第一回イベントは、バトルロワイヤル形式。

決戦に備えスキル面での更なる強化を目指し、ユキは今日もログインをする。

「はいほーい、みんなこんにちは。ユキですよー」

カナとの通話を終えて、この日二度目のログイン。

今回は特に理由もないので、同時に配信を開始したよ。

『がおつー』

『まってた』

『がおつー』

『がおーつー』

『がおつー』

『がおー』

「う……もはや、がおーの文字列程度じゃなんとも思わなくなってきている自分が辛ぁい」

『草』

『洗脳されている』

『慣れって怖いね』

『これはがおー連打の予？』

「しない。しないから。がおーは使わない」

『えー』

『と言いつつも？』

『使うんだろうなぁ』

『唄は？』

『↑唄見たい』

「どっちもやりませんー！！」

『そう言えば、協會いかんの？』

『協會？』

『↑↑教會だ』

『まだ行ってないもんな』

『教會で賛歌歌ってほしい』

『そもそも教會あったっけ？』

「アジーンはリスポーンの広場近くにあったっけ。ドゥーバは教會よりも神殿のイメージがある…………あ、そういえばずっと顔出してないね。神殿行こうか」

歌は歌わないけど！　とだけ告げて、聖都ドゥーバへ移。

そのまま、神殿の方へと歩いて行く。

いざ神殿に著いた訳だけれども……何かバタバタとしている？

「一昨日來た時より慌(あわただ)しい気がする」

『せやね』

『確かに』

『ゴブリン関連じゃない？』

『々あるんやろうな』

「確かにー。攻めてこられる前に々準備しておきたいことがあるのかなぁ」

道行く人々と會釈をわしながら、奧へ。

今んとこ、グレゴールさんくらいしか知り合いが居ないからね。彼を探そう。

「どこにいるのっかなー」

のんびりと歩いているわけだけれども、やっぱりどこかピリピリとした雰囲気。

神の方に聞いてみたところ、グレゴールさんの所に案してくれるそうで。

付いていった先は、何時ぞやの応接室。

ノックをして、呼びかける。

「ユキです。グレゴールさん、今大丈夫でしょうか」

「ええ。おり下さい」

許しが出たので、室。

見事な敬禮をされて、思わず直した。

慌てて、見様見真似ながら禮を返す。

クスリと笑ったグレゴールさんの雰囲気がし軽くなった気がした。

「これはユキ様。慌しいところをお見せして申し訳ありません」

「いえ、こちらこそ突然すみません。ゴブリンの件ですか？」

「ゴブリンの侵攻に対する準備は、しずつ著実に進めてあります。今は々別件が上がっておりまして」

「別件」

「ええ。どうも、地下墓地の不死者が活化しているようなのです」

地下墓地……？

耳慣れない言葉だ。 そもそも、この街に墓地なんてあったんだ。

「この街を出て北西にし進むと、今はもう使われなくなった墓地が座います。そこは、昔からずっと存在しているのですが…………なんと言いますか、そこはダンジョンにも繋がっているのです」

「ダンジョン、ですか」

小さく、彼が頷いた。

「墓地には、地下に繋がる場所があります。そこまで深い訳ではないのですが、どういう仕組みか奧に行けば行くほど強力な不死者が出沒するダンジョンとなっているのです」

こくこくと頷くと、グレゴールさんは説明を続ける。

「普段はあまりれないことになっているのですが、たまに活化する時がありまして。放置しすぎると外に溢れてしまうため、高位の者を派遣して浄化させるのです」

「溢れて？　外に不死者が出てくるということです？」

「ええ。それも、人々が手に追えないほどに力を蓄えてしまったアンデッドが。

それを許す訳には行かないので、今回も私かほかの者が浄化に向かうべきなのですが……何分、ゴブリンの件もありすぐにけるものが居らず」

ほー、なるほどねぇ。

なるべく急ぎで地下墓地とやらの浄化に赴く必要があるのだけれど、可能な人材が居ない…………と。

あ、これ、そういうことか。

「んーと。私でも問題ないのであれば、私が行きましょうか」

高位の……って言うのがどうか分からないけれど。

HP7000分の浄化を回復無しで出來るんだ。力としては申し分無いだろう。

「ユキ様に向かって頂けるとなれば、願ったり葉ったりというもので座いますが……宜しいので？」

「はい！　ちょうど何か出來ることないかなーと思っていたところだったんです。お役に立てるならばこちらこそむところで」

「助かります。しお待ちを……」

部屋に備え付けられている機へ歩いていったグレゴールさん。

引き出しを開けると何かを取り出して、こちらに戻ってきた。

「コチラが、地下墓地への場証になります。門の前で、これに聖の力を通して頂ければ、反応して門が開かれるという仕組みになっております」

「ありがとうございます。確かにけ取りました」

預かったのは、何らかの素材で作られた印判。

表示されたウィンドウに『地下墓地の鍵』と書かれてあるのを確認して、インベントリに仕舞った。

「では、お願い致します」

「任せてください！」

一禮をして、退出する。

同時に、ポーン、とインフォがなった。

『特殊クエスト[地下墓地(カタコンベ)の異変]が開始されました』

お、來たね。特殊クエストって扱いなのか。

ポチポチとウィンドウを作して、ついでに可視化。

◆◆◆◆◆◆◆◆

特殊クエスト[地下墓地(カタコンベ)の異変]

勇ましく、そして可らしいと名が広がり始めている當代の聖。

そんな彼に、新たな任務が下された。

活化してきている地下墓地の調査と、浄化。

実力を鑑みれば全く問題ないはずの任務だが──

功條件[地下墓地 深部に到達する]

失敗條件[地下墓地に足を踏みれぬまま一週間が経過する]

◆◆◆◆◆◆◆◆

……え、いや。 あの。

『わろた』

『[勇ましく可らしい]を激推しする運営w』

『絶対、運営いま考えてるだろww』

『何かときが早すぎるw』

『てかなんだこのクエスト』

『絶対なんかあるじゃんw』

『[悲報]地下墓地調査、トラブル確定』

『頑張ってw』

々と納得いかないんですけどーー！？

ユキよ。お前は準備期間すら大人しくできんのか。

よくあるRPG的なクエスト條件があるとしたら、聖レベル30以上か聖騎士レベル50以上。

々遅くなりました。夏バテ気味ながらなんとか隔日を守れているのも、皆々様のおです。今後ともどうぞよろしくお願い致します。