《《書籍化&コミカライズ》神を【神様ガチャ】で生み出し放題 ~実家を追放されたので、領主として気ままに辺境スローライフします~》7話。イヌイヌ族の商人の信頼を得る
次の日、ゴブリンたちに手伝ってもらって、見櫓の隣にシロの犬小屋を作った。
シロにはモンスターの侵を防ぐ番犬役を任せることにした。
シロがいれば安心して眠れると、村人たちは大喜びだった。
シロは熊くらいの長の魔獣なので、犬小屋もデカイ。
「やったー、ゴブ!」
ゴブリンたちがバンザイした。
「わんわんっ(ご主人様! ありがとうっ!)」
犬小屋の前に座って、シロがうれしそうに尾を振る。
あれ? 今、シロの鳴き聲が言葉となって伝わってきたぞ……
―――――――
テイマースキルがレベルアップしました!
【テイマーLv10 ⇒ Lv11(UP!)】
モンスターの言葉が理解できるようになりました!
―――――――
どうやらテイマースキルがレベルアップして、新たな能力に目覚めたようだ。
テイマースキルは、テイムやモンスターの世話をすると、レベルアップしていくのが特徴だ。
確かLv11以上になった者は、歴代王宮テイマーでもないんだったよな……
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まさかモンスターの言葉がわかるようになるとは、思わなかった。
「わんっ、わん!(暖かくなってきたから、を刈ってしいよ)」
「そう言えば、換期か」
ホワイトウルフは春の終わりごろ、が夏用に生え変わるのが特徴だ。
は放っておいても生え変わるが、適量、刈ってあげた方が熱がこもらなくて快適に過ごせる。
「じゃあ、トリミングもしようか」
「わん!(うれしいっ!)」
ハサミでシロのをジョキジョキ切ってあげた。魔獣は見た目も大事なので、なるべく格好良く見えるようにカットする。
シロは気持ち良さそうにしていた。
「わん、わん!(ご主人様や村のみんなを守れるよう。ボクは村の見張りをするよ。任せておいて!)」
「そうか。エライぞ、シロ!」
シロは僕の役に立つのが、うれしくてたまらない様子だった。
いっぱい頭をでてやる。
「アルト! お客さんだって。行商人が來ているそうよ!」
その時、ルディアがやってきて來客を告げた。
◇
「ご領主様に、ごあいさつ申し上げます、ワン」
帽子を取って、禮儀正しく頭を下げたのは、僕の腰くらいの背丈の犬型獣人たちだった。
彼らはイヌイヌ族といって、正直者であることで有名な種族だ。なにしろ、うれしいと無意識に尾を振ってしまうのだ。
「わざわざ、こんな辺境まで來てもらってありがとう。歓迎します。僕がシレジアの領主アルト・オースティンです」
僕はイヌイヌ族に椅子に座るように勧めた。
ルディアがお茶をれて、彼らの前に並べる。イヌイヌ族の大好である骨付きをお出しすることも忘れない。
「こ、これは痛みりますワン」
イヌイヌ族は、ヨダレを垂らしながら尾を振った。
イヌイヌ族はときどき開拓村にやってきては、塩や油、類、回復薬などの生活必需品を売ってくれているようだ。
今回も荷馬車に商品を満載してやって來ていた。
危険な辺境に足を運んでくれる彼らとは、信頼関係を結んでおきたい。
必要な資を買い終えると、僕は切り出した。
「それで次回からはモンスターフードを仕れて売ってしいのですけど、頼めますか?」
「もちろん。ご用意させていただきます、ワン。いかほどご用でしょうかワン」
「王宮テイマー用達の最高品質フードを10萬ゴールドで、買えるだけ注文したいです」
「そんなに!? かしこまりましたワン」
イヌイヌ族は飛び上がって驚いた。
モンスターたちをテイムして飼うには、まずエサを確保する必要がある。
もちろんエサは最高品質だ。
ケチったりしたら、モンスターたちの健康に関わるからね。
シロも喜ぶだろう。
「それと、これですけど。買い取ってもらえないでしょうか?」
僕は大箱に詰めたヒールベリーと、シロから刈り取ったホワイトウルフのを見せた。
「これはヒールベリー!? しかも、この艶……品質も最高だワン!」
イヌイヌ族が、信じられないといった顔付きになる。彼らはフリフリ、尾を振っていた。ご機嫌らしい。
「同じモノが、あと2箱あるんですけど」
「すごいワン! ヒールベリーは全部で、4萬ゴールドで買わせていただきますワン!
ホワイトウルフのは、3000ゴールドで、どうでしょうかワン?」
両方とも予想以上の高値が付いた。
ホワイトウルフのは、高い魔法防力を備えているため、魔法使いのマントなどにい込まれる素材となる。
「ありがとう。それでお願いします」
「こちらこそ、ありがとうございますワン! 今後ともぜひ、お付き合いのほどをよろしくお願いしますワン!
これほどの品質のヒールベリーは、なかなか手にらないワン!」
「こちらこそ、よろしく頼みます。帰り道は騒だから、ゴブリンの護衛を付けさせてください」
イヌイヌ族は冒険者の護衛を雇ってここまで來たようだが、護衛は多いに越したことはない。
「えっ? ゴブリンの護衛ですかワン?」
イヌイヌ族は首をひねった。
僕が手を叩くと、武裝したゴブリンの一団が部屋にってくる。
一瞬、襲われると思ったのか、イヌイヌ族が椅子からひっくり返りそうになった。
「我らはアルト様の親衛隊だゴブ! お客人を森の外まで、安全にお送りするゴブ!」
ゴブリンたちが敬禮する。
「ま、まさか……この村はゴブリンと共存しているのですかワン?」
「我らは、アルト様の忠実なる配下だゴブ!」
誇らしげにゴブリンたちは頷いた。
「すごいっ……というより、魔族を従えるなんて、どんなテイマーでも無理だと思っていましたワン」
「季節外れの最高品質ヒールベリーといい。ご領主様は一何者なんですかワン?」
「知らないのかワン? オースティンといえば、王宮テイマーの名門貴族様ですワン」
「なんと! これは最優先でご用の品をご用意させていただきますワン」
イヌイヌ族はキラキラした眼差しで、僕を見つめた。
やばい、変な期待をさせてしまったようだ。
「僕は実家とは、ほぼ縁が切れているんで……貴族といっても名ばかりなんです」
「ワン?」
「実は、僕は外れスキル持ちだと、この土地に追放されてきたんです。だから、オースティン伯爵家と繋がりを作りたいなら、期待には応えられないと思います」
僕は正直に告げた。
イヌイヌ族はお互い顔を見合わせる。
「ご事はわかりませんが。ボクたちはアルト様、個人とお付き合いさせていただきたいですワン」
「アルト様なら、シレジアをかな領地に変えられると思いますワン。ボクたちは人を見る目には自信がありますワン。
ぜひ、ごひいきにさせていただきたいですワン!」
イヌイヌ族たちはそう言って頭を下げた。
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