《【書籍化】『ライフでけてライフで毆る』これぞ私の必勝法》激闘 神話の存在
作戦會議も終わった。準備は萬全。
さあ、ボスに挑もう!!
白い扉を抜け、新たな空間に降り立つ。
周囲を見渡してみると、そこはコロッセオのような場所だった。
かなり広い、円形のバトルフィールド。
ふむ。ボスバトルって認識は間違いなさそうだ。
すぐさま【充填】を開始して、杖を現化させる。
さて、じゃあ先ずは作戦通り──ッ!?
「寄ってっ!」
強烈な悪寒。
咄嗟に聲を上げて、2人に呼びかける。
すぐさま反応してくれているのを橫目に見ながら、両手に杖を握りしめた。
「【守護結界】起!」
抱えた杖が淡くり、結界が発する。
その瞬間、周囲が真っ赤に染まった。
「わわ、なにっ!?」
「上や!」
カナがぶと同時に、辺りがまた紅蓮の炎に包まれる。
目まぐるしい勢いで削られる結界を橫目に見ながら、キッと空を睨みつけた。
「グルォォォォ!!!」
空を飛ぶ、獅子。
そんな表現がふさわしいだろうか。
百獣の王を彷彿とさせる、金のたてがみ。
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けれど、決定的な違いはその背中だ。
背部から生えているのは、一対の翼。
本來ライオンには有り得ないはずの飛行手段が、その存在を誇示するかのようにはためいている。
まさに怪と稱するに相応しいその存在に、何となくだが心當たりがあった。
キマイラ。
ギリシア神話に登場する、伝説の魔獣。
もしその出典が正しいのであれば、蠢(うごめ)く長い尾にも注意を払う必要があるだろう。
◆◆◆◆◆◆◆◆
名前:キマイラ
LV:70
狀態:平常
◆◆◆◆◆◆◆◆
「わわわー! スッゴイですよー!?」
「……これはまた、ドえらいモンが出てきたなぁ」
「神話からなんて、いかにもボスっぽいね!」
「こいつはちょっと、分が悪いかもしれん」
「とりあえず、離れない方針で!」
こくりと頷いた二人が、その場で準備を始める。
ぱっと見たじ、火炎の範囲はかなり広い。
さっそく予定は崩れてしまうけれど、これは私のそばにいてもらったほうがぜったい良いよね。
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「【魔道領域】【神統一】」
「【TENSHON】ためる!」
カナを中心に、魔法陣が展開される。
それから間もなく、それぞれが深い集中を始めた。
2人とも、防は完全に私に任せる形。
ふふ。信頼されてるじがちょっと嬉しいね。
「グルォォォ!!!」
「っ、 がおーー!!!」
ズゥンと音を鳴らして、キマイラが著地する。
同時にじた強烈な悪寒にを任せて、【咆哮】。
かき消すことまでは出來なかったけれど、恐らく意味はあった……はず。
苛立たしげに、此方を睨み付けるキマイラ。
その口から、また強烈な炎が放たれた。
3人分。
結界の耐久値が凄い勢いで削れて行くのを確認しながら、奴を睨みつける。
むむむ。一分くらいならこのままでも耐えきれそうではあるけれど、正直不安だね。
私のHPだけなら余裕で保つけども、二人を庇えるのは結界の生き殘っている間だけ。
それを思えば、もうちょっと何らかの形で相手のきを抑えたいところだよね。
特に、火炎。3人まとめて削られちゃう。
そもそも、私の今の手札って何があったっけ。
【聖の咆哮】、【聖魔砲】、【GAMAN】、【ドレイン】……
【ドレイン】はあんまり意味ないかな。
今の私なら1発で750くらいの威力は出せるけど、接しないといけないのが難點。
秒間ダメージも、三人まとめて接近しないと行けないリスクを考えるとそれに見合うとも思えないしね。
後は……【歌】?
そうだ、歌だ!!
すぅーと大きく息を吸う。
「♪〜〜……「グルォォォォ!!!」ひぃぃん! ごめんなさい!!」
バラード系の曲で、相手のきを鈍らせられないかなぁという試み。
それは、『巫山戯てるのか』と言わんばかりの咆哮により、遮られてしまった。
どうしようかと考えている間に、またキマイラが大きく息を吸い込む作にる。
その瞬間、奴の足下から巨大な炎が巻き起こり、そのきを中斷させた。
「カナ、ナイスっ!」
「あかん! やっぱりあんま効かへん!」
カナによる、【火炎嵐】。
キマイラのきこそ一旦止めて見せたものの、その力の減りはあまり芳しくない。
レベル差もあるけれど、やっぱり屬相というやつかな。
明らかに、キマイラにとって炎は得意そうだもん。
「カナの魔法が効きづらいのは大変だなぁ」
「テンション、あと50秒弱です!」
「オッケー。取り敢えずそのまま溜めてもらおうか。
ユキ、ウチもしばらく時間貰うで!」
「はーい! でっかいの撃っちゃって!」
私が答えるよりも早く、カナが詠唱にる。
親友の選択は、ほぼ間違いなく隕石落下。
威力が高いのは當然として、たしか複合屬だから炎に強い相手でもまだ通るとか言っていた記憶がある。
さて。トウカちゃんはまだしばらくけず、カナも、短したとしても三十秒くらいは詠唱。
炎は二回までなら耐えられるかな? となると……
「わわっ」
思考を巡らせている間にも、キマイラはまた燃え盛る火炎を吐き出す。
あと一回はぎりぎり炎をけられるとして、最後の十秒くらいは私の聖魔砲による攻撃で稼げるだろう。
うーん。このペースなら、なんとか間に合いそうだけど……っ!?
