《【書籍化】『ライフでけてライフで毆る』これぞ私の必勝法》神殿での対話
なんとか投稿日は守れました
コツコツ頑張っていきますので今後とも宜しくお願い致します。
舞臺は変わらず、あてがわれた一室。
なにか出來るわけでもないので、おとなしく待っていることにする。
「ん~~~なんというか、展開がめまぐるしい」
『せやな』
『どさくさで新街到達するやついるってマジ?』
『まだ最初の街以外発見されてないのにww』
「あ、そうだっけ?北とか西とかにはみつかってないの?」
『そもそもNは2で止まってるし、EとWだって3までしか誰もボスにたどり著いてない』
『あ、でもドレンがW4到達してたよ』
『マジ?』
『さっきだけど。初見でボス倒してた』
『ほえ~~』
『ちゃんと戦ってた?』
『凄サマとは違うのでw』
『草』
「ねえ? 私もちゃんと戦ってるんですけど??」
『ソウダネ』
『ソウダネ』
『セヤネ』
「よしみんな表でようか」
『ひぃ』
『神の裁きだーー』
『毆らなければいいだけなんですけどね』
『攻撃されないと攻撃できない』
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『やられたらやり返す』
『等倍だけどなwww』
「等倍じゃないしー。1.1倍返しですしー」
大差ねえよ! ってツッコミが見えたけど知らない。でも実際、攻撃されないとアンデット以外どうにもならないのは今後の課題かな。
相手が遅ければポーションを使って戦えることもあるって知れた點では、あの巨骨との戦いは非常に有意義だった。
そんなこんなでコメントと戯れながら過ごしていると、不意に扉がノックされる。
「グレゴールです。宜しいでしょうか」
「どうぞ」
「失禮致します」
視線を向けると、ゆっくりと扉が開かれる。
一禮してってきたグレゴールさんは、室仕様か兜を外していて。
肩のラインで切り揃えられた銀の髪があらわになっていた。
白めのの中で、碧をした瞳が強く印象を殘す。
この瞬間、私は自分の盛大な勘違いを悟った。
「……グレゴール?」
「はい」
落ち著け。何事も無かったかのように話を進めるんだ。
「あ、えっと。綺麗な髪ですね」
「……ありがとうございます。ユキ様こそ、しい金のお髪(みぐし)であられる」
「あーいやえっと、これ造りだからなんとも……」
「つくりもの?」
「ああ、いえ!なんでも無いんです! 座って下さい」
慌てて対面の席を勧める。
彼は訝しげにしながらも従ってくれた。
後からってきた騎士の方が、すっと紅茶を淹れて、差し出してくれる。
ありがとうございますと禮を言えば、靜かに頭を下げて退出していった。
なんというか、神殿の騎士様ってそんなことまで出來るものなんだろうか。
目の前のグレゴールさんもまさにそうなんだけど、所作が一々洗練されている。
しの靜寂を経て、彼が口を開いた。
「改めて。本日は突然のことで、申し訳ありません。長年使われていなかった神の試練が起したとの報をけ、未だ浮足立っておりまして」
「いえ、それは構わないんですけど……長年使われていなかった?」
「はい。正確には、試練に挑む資格を持つものが現れなかったと言うべきでしょうか」
ほう。資格。
そういえば、ボス戦が始まる前になんか々とインフォが來ていた気がする。
「まだクラスが見習い段階であること。浄化のに通すること。そして、神の怒りを買っていないこと」
「神の怒り」
「ええ。平たい話が、罪を犯していないことですね。神の前ではあらゆる行いがさらけ出されると言われております」
なるほど。要するに、いい子にしてれば全く問題は無いってことかな。
でも、それならもうちょっと試練とやらが実行されてもおかしくないと思うんだけど。
「……本來は、浄化を修得し、そしてそれを極めるのが至難なのです。
清き心の持ち主が【浄化】を修得した時點で神殿に見習い聖として認められ、そして極めた浄化を用いて神の遣わす試練を乗り越えることで、初めて聖というクラスになることができます」
「試練の容は、巨大アンデッドの討伐ですか?」
「ええ。確かに、試練に挑む資格を手にれるだけの者なら、たまに現れるのです。しかし、聖見習い一人で強大な存在の浄化をし遂げなければならないため、死亡率が非常に高い。そのため、いつしか挑むものさえいなくなってしまった……という現狀になります」
あーそっか。私達プレイヤーは死に戻りってやつがあるけど、現地の人にはそれがない。
なおさら誰も挑まなくなっちゃうってわけね。
