《《書籍化&コミカライズ》神を【神様ガチャ】で生み出し放題 ~実家を追放されたので、領主として気ままに辺境スローライフします~》1話。神様ガチャの真価が理解されずに実家を追放される

「アルト、お前のようなクズは我が栄の伯爵家には必要ない。追放だ!」

僕は突然、父さんから追放を言い渡された。

「えっ!? なぜですか、父さん!? 僕は王宮が管理する全てのモンスターたちの世話をしているんですよ!

僕がいなくなったら、誰があの子たちの面倒を見るんですか!?」

僕の家は、代々、國王陛下に仕える王宮テイマーの名門貴族だった。

僕は毎日、朝から晩まで必死にモンスターたちの世話をしていた。

それこそ、遊ぶ暇もないくらいにだ。

「決まっておろうが、お前が外れスキル持ちだからだ。

モンスターを一召喚するのに100萬ゴールド課金する必要がある【神様ガチャ】だと?

お前は我が家の財政を破綻させるつもりか!? この家は、お前ではなく弟のナマケルに継がせることにする!」

「へっ、兄貴、あんたはもうお払い箱だぜ!」

雙子の弟ナマケルが、嫌味たっぷりに言い放った。

この世界では18歳になると創造神様から、特別なユニークスキルをもらう。

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僕のスキルは【神様ガチャ】というものだった。

100萬ゴールドをかけて、モンスター1をランダムに召喚できるスキルだ。

100萬ゴールドは、王都に屋敷が建てられるほどの大金。僕がこれまでコツコツしてきた貯金と、ほぼ同額だった。

「といっても、我がオースティン伯爵家の者に乞いでもされたら迷だ。開拓に失敗した辺境の土地を與える故、まともな領地にするまで、そこを離れるな!」

「ヒャァアアッ! あの危険なモンスターだらけの辺境すっか!? こりゃ、モンスター好きの兄貴にはピッタリの追放場所だぜ!」

ナマケルが腹を抱えて、笑い転げた。

「ちょっと待ってください! まだ僕のスキルが役立たずだと決まった訳じゃ……」

「ほう? なら、お前が貯めた100萬ゴールドでモンスターを召喚して見せろ。その結果次第で考えてやっても良い」

「父上、100萬ゴールドもかけている時點で、コスパ最悪の外れスキルですよ。オレっちのスキル【ドラゴン・テイマー】の方が、よっぽどオースティン伯爵家の跡取りにふさわしいじゃん」

「それもそうだが。まあ、アレだ。最後のけという奴だ」

父さんとナマケルは、ニヤニヤしている。

父さんは昔から、ナマケルばかりを可がってきた。

しかもナマケルが獲得した【ドラゴン・ティマ─】は、地上最強のモンスター『ドラゴン』を従えることのできるスキルだ。

まさに究極のテイマースキルだった。

だけど、それとモンスターたちの世話を毎日できるかは別問題だ。

ナマケルは仕事をサボり、の子たちとドンチャン騒ぎを繰り返していた。

僕はモンスターたちとコミュニケーションを取って、彼らの調や気分に合わせて、エサを変えたり、必要なケアをしてきた。

そのおかげで、あの子たちは、人間を信頼して、通常以上の能力を発揮してくれているんだ。それが、この國を守ることに繋がっている。

父さんも、そのことはわかっていると思うんだけど。ドラゴンを従えることができるという魅力にとりつかれているようだった。

ドラゴンをテイムできれば、周辺諸國に対して軍事的優位に立てる。オースティン伯爵家の王國での地位も盤石になるだろう。

でも……

「僕が世話をやめたら、モンスターたちは言うことを聞かなくなって、暴れ出すと思います。そうしたら、どうするんですか?」

ナマケルは遊び回るのに夢中で、ろくにモンスターの世話などしてこなかった。王宮テイマーの地位を継いで、うまくいくとは思えない。

「決まっているだろうがよ兄貴。オレっちがこれから従えるドラゴンで、ねじ伏せて言うことを聞かせれば良いんだよ。

恐怖と力で支配すれば、楽勝ってなモンだぜ」

ナマケルが小馬鹿にしたように鼻を鳴らした。

「なんだとっ!? あの子たちは奴隷じゃないんだぞ!

