《【書籍化】『ライフでけてライフで毆る』これぞ私の必勝法》到來するもの
聖専用と思われる小部屋。
そこで手にれたものは、念願とも言える新しい武だった。
「んーー……!!」
最後の長い石段を昇り、カタコンベを出する。
外の空気は、最初に訪れた時よりもどこか軽いような気がした。
ぐーーっとをばして、をほぐす。
うん。なんだか解放みたいなのがあるね。
例の杖は、両手にしっかりと握っている。
正直、ちょっとだけ、ちょーっとだけ重いから、背中にでも背負っておきたいところなんだけども。
『初ダンジョンおつおつ』
『結構長丁場だったね』
『結構おつかれ?』
『なんかあれだな。つらそう(』
『わかるw』
「うっ、何いってんの。べつに重くなんてないよっ?」
『いや草』
『語るに落ちるって知ってる?』
『自分から言うのほんと笑うんだけど』
『みんな言わないであげたのに……』
『「特殊な素材で作られているため、重量はかなり抑えられている」』
『筋力値0は伊達じゃない』
「ぐぬぬ……」
いや、別にさ、そこまで言うほど重いって訳でもないんだよ。
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ただ、確かな重量はじるから……何ていうかな、ずっと持っているのはしんどいかなって。
「背中に背負っておけるような紐でもあれば楽なんだけどねぇ。街戻ったら探してみようかな」
『ん?』
『え?』
『ん??』
『ショートカット機能をご存知でない?』
『い、いや、背中に新しい武をじていたいだけかもしれない』
「しょーとかっと……?」
『説明しよう』
『メインに裝備登録している武一つだけは、ショートカットに登録するだけでいつでも好きなときに手元に呼び出せるのだ』
『やり方は簡単。登録後に、武を念じて手元に呼び出すだけ』
『殆どタイムラグもないので、殆どのプレイヤーがショートカットを利用している……と言われているぞ!』
『おお』
『解説三連星だw』
『久々だなぁ』
「あ、いつぞやの……! なるほどねぇ。全然知らなかったや」
『こんだけガッツリいてて知らないのユキくらいだろうなw』
『武持たずに前線出るの自が稀有すぎる』
『間違いねぇ』
『そういう人はPTメンバー見て知ってるだろうし』
『ソロの弊害……とも言える?』
『うーん(』
『あ、ちなみにだけど、ウィンドウの裝備欄からできるよ』
えーっと、裝備欄の……あ、ショートカットを登録ってやつかな?
作自は非常に簡単だった。登録した瞬間、手に持っていた杖が消える。
おー、本當に消えた!
「えーと……こう、かな」
は試しと、両手を軽く突き出して念じてみる。
青いが杖の形を形取り、あっという間に手の中には先程までと同じものが握られていた。
「これは便利だっ。ありがと~!」
たしかにこれなら、道中も邪魔にならないからとても良いね。
よし。筋力値、まだ振らなくても良いな。HPに直結しない限りはこのままVITを振っていくことにしよう。
そうだ。一息つけたし、ステータス振っておこうか。
ささっとウィンドウを作して、割り振り。この作も慣れたものだ。悩むものがないってのが大きいけど。
「おー、8000が目前だぁ。7937!」
『やばいw』
『とどまるところを知らない』
『ほんとに五桁も見えてきたね』
『まあレベルも異様に高いし……』
『ほんと、上位陣の速レベリング怖すぎる』
『今一番高い人どれくらいなんやっけ』
『確か40は超えてたはず』
『意味わからんwww』
へぇ~~。レベル40かぁ。凄いね。
私も、まだまだ足りないということなのか。いやまぁ、レベルだけ上げれば良いってものでは無いんだろうけど!
さて、と。図らずして武もアクセサリーも揃ったわけで、後は防だけどもこれは納品待ち。
あれ? 早くも出來る準備が減ってきた?
ま、いいか。とりあえずグレゴールさんに報告……ん?
「わわっ!?」
突如、目の前に何かが叩きつけられた。
強烈な勢いで飛んできたソレは、うめき聲を殘して姿を消す。
「え、ちょっとまって。今のって」
『は?』
『いやw』
『ゴブリンだろ今の』
『どういうことww』
『今どっから飛んできたw』
『【速報】凄サマの目の前に何処からか強烈な勢いでゴブリンが飛んでくる』
『これは嵐の予なんだが』
『新しい宣戦布告?』
『↑ゴブリンを手袋の代わりに使うな』
阿鼻喚? なコメントの流れを観ていると、逆に落ち著いてきた。
えっと、いま何処からか飛來したのは、間違いなくゴブリンだったと思う。
さて問題はソレが一何事なのかということなのだけれど……
「ご、ごめんなさぁ~~い!!」
不意に背中から響き渡る、大きな聲。
振り向かずともわかるほどに慌てた様子の聲は、の子のものと思われた。
パタパタと駆け寄って來ているのをじるに、恐らくゴブリン飛來事件の真相に関わりがある人だろう。
うん。わかるぞ。じる。
「これ、けっこーやばいじの人が來るよ」
『ソウダネ』
『おまいう』
『お前が言うなw』
『つ鏡』
『同類検知は早い』
『同族レーダー完璧じゃん』
『草』
…………解せぬ。
この、一何者なんだっ……!?
予定より一日遅れてしまいました。申し訳ありません!
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