無事、トウカのみつけたダンジョンにたどり著いた3人。

意気揚々と、毆り込むことにしたのでありました。

「…………わぁお」

「ほえーー！」

「……うっそやろ」

試練の祠。

トウカちゃんが見つけ出した、新たなダンジョン。

意気揚々と潛り込んだわたしたちは、ってすぐに、その景に圧倒された。

見渡す限りの、大草原。

風にさらさらとなびく草っ原には、ところどころに木が生えていて。

極めつけは、空。

そう、天井ではない。

上を見上げれば、そこは雲ひとつ無い青空で。太が眩しくこちらを照らしていた。

祠の中としてはありえない、とんでもない景。

夢にも思わなかったにじる大自然に、思わず直してしまったのは仕方がないと言えるだろう。

「……これ、どういうこと？」

「わからん。わからんが……とにかく、この祠がとんでもないもんってことは確かみたいやな」

「すっごいですー！」

「窟なのに、空が見えるよ」

「太まであるとは、手ぇ込んどるなぁ」

「土も草もちゃんとありますっ」

思い思いの想を呟きながら、私を先頭にして草原を歩き始める。

あ、隊列に関しては、流石に変えたよ！

どんな仕掛けがあるかわからない以上、矢面に立つのは私であるべきだからね。

「しっかし、草原かぁ」

「予想の斜め上ってじやったな」

カナのつぶやきに、頷くことで返す。

試練って銘打つくらいだし、いきなり過酷な狀況に置かれるのかなーとも思っていたけれど。

実態は、いたって平和な大草原。なんなら外よりのどかだよ。

まぁ、いきなり異空間みたいなところだった以上、今後もまた目まぐるしく変わってくる可能だってあるんだけど！

「あ。あれみてください。前！」

不意に、トウカちゃんが大きな聲を出して、前を指さす。

つられて前方を見ると、小さな影が、いくつか寄ってきているのが見えた。

◆◆◆◆◆◆◆◆

名前:ウルフ

ＬＶ:50

狀態:平常

◆◆◆◆◆◆◆◆

ウルフ。いきなり高いレベルだとはおもうけど、ダンジョンの位置を考えたらむしろ自然か。

こちらに接近しているのは、パッと見るじ４ってところかな？

「わー！　オオカミだーっ！」

「ちょ！？」

のんびりと観察していると、橫合いからピンクの髪が抜けだした。

大きなハンマーを片手に、とことこと駆け寄って行ってしまう。

「え、待って。トウカちゃん！？」

「ありゃ～。仲間を見つけたってじかね」

「え、そういう理屈！？」

ウルフも犬科、トウカちゃんも犬耳ってか。

いや、さすがにそんな理論じゃないでしょ。

そもそも別に犬人族ってわけでもないし！

「で、あれどうするんや？　絵面的には、猛獣に突っ込んでいくちびっこってじやけど」

「うーーーーん……い、一応みまもる？　なにか考えがあるかもしれないし」

「りょーかい」

トウカちゃんの狙いがよくわかっていない以上、こちらは靜観するしかできない。

そもそもとして、戦うつもりなのかどうか。それすらもわからないからね。

なんかこう、『お友達になれると思ったのに～～！！』とかしょげられちゃうのかも……いや、流石にないかな。

よく考えたら、彼にどんな手札があるのか、わたし全然知らないや。

一応、すぐにでも手を出せるようにチャージはしておこうか。

とことこっと駆け寄って行く小さな人影と、四のウルフ。

特に何かが起こることもなく、両者は接近していく。

あと數メートルというところで、トウカちゃんが大きくハンマーを振りかぶった。

「どっせーーーいっ！！！」

「いや、戦うんかーーい！」

力強い聲を吐き出しながら、大きな得を橫なぎに振るう。

ぶぅうん！　という風切り音がこちらにも聞こえてくるとじるほどの、豪快なスイング。

それは見事に三(・)(・)の(・)ウルフに直撃し、一撃で葬り去った。

……ん？

「みすったぁーー！！」

「え」

「あ」

トウカちゃんによる、渾の一撃。

それは確かに三のウルフを倒したのだけれど、裏を返せば、それを躱(かわ)してしまった存在がいるわけで。

生き殘ったオオカミさんが見據える先は、當然ながら、ハンマーを振り切ったばかりの仇敵(きゅうてき)。

これは、まずい。

慌てて放たれた、白と炎の熱線。

しかし、その行は、すこしばかり遅かった。

ウルフが無防備なトウカちゃんに飛び掛かり、そのに食らいつく。

小さなが一瞬で粒子と化すと同時に、ウルフもまた、に焼かれて消え去った。

「あっちゃ～」

「と、トウカちゃーーん！！！」

その場に殘されたのは、二人だけ。

カナの顔をみると、困ったように笑っていた。

「……どうする？」

「まぁ、無難に一つしかないやろ」

「だよね～。

じゃあ、てったーーい！」

こうして、私たち三人の初ダンジョンちゃれんじは、わずか數分で終わったのだった。

めでたく……はないね！

トウカちゃんがトウカちゃんしちゃった。

新年度ですねー。新生活るのでどうなるかはわかりませんが、暫くはできる限りペース早めで投げられたらなと思っております。