「なるほど……。 だから様子を見に來られたというわけですね」
グレゴールさんが頷く。
「この國に聖が誕生するなど、もう長く無かったこと。そして、一度産まれた以上、次の聖が誕生するのは遅くとも十數年は先になります」
「え?私の後に続く人とかは」
「ありません。そもそも、神の試練自が一人の人間に対したった一度のチャンスしか與えられないものであると同時に、そうやすやすと課されるものでもありません。記録によると、一度突破された試練は以後十年二十年は起しないとか」
「……な、なるほど」
あくまで言葉を全て信じるなら、という但し書きは付くけれど。
勢いで挑んでしまったクエスト、あれは唯一無二のチャンスだったってことなのか。
しかも、完全先著。 まあ、冷靜に考えたら聖なんて大層な職業が量産されちゃまずいもんね。
「……ほかにも、似たようなというか、特別なものは有るんですか?」
そう聴いてみると、彼は考え込むような仕草をする。
「そう、ですね。古來より文獻に登場する存在としては、ユキ様の【聖】の他に【勇者】【剣聖】【賢者】【守護騎士】【弓神】あたりでしょうか。後は噂に過ぎませんが……【魔王】【魔神】もクラスであるとか」
ほえー。結構有るんだなぁ。
これ、さらっと言ってるけど実はとんでもなく大事な報なんじゃないだろうか。
【聖】が唯一無二っていうのもそうだけど、ほかにこれだけの特殊な職業があるなんて話、誰も聴いたことがない気がする。
「えっと。その【聖】になってしまった私ですけども、何か求められるようなことはあるのでしょうか?」
これだけは、聴いておかなければならない部分だろう。
都合もあるから常にというわけにはいかないけれど、重い役割を選択してしまったからには、ある程度はやらないと。
クラスチェンジのときにも、忠告は來ていたからね。
「いえ。聖であらせられるとはいえ、ユキ様はこれからが真骨頂。寧ろ、自由に行して経験を積んでいただきたく。
本來なら私共が護衛に付くところなのですが、ユキ様は異邦の方ということですので」
「良いんですか?」
「はい。ただ、なにか有事のときにはお力添えを頂けると助かります」
「旗頭、ですね」
私の言葉に、グレゴールさんはニコリと微笑んだ。
ふふ。そのくらいはわかる。 でも、できれば戦力として協力したいところだけど。
そこは私のこれからの努力次第といったことだろう。
「最後に、お渡ししておくものがあります」
音もなく彼の隣に控えていた騎士の人が、何かを渡す。
すっと、差し出された。
「これは?」
「神殿の関係者であることを示すものです。分の保証はあって困るものではないかと」
目の前に置かれていたそれを、手に取る。
金のプレート。中心部に描かれている印章は、あの盾に刻まれていたものと同じだろう。
……なんか凄い魔力をじる気がするんだけど。
「……これ、貰って良いものなんですか?」
「問題ありません」
「……ありがとうございます」
私がしっかりと収納したのを確認して、グレゴールさんが立ち上がった。
「用件としましては以上となります。お時間ありがとうございました。何かありましたら、私か騎士の者になんなりとお申し付け下さい」
一歩引いて、すっと頭を下げる。
惚れ惚れするような綺麗な一禮を殘して、彼は立ち去っていった。
「……なんか、完璧な人ってじがする」
『わかる』
『デキる』
『スーパーウーマン』
『誰かと違って落ち著いてるね』
「うーん誰かって誰かなぁちょっとわからないなぁ」
『w』
『つ鏡』
『つ鏡』
『そういうとこやぞ』
「ぐぬぬ……
さ、さて、一旦外出て、ログアウトしようか」
『逃げた』
『すーぐ逸らすんだから』
『骨がすぎるw』
「もうお晝なの!ご飯落ちなの!」
『はいはい』
『はいかわいい』
『午後はやるん?』
「え?あーどうしよう。夜は予定有るんだよね。お晝ちょっとくらいならできるかな。
うん。しやろうと思う」
『おー』
『待ってる』
『やったぜ』
「それじゃあ、一旦終わるね。また13時頃から再開する。
皆、朝からありがとう。またね!」
お疲れ様、という旨のコメントが流れるのを眺めながら、カメラに向かって手を振る。
しだけ待って、配信を終了。私はそのままログアウトした。
獨力で新たな道を最初に切り開いたものに與えられるものが、運営の想定するユニークジョブ。
ステータスポイントだけなら通常ジョブには劣るものの、それを補って余りある特殊能を誇ります。
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