。まだアイツの敵意は私に向いている。

改めて言及したことは無かったけれど、『GAMAN』を使うとやたら敵から嫌われるってのは間違いないみたい。

カナに昔教わったヘイトコントロール……だっけ? アレを意識しているわけだけども、思った以上に向こうさんからのヘイトが消えない。

意識して不敵な笑みを作り、キングスライムを見據える。

「……ほら、もっと來い、よ!」

相手に、言葉での挑発が効くとは思えない。ただ、こっちの気分がノっただけ。

けれど、心なしか向けられる敵意が強まった気がした。

二本目の手が生えてきた。

鋭く尖った先端が私の右肩を貫いたかと思うと、間髪れずに迫っていた最初の手が猛烈な勢いで薙ぎ払う。

「まだまだ……だよっ!」

直ぐに立ち上がって、にやりと笑ってみせた。

こちらのHPには、まだまだ余裕がある。

「ほれほれ、ユキばっかみててええんか?」

三度(みたび)放たれた魔法により、キングスライムのに火柱が立ち上る。

流石の威力…………だけど、ちょっっと不味いかも!

「カナ、下がって! 『解放(リリース)』 お返しだぁっ!」

流石にダメージを與え過ぎたのか、私への敵意が一瞬薄まった。

もちろん、みすみす見逃すわけには行かない。

充分に溜まったダメージを全てエネルギーに変換し、渾のビームを撃ち放つ。

それは狙い通り大きくキングスライムを揺るがせ、またヘイトをこちらに向けさせることに功した。

怒りに震える巨から振り降ろされた二本の手が、私のを打ち付ける。

正直、かなり痛い…………けど!

期待通り。この戦闘4度目の火炎が、スライムを包み込む。

殘りなかったボスのHPバーが、見る間に減していって。

これで終わってくれと思うと同時に、何処か、まだ緩みを許してくれない心があった。

そんな半ば直に近いものを信じて、カナの元へ走り出す。

速度はない私だけど、先にいておけば──!

果たしてそれは正解だった。

かろうじて踏みとどまったキングスライム。立ちのぼる煙の中、最後の力とばかりに高速で手をばしてきている。

狙いは、カナ。

私に攻撃手段が無いことを読まれているとは思えないけれど、本能的に、カナが唯一の脅威だと察しているのかもしれない。

実際、ここで彼が落とされでもすれば、私たちは萬に一つも勝てなくなる。

──落とされれば、ね。

間に合った。

まだ対応出來ていない親友の前に、立ち塞がる。

「ユキ!?」

「守るって、言ったからね!!」

剎那。強烈な衝撃が、を襲った。

薄くなる意識と共に、じる浮遊

空高く打ち上げられたと気付いたのは、すぐだった。

辛うじて殘ったHPは、なんとたったの3。

この高さだ。落下ダメージもちゃんとあるこの世界、私が2度目のデスを貰うのは確定だろう。

「……ま、もんだい、ない、よね」

5度目の大炎。

キングスライムが確実に燃え盡きたのを、この目の端に捉えた。

私たちの、勝ちだ。

……私だけ落ちちゃうのは、ちょっと悔しいけど。

けどまぁ、上出來でしょ。

満足と、しばかりの悔しさ。

目を瞑って、落下の衝撃に構える。

──けれど、それは何時まで待っても來なかった。

「あのーはやく目ぇ開けてくれませんかね?」

「ふぇっ」

耳慣れた聲が聴こえて、反的に目を開ける。

そこにあったのは、まるで悪戯が功した子供のような笑みを浮かべている親友(カナ)の顔だった。

「え。ええっ!?」

「非力な魔法使いでも、け止めるくらいはできるよねーーっと」

する私の頭をそっとでると、カナはゆっくりと私を地面に降ろす。

そして、最高の笑顔を浮かべた。

「やったな。ボス勝利や!」

「──うんっ!!」

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