《【書籍化】『ライフでけてライフで毆る』これぞ私の必勝法》ごく普通の日常

皆様の応援がいつも大きな力になっています✨

ユキこと深雪ちゃんの日常にスポットを當てて。

「んーー!」

ベッドから起きあがり、ぐーーっとびをする。

軽く前屈みになったり、腰を捻ったりしてストレッチ。

長時間橫になった後はちゃんとかしてあげないとね。

十分ほどをほぐしたところで、部屋を出る。

えーと、今やらないといけないことは…………あ。

「洗濯、かけっぱなしだ!」

朝かけたまま、すっかり忘れていた。シワになっちゃう!

慌てて洗濯機から取り出して、干し始める。

ベランダに出てみると強烈なしに襲われ、思わず目を瞑る。

仕方ない。七月も末。暑くないわけがないよね。

干し終えて室に戻るころには、すっかり汗だくになってしまっていた。

んー……シャワー浴びとこうかな。ベッドの上では清潔を保っておきたいし。

お晝を作る前に、さっと汗を流しておく。夏は得意じゃないけど、こうしてぬるめのお湯を浴びている瞬間はとても好きだ。

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上がったらドライヤーで髪を乾かしてから、軽くブラシを通す。

すっきりとしたところで、お晝ごはんを作り始めた。

と言っても、特に手の混んだものを作るつもりは全く無い。一人だし。

そうめんでも茹でておけば良いだろう。年頃の子といっても、休日のお晝なんてそんなものだ。

軽く攜帯を弄っているうちに茹で上がったので、ザルに移してさっと水で洗う。

ボウルに移し替えてから適當に氷を乗せて、完

……ん。やっぱり暑い日はそうめんに限るね。涼しくて味しい。

テキパキと片付けを済ませてしまったところで、ポーンと通知がなった。

「カナ……?あれ、違う」

配信始めるにあたって作った、SNSアカウント。チャンネルと紐付けているためフォロワーの數が怖いくらいの勢いで増えている(配信用チャンネルの登録者數についてはもう観ないことにした。増えすぎて怖い)、それからだ。

細かい設定はカナに任せちゃったからあれなんだけど、個人メッセージっていうのかな。メールアイコンのところに通知が1付いている。

ふむ?なんだろ。とりあえず開こうか。

◇◇◇◇◇◇◇◇

ユキ 様

はじめまして。突然の連絡失禮します。

フィーナと申します。

昨日、今日とユキさんの配信を拝見して、たちまち大ファンになりました。

一つお伺いしたいことがありまして、今後ユキさんはご自のアーカイブから切り抜き畫を挙げる予定はありますか?

もしなければ、こちらで切り抜き畫を作ってアップしたいと考えております。

沢山楽しませてくれる素晴らしい配信を、しでも共有したいという思いです。

よろしければご一考下さい!

フィーナ

◇◇◇◇◇◇◇◇

なんと、配信を観て気にった方がわざわざ送ってくれたものであるらしい。ちょっと照れる。

えーと……切り抜きを畫に?

ああ、カナの畫で何回か見たことあるかも。「配信を全部見られるほど時間が無い。けれど味しい場面はしっかりみたい」「配信で見たあの名場面を繰り返しみたい」そういうニーズに合わせて、配信からいくつかシーンを切り抜いて作られるもの……だったかな。

