《《書籍化&コミカライズ》神を【神様ガチャ】で生み出し放題 ~実家を追放されたので、領主として気ままに辺境スローライフします~》3話。無課金ガチャで神竜バハムートを召喚する
「きゃあぁ〜! 早いわっ! 早いわっ! スゴイわね、シロ!」
「わんっ!」
僕の背中にしがみついたルディアが、歓聲を上げる。
ホワイトウルフのシロに乗って、僕たちは辺境の地、シレジアを目指していた。
魔獣であるシロは馬などより、はるかに腳力がある。僕たちに追い越された騎士の一団が目を丸くしていた。
これなら3日ほどで、僕の領地となるシレジアに到著できそうだ。
「魔獣にここまで好かれてしまうなんて、さすがはアルトだわ!」
「さすがって、ルディアとは今日、出會ったばかりだろう?
まるで僕のことを昔から良く知っているかのような口振りじゃないか」
褒められるのはうれしいが、なんとなく居心地が悪い。
何よりルディアには、を著されてドキドキしっぱなしだった。
「そりゃ、そうよ。前世からの付き合いだもの。私はあなた以上にあなたのことを知っているわ。
……って、そう言えば、これを渡していなかったわね。はい、今日のログインボーナスの【神聖石】よ」
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ルディアは虹に輝く小さな石を3つほど取り出して、僕に手渡した。
「なんだ、これ? 見たこともないキレイな石だけど……」
そのしさに、思わず魅ってしまう。
「エヘヘッ……恥ずかしいけど、私のあなたへのが結晶化したモノよ。強い神聖力が宿っているから、これを5個集めれば【神様ガチャ】が1回、まわせるわ」
「えっ? もしかして100萬ゴールド課金しなくても、モンスターを召喚できるのか!?」
僕は仰天した。
それなら、だいぶ話が変わってくる。
「そうよ。もっとも無課金ガチャで召喚できるのはレアリティR以下の神獣だけだけどね」
「レアリティR? よくわからないけど……それなら課金せずに、ルディアから石を貰えば済む話じゃないか?
これはどれくらいあるんだ?」
貴重品だとしたら。これ以上、タダでもらう訳にはいかないな。
「殘念だけど。【神聖石】は1日1個しか生み出せないの。今回はアルトに再會できたうれしさから、3個も出せたのよ。
なにより魔王たちより先に神々を復活させるには、お布施が。課金が必要なの!」
ルディアは語のヒロインっぽい切実な聲音で訴えた。
「お願いガチャに課金してアルト! 世界を救うためにっ!」
「……いや、悪いけど。100萬ゴールドなんて大金、もう絶対に課金しないから。そんなお金があったら、領地の開拓に使う」
「むぅ〜っ!」
ルディアは不満そうに頬を膨らませた。
かわいそうだが、ここは譲れない。
「僕は辺境にモンスターたちの楽園を作るだ。そのためにはお金が要る。
神様ガチャは、ギャンブル。人を破産させるスキルじゃないのか?」
確かにルディアのスキルを獲得できたのは大きなメリットだったが、リスクがデカ過ぎる。
もし100萬ゴールドかけて、弱いモンスターや役に立たないスキルしか得られなかったら、僕の夢が遠ざかるだけだ。
「いいわ……それじゃ、まずは無課金ガチャで、【神様ガチャ】がいかにすごいスキルか実してみて。そうしたら、絶対に課金したくなるんだから!」
ルディアは自信満々で告げた。
◇
2日後、僕たちは大森林が広がる辺境シレジアに到著していた。通稱『魔の樹海』などと言われる境である。
ここが僕の領地となる訳だが、どこを見渡ししても、鬱蒼とした木々が広がるばかりだ。
時折り、モンスターの鳴き聲などが聞こえてきて、ルディアはびっくとしていた。
「自稱神にしては、臆病なんだな」
かわいく思えて僕は苦笑した。
「當たり前でしょ? 私はか弱い乙なのよっ!
