《【書籍化】『ライフでけてライフで毆る』これぞ私の必勝法》死闘 キングボア
ようやくの十萬文字突破。 キングボア戦です。
今話の最後のあとがき欄に、結構な量の作者の言葉を殘しております。
書籍の最後みたいな、ああいうじの。
あらかじめご了承下さい。あとがきは當然のことながら読み飛ばしていただいて構いません。
それでは、『VS キングボア』
突如として重くなった空気。背中からじる、ヒリつくような張。
間違いない。
ゆっくりと振り返り、前方を見據える。
その先に居たのは、果たして奴だった。
ズシン、ズシンと地を踏み鳴らして歩み寄ってくる。
象のように大きな。顔の高さまで反り返った巨大な牙。
もはや、豬というよりマンモスの類であると言われた方がすっきり納得がいくというものだ。
いつの間にか、空には暗雲が立ち込めている。
◆◆◆◆◆◆◆◆
名前:キングボア
LV:30
狀態:通常
◆◆◆◆◆◆◆◆
遂に、この時が來た。
そんな想いを抱きながら、すぐさま充填を開始する。
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「Bmooooo!」
「っ」
空気を震わす程のび聲に、思わず腳がすくみそうになった。
強者の余裕だろうか。余裕綽々に近付いてくるキングボア。
まずはその認識を、改めてやる必要がありそうだ。
キングボアが、私を踏み潰そうと両足を振り上げる。
その瞬間。下から掬(すく)い打つようにして、[聖魔砲]を発。
20數秒のチャージにより十分に威力の高められた線が、奴の腳に直撃。大きく弾き飛ばした。
「Bmoooo!!」
「へっ。こっちが先制……ってね!」
二歩、三歩と下がりながら、初級ポーションを使用する。
全快には辛うじて屆かないが、自回復と合わせればすぐに回復しきるだろう。
與えたダメージは一割といったところか。
消費の割にはダメージ量が小さいような気が…………ッ!
膨れ上がった敵意に、條件反で[GAMAN]
その瞬間、勢い良く振り上げられた牙が直撃。私は宙に舞いあげられた。
「Bmooooooo!」
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一際大きくんだ瞬間、痛烈な衝撃波が発生。私に襲いかかる。
自由落下を余儀なくされていた私の全を打ち付けると、そのを大きく吹き飛ばした。
脳そのものが揺さぶられるような衝撃。
追い討ちをかけられるわけには行かない。なんとかを起こし、[解放]。
威力2000を超える強烈なの奔流が、キングボアを呑み込んだ。
相手がたたらを踏んでいる間に、なんとかよろめきながらも立ち上がる。
ここも初級ポーション。 奴のHPは、二割ほど減っていた。
「理解したよ。いんだね」
防貫通で被ダメージがそのまま威力になるGAMANと、チャージ時間が純粋な攻撃力となる聖魔砲。
與ダメージに明暗がはっきりと出ているのは、相手の高い防能によるものか。
「……まぁ、でもここは…… [充填(チャージ)]」
彼我の距離、そして何よりGAMANのクールタイムの問題もあるので、ここは不利と分かっていても聖魔砲を使わざるをえない。
しでも威力を高めてから、撃ちたいところだけども。
奴が一歩一歩と地面を踏みしめる度に、大きく視界が揺れる。
油斷なくキングボアの挙を睨み付けていると、不意に強烈な悪寒に襲われた。
半ば無意識で、反的に橫っ飛び。
その瞬間、先ほどまでいた地面が縦に大きく割れた。
「……あはは。やっばぁ」
その破壊力に思わず顔が引き攣る。
再びの鳴き聲とともに飛んできた衝撃波に、また吹き飛ばされてしまった。
600程度のダメージを負いはしたものの、まだまだ無視できる範疇。
それになにより、距離が開いたのは好機──
「Bmooooo!!」
「ッ!?」
大きな鳴き聲とともに、キングボアの圧力が高まっていく。
奴の目の前に巨大な土の槍が形された。
向けられる敵意が膨れ上がった瞬間に、を橫に投げ打って回避。
しかし、安堵の隙は與えてくれなかった。
著地點を狙うかのように、立て続けに飛んでくる二目。
「っ……それならッ」
これは、避けられない。
そう判斷した私は、即座にチャージ分を解き放った。
半ば賭けではあったものの、長い充填を経た[聖魔砲]は期待通りに土の槍を呑み込み、そのまま真っ直ぐにキングボアに到達。
魔法を放ち腳を止めている奴の顔面に、正面から暴力的なまでの聖なる力の奔流が叩き付けられた。
ずば抜けてい裝甲を持ってしても防ぎきれなかった線により、キングボアの力が大きく削られる。
奴のHPは、殘り35%……推定4000!