スライムのスラポンは新鮮な水がないと力を発揮できないし。ケット・シーのタマは、マタタビを與えてやらないと不機嫌になるし。ユニコーンのスピカは餌やり擔當をの子に代えてくれと言っていて……」

「あー、はいはい。モンスター好きの兄貴のバカ話にはウンザリだぜ。とっと【神様ガチャ】とやらを使いな」

みんなのことを説明しようとしたら、ナマケルに遮られた。

くそうっ……大事なことなのに。

そうだ。今まで貯めたお金で強いモンスターを召喚して、僕こそが家を継ぐのに、ふさわしいことを証明してやる。

それで、あの子たちを守るんだ。

【神様ガチャ】を使おうと念じると、目の前にの文字が浮かび上がった。

『初回限定特典! 今ならSSRランクの神が必ず貰える!』

初回限定特典? なんだかわからないけれど、期待できそうなじだ。

父さんに命じられた侍が、僕の部屋から100萬ゴールドがった寶箱を運んできた。

箱を開けると、そこには黃金の輝きを放つ金貨が詰まっている。

さあ、勝負開始だ。

「100萬ゴールド課金、投! ガチャ、オープン!」

金貨がに包まれて殘らず消滅する。

僕の目の前で、まばゆいが弾け、その中から人影が転がり出た。

「あいたたっ! あれっ、ここって地上かしら?」

現れたのは僕と同い年くらいのだった。

出現する際に腰を打ったのか、おっている。

「なんだ! 100萬ゴールドもかけて、モンスターを召喚できんかったのか!?」

「やっぱりゴミスキルでしたね。父上」

ナマケルがあざ笑う。

「ちょっと待って下さい! おい、なんだよ。キミは!?」

「あっ……會いたかったわっ! アルト! 私よっ! 穣の神ルディアよ!」

僕がに詰め寄ると、彼は目に涙を浮かべて僕に抱きついてきた。

らかいに、思考がぶっ飛びそうになる。

『彼いない歴=年齢』の僕には刺激が強すぎた。

「なっ、な、なんで、モンスターを呼び出すスキルで人間が出てくるんだよ!?」

僕は慌ててルディアを突き放す。

「それに會いたかったって? キミとは初対面のハズだろう?」

「やっぱり、前世の記憶を失っているのね!? 私は人間じゃなくて神よ! あなたとは人同士だったでしょう?」

い、言っていることが、サッパリわからない……

完全に頭のおかしい娘だった。神とか言うし。

「とっ。そ、そうね……現世では初対面だったわね。

こほん。初めましてマスター、アルト。これより、神ルディアはあなたの使い魔として未來永劫お仕えいたします」

優雅にお辭儀して、ルディアは僕に臣下の禮を取った。

「も、もしかして人間に見えるだけで、モンスターの一種か?」

「はっ!? あんた目がおかしいんじゃないの? この私が下等なモンスターに見える!?」

「……見えません」

「こ、これでも、天界一のだって評判だったのよっ! いくら私のご主人様でも言って良いことと悪いことがあるわ」

ルディアは頬を膨らませて怒っている。

「あなたと再會できるのを楽しみにして、こんなにいっぱいおめかしして來たのに!?」

ルディアの絹のような金髪は花の可飾りで彩られ、完璧なプロポーションを誇るは清楚な白いドレスに包まれていた。

えっ? この可らしい格好って、僕のためにして來てくれたの?

「もう良い……よくわかった。アルト、やはりお前は、我が家にふさわしくない。その頭のおかしい小娘と一緒に出ていくが良い!」

こうして僕は実家を追放された。

アルトを追放したオースティン伯爵。

彼は王宮のモンスターたちが、やがて暴れ出すというアルトの忠告に耳を傾けなかった。

誰の日々の努力で、伯爵家が王宮テイマーとして王家から信頼されてきたかを全く理解していなかった。

オースティン伯爵も、弟のナマケルもまだ知らない。

やがて、アルトが開拓する領地が王都を超えて発展し、アルトは名君として歴史に名を刻むということを。

オースティン伯爵も、弟のナマケルもまだ知らない。

アルトを追放したことで、伯爵家が沒落し、全てを失う地獄を。

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