ま、まあ……アルトが守ってくれるから、安心だけどね」
「わんわんっ!」
僕たちを背に乗せたシロが、ボクもルディアを守るぞ、と言わんばかりに吠えた。
「えらいぞ、シロ。よし、よし。一緒にルディアを守ってやろうな」
僕はシロの頭をでてやる。
ルディアは【世界樹の雫】のような回復系の力は持っているが、荒事は苦手らしい。
モンスターだらけの樹海でこれ以上、あてもなくウロウロするのは避けたいところだった。
「この辺りに植者たちが作った開拓村が有るハズなんだけど……」
「わん、わんっ!」
僕が困っていると、シロが何かに気づいたように吠えた。
シロが急加速する。
「きゃあっ!? ど、どうしたのよ、シロ!?」
振り落とされそうになったルディアが抗議の聲を上げる。
シロが向かった先には、なんとゴブリンの群れがいた。
「開拓村が襲われている!?」
50匹以上はいるであろう武裝したゴブリンたちが、村を囲んだ丸太塀に火矢を撃ち込んでいた。
黒い煙を昇らせて、火が燃え広がっている。
「なんとしても、ヤツらを食い止めるんだっ!」
「死ぬ気で撃て!」
村の見櫓から、男たちが必死の形相でゴブリンに矢を掛けていた。
ゴブリンは略奪目的で人間の村を襲うことがある。
「ルディア、危ないから離れてろ! シロ、中央にいるのがヤツらのボスだ。突っ込め!」
ルディアを降ろすと、シロに突撃を命じた。
ゴブリンのような人間に近い知能を持つ魔は魔族と呼ばれ、殘念だがテイムすることができない。
ボスを倒して追い返すのが、もっとも良かった。
「アルト、無茶よ!」
「ぉおおおおおお──ッ!」
剣を抜き放ち、立ち塞がるゴブリンどもを蹴散らして進する。
シロの當たりをけたゴブリンたちが、まとめて吹っ飛んでいく。
「あれっ!? アルトってば、剣も強い! さすがは私のマスターだわ!」
僕の活躍に、ルディアが喜びの聲を上げる。
「いけっえー! いけ! いけ! アルト!」
ルディアの聲援をけて、僕はボスにまで一気に迫った。
ボスに剣を叩き込もうとした瞬間。ヤツが人間の男の子を盾にした。
ゴブリンの群れの中に、人質となっている子供がいたのだ。
「うぁあああああっ!?」
男の子が目をつぶって悲鳴を上げる。
僕は急制をかけて、剣を寸前で止めた。
「ぐぅううう──ッ!?」
僕に向けて、ゴブリンたちが矢を放ってきた。剣で弾き返すが、そのうちの一本が肩に命中して激痛が走る。
「グルゥウウウ!」
シロが威嚇するように唸って、突進してきたゴブリンを前足で毆り飛ばした。
僕を乗せたまま、シロはいったん後退する。
「アルト! 【神聖石】で【神様ガチャ】を回すのよ!」
ルディアが絶する。
「あなたは、ガチャは人を破産させる力だと言っていたけど、ガチャの本質は違うわ! ガチャは人と神を……みんなを幸せにする力なの!」
ルディアの元に、槍を構えたゴブリンが殺到していく。
「シロ! ルディアを守れ!」
僕の命令に、シロは弾かれたように飛び出した。僕の周りにも、ゴブリンが群がってくる。
この戦況を打破するには、新たな使い魔を召喚するしかない。
「お願い! ガチャを信じてアルトォオオオ!」
「神聖石、投! ガチャ、オープン!」
【神様ガチャ】を発させると、まばゆいが弾けた。
『レアリティR。神竜バハムートをゲットしました!』
無機質な聲が頭に響いて、ガチャの結果を伝える。
僕の目の前に、黃金に輝く姿をした巨大なドラゴンが出現した。
ゴブリンたちは全員、腰を抜かす。
「神竜バハムート。召喚により參上した。我が主アルト殿の敵を、ことごとく滅してくれよう!」
威厳に満ちたドラゴンの聲が響いた。
えっ、な、何これ……
神竜バハムートと言えば、創造神が魔王に対抗すべく創った最強の生じゃなかったけ?
えっ、このドラゴン、バハムートなの?
バハムートが僕の使い魔だって……?
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8 155久遠
§第1章クライマックスの35話から40話はnote(ノート)というサイトにて掲載しています。 あちらでの作者名は『カンジ』ですのでお間違いなく。表紙イラストが目印です。 ぜひぜひ読んでください。 また第2章は9月1日から更新します。第2章の1話からはまたこちらのサイトに掲載しますので、皆様よろしくお願いいたします。失禮しました~§ 「君を守れるなら世界が滅んだって構いやしない」 この直來(なおらい)町には人ならざるものが潛んでる。 人の生き血を糧とする、人類の天敵吸血鬼。 そしてそれを狩る者も存在した。人知れず刀を振るって鬼を葬る『滅鬼師』 高校生の直江有伍は吸血鬼特捜隊に所屬する滅鬼師見習い。 日夜仲間と共に吸血鬼を追っている。 しかし彼にはもうひとつの顔があった。 吸血鬼の仲間として暗躍する裏切り者としての顔が………
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