突如として、を襲った悪寒。
それはさっきまでと違い、キマイラのし後ろのほうからじたものだった。
思わずそちらをみると、蛇の顔をした奴の尾が、ぎょろりとこちらを向いている。
ピシャーン!
鋭い音とともに、雷(いかずち)が襲い掛かった。
同時に、乾いた音を響かせながら守護結界が砕かれる。
これは、まずい。ひっじょーにまずい。
私はまだある程度は大丈夫だけれど、結界が壊れちゃうともう二人を守れない。
準備時間は、おそらくあと20秒弱……よし。
「【発】 いっけええ!!!」
80%近くまで進んでいた充填。
その力のすべてを、キマイラへ向けて解き放つ。
ブゥウンという鈍い音を経て、全てを呑み込むような線が放たれた。
威力は一萬を優に超える一撃。無傷と思いたくはないが、これで倒せるともじない。
全全霊の余韻に浸る間もなく、即座に前にむかって駆け出す。
キマイラはから煙を上げつつも、まだまだ健在な様子。
その、目の前にまでたどり著いた。
「──【GAMAN】!!」
「グルォオオオオオオ!!!」
スタジアム全が震えるほどの、強烈な咆哮。
怒りが多分に含まれたそれを真正面から浴びて、私のは完全に直した。
振り上げた前腳が、目にも止まらぬ速度で襲い掛かる。
全を抉られるような打撃に、思わず膝をついた。
HPは、限りなくゼロに近い。
けど、間に合った。
「【隕石落下(メテオフォール)】!!」
空から溢れんばかりの流星が降り注ぎ、キマイラに直撃する。
一発一発の直撃のたびに、奴がそのを大きく揺るがせているのが確認できた。
今のうちに、転がるようにしてしだけ自分の位置をずらしておく。
こうしておいたほうが、いい気がするから。
隕石が、止んだ。
流石に、余裕とはいかなかったらしい。
僅かによろめいたキマイラが、改めて私に向き直る。
けど、こっちはまだ終わりじゃない。
「いきます!」
全からオーラを発させたトウカちゃんが、自らの得を掲げる。
その溢れんばかりの闘気に危機を覚えたのか、キマイラは慌てたようにそちらを向いた。
「らすと、いんぱくとぉぉぉ!!!」
巨大化し、り輝くハンマー。
彼はそれを、まっすぐに地面にたたきつけた。
著弾點が、大きくぜる。
白く輝く衝撃波が、地面を砕きながらキマイラへ向かって突き進んで。
「いっけええええ!」
回避は、間に合わない。
トウカちゃんのびに呼応するように、真っすぐに直撃し──発した。
正真正銘、わたしたちの全力攻撃。
それを全てけたキマイラのが、大きく揺らぐ。
このまま、倒れて。
そんな祈りにも近い願いは、無にも破られた。
「グルオオオオオ!!」
怒りに任せた、全力の咆哮。
次の瞬間、カナたちのところへ雷が落とされた。
焼け焦げた地面に、二人の姿は殘されていない。
最後の一人にとどめを刺そうと、キマイラの顔がゆっくりとこちらに近づいてきた。
「ただじゃ、おわらないよ」
【解放】
収束された線が、その右目に直撃。
悲痛な悲鳴を上げてのけぞる姿に、してやったりと笑って見せる。
「次は、完勝してみせるからね」
ふたたび近づいてくる顔に対して、睨みつけながら言い放って。
キマイラが大きな口を開いたのを最後に、私の視界は暗転した。
「次は、完勝するもん」
容が重くて一日間に合わなかった~~!
久しぶりにボスエネミーとの死闘を書きました。ほんと難しい。
実は二週間前くらいから、アルファポリス様にも投稿を始めました。
大部分はこちらと同じですが、細部をちょっとずつ修正して、よりブラッシュアップさせているつもりです。
追いつくまでは毎日更新で、今ちょうど聖になるところ。
もし気が向かれましたら、そちらも応援していただけるとモチベになります。懐かしさもじられると思う!
もちろん、まだの方はこちらのブックマークと評価をしていただけるととてもうれしい。また日刊乗ってみたいお気持ちありますね……!!
最近ペースが鈍りがちですが、コツコツ書き進めたいと思います。
どうぞ今後ともよろしくお願いいたします。
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