『アレのおかげでライト層も増えるし、自分もあとから見返して笑えることも多いから有難いんよー』とはカナの言葉。

ということは…………許可は出しちゃって良いか。

ポチポチと作をして、返信。

容としては、お禮と是非お願いしますというもの。

どういう場面を切り抜くかについては、お任せとしておいた。

さて、洗濯が乾くまでの間に買いを済ませておこうかな。

多分、そろそろ…………

ピンポーン。 軽快な音が鳴った。

壁に設置されたディスプレイに、訪問者の姿が映し出される。

「はーい……やっぱり」

『はろーー。來たで!』

にっと笑ってみせるのは奏。そろそろ來るんじゃないかという気はしていた。

「もう。私が出られなかった時どうしようもないんだから、急にこないでって言ってるでしょ!」

『ええやんええやん。そん時は諦めて帰るがな』

「むー…… まぁ、もう準備は出來てるからそっち行くね」

『あーい』

急いで手荷を確認して、外に出る。

奏は、家のすぐ前で待っていた。

「ごめんね、お待たせ」

「んー?五分も待ってへんで」

「買い、付き合ってくれるの?」

「ん。そろそろそんな時間かなって」

「流石。 晩飯は?」

「お母さんにはユキんとこで食べてくるって言うた!」

「既定事項かい!」

にしし、と笑う奏。私も釣られて笑ってしまう。

まったく、マイペースなんだから。

「じゃあカナも食べるってことだから……何にする?」

「んーーー久々にユキのハンバーグ食べたいなぁ」

「おっけー。じゃあそうしよっか」

「やった!」

奏が、ガッツポーズで喜びを現してみせる。

ふふっ。そんな反応貰えると、私も張り切っちゃうね。

二人並んで歩きながら、話に花を咲かせる。もちろん今日の話題は、例のゲームだ。

「だいぶ順調みたいやん? 配信」

「順調って言って良いのかなー。 初日終わってから、ずっと登録者? が凄い勢いで増えちゃってて。怖くなって全然見てないや」

「はぁーなんやそれ! 贅沢な悩みやなぁ…… ユキらしいけど」

「あ、そうだ。今日ね、なにかメッセージきててさ」

この際だから、お晝のこと早めに報告してしまおう。

「メッセ?」

「うん」

「ほぉ。どんな?」

「えっとねぇ。配信の切り抜き作らせてくださいーみたいな」

「おーー!ええやん! わざわざ許可取りに來たん?」

「うん」

「それはええことや。無許可で作る人も多いからな。絶対アカンっていう訳でもないけど、やっぱりそうやって聞いてくる奴の方が信用したくなるもんや」

「たしかに。印象は良いよねー」

二人でうんうんと頷き合う。

まあでも、よかった。カナも乗り気なら、間違いはないだろう。

そこからは他もない雑談をしながら、手早く買いを済ませ。

それからなんだかんだ喫茶店に寄ったり本屋に寄ったりで時間を過ごしちゃうのはご

ようやく一緒に私の家に帰ると、料理を始める。

因みに、奏は料理には參加しない。あまり得意でないというのもあるけど、待たせている間に課題をやらせる……という意図が大きいんだ。

奏、こんな機會でもないと全然やらなくて。いつもギリギリになっちゃうからね。

自信料理でもある、ハンバーグ。

しっかりと空気を抜いた生地を焼き上げて、最後に自家製のソースを掛けて……完

「……はーい。できたよ」

「待ちわびたで!」

早くも箸を持ってわきわきとさせている奏の姿に苦笑しながら、配膳を済ませる。

二人で手を合わせて、『いただきます』

「んー!うま!!」

「嬉しいけど、いつも大袈裟ー」

「事実や! やっぱり一家に一臺、深雪やな」

「ふふっ。なにそれ」

やっぱり、一人じゃない食事は楽しい。もちろん、奏だからってのもあるけど。

賑やかな食事を終えた私たちは、そこで解散。片付けを手伝おうという提案を、たった二人分だからと斷るのもいつものことだ。

帰っていく奏を見送ってから、手早く片付けを済ませる。

「あ、洗濯ー!」

駄目だね。毎回洗濯を忘れちゃってるや。

急いで取り込んで、畳む。大した量ではない。

さて、これでやることは終わったかな。

部屋に戻り、30分だけ勉強をして。

『いまからs3エリア探索してみます!』

短く告知してギアを被る。

もうすっかりハマっちゃったね。

思わず苦笑い。 でも、悪い気はしない。

──さあ、夜の部の開始だよ!!

こうした日常パート、不要と思う方も多いかもしれない。

私の中ではこうしたリアルの時間も含めて『ユキ』のストーリーなのです。

応援のポイント、本當にありがとうございます。

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