これなら、いける。
そう思った瞬間だった。
「Bummoooo!!」
これまでで一番に強烈なび聲が放たれる。
次の瞬間、変化が起こった。
逆立ち、風に靡(なび)いていた全のが化し、また、中から紅のオーラが溢れ出す。
刺すような敵意が、私のを貫いた。
大丈夫。どれだけ強化されようとも、HPが増えない限りは最後のGAMANで倒しきれる。 落ち著くんだ、私。
恐慌狀態に陥りそうになるのをなんとか堪え、中級ポーションを使う。
全快には及ばないものの、9割のラインには無事乗せることが出來た。
「大丈夫。行ける……落ち著け…………」
小さく深呼吸。
油斷なく、キングボアを睨み付ける。
すると、奴は不意に両腳を大きく持ち上げた。
地割れか、はたまた新しい攻撃か。
強く警戒する私を嘲笑うかのように、奴が選択したのはタダの地面への踏み込みだった。
それも、重の全てを乗せた、全力の。
ズガァァンという轟音と共に、凄まじい衝撃が地を走る。
世界そのものが揺れていると錯覚するほどで、私は思わず膝を突きそうになった。
ここに來ての、最大の隙。
もちろん、キングボアはそれを見逃さない。
突撃。
特別な技でもなんでもない、ただの突進。
しかし、シンプルだからこそ、暴力というものは立する。
二トントラックも顔負けの衝撃に全打ち付けられ、私のは宙に舞った。
飛びそうになる意識を、なんとかつなぎ止める。
耐えはしたようだが、追撃を防ぐ手立てが無い。
すすべもなく自由落下にった私が、取れる手段はほぼ無い。
[解放]しても、ギリギリ威力は足りないだろう。
しかし、キングボアは既に落下地點で待ち構えている。
死闘を演じた相手を確実に貫き殺すための牙が、鋭くった。
勝負は萬に一つ。これしかない。
キングボアが、自慢の牙を振り上げる。
高速で、容赦のない一撃。直撃すれば、まず間違いなく命を刈り取られるであろう。
──だが、直撃しなければ?
私の唯一の狙いは、それだった。
鋭利な牙が私の中心を貫くその瞬間。
ありったけの力を込めて、を捻る。
渾の一撃。だが、軸は外した!
辛うじて芯を外れた牙が私のを抉り、HPが急速に減する。
私のは弾き飛ばされ、激しく地面に打ち付けられた。
二度、三度と転がされ、止まる。
HPの減は──
──止まった。
「へ、へへっ……」
震える手を地面に付いて、顔を上げる。
今度こそトドメを刺そうと、迫り來る巨。
私のHPは、殘り46だった。
「…………[解放(リリース)]」
溢れんばかりの聖なる奔流が天に立ちのぼり、真っ黒な雲を突き破る。
その瞬間。空から降って來た巨大なの矢が──キングボアのを貫いた。
「Bmooou…………」
みるみるうちに減っていく、HPバー。
それが零になった瞬間。奴はに呑まれて消えて行った。
改めまして皆様、いつもご読くださり誠にありがとうございます。 こまるんです。
無事、キングボア戦が終了いたしました。
このボスは、実は登場させた時點から『ユキにとっての最初の壁』になることは決まっていて、章分けするとすればこいつが一章ラスボスという扱いになりました。
折しも今回のお話でちょうど十萬文字に到達致しまして、(ほんの偶然なのですが)凄くいい塩梅で一章を書ききれたなぁと我がことながらししております。
さて、私事にはなりますが。私の執筆速度は極めて遅く、一話あたり八時間とか平気でかかります。
そんな中にも関わらずこれだけのハイペースで書いてこれたのは、寄せてくださる応援のコメントでありましたり、沢山のポイントでランキングの超上位に載せてもらったりと、ひとえに皆様のおでございます。
改めて、本當にありがとうございました。
これからも、ユキが新しい世界を楽しんでいく様子を皆様と共有していければと思っております。
今話のリザルトから始まる第二章もお楽しみに。
最後になりますが、楽しんでいただけた方はぜひとも応援の評価ポイントを投げてやってください。
作者にとって、一人一人のブクマ、評価ポイントは本當に勵みになっております。
長くなってしまいましたが、言いたいことは言えたのでここで筆を置かせていただきます。
書籍化目指して、今後とも頑張るよ。みんな宜しくね☆
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