「アルト様！　お帰りなさいませ！」

アルト村に戻ってくると、農作業をしていた村人たちが、手を止めてあいさつをしてくれた。

農地には、赤々と実ったトマトが連なっている。村人たちは、トマトをもいで籠にれていた。

「あれ？　まだ、トマトの収穫には早いハズだけど？」

「それが、ルディア様が手をかざしたら、１日でここまで大きく育ってしまいまして。味もかなりのものです！　おひとつ、いかがでしょうか？」

「ふふん！　この村の作はすべて、早く長して大きく実るようにしたの。ここはアルトと私のの巣だものね！」

ルディアはとっても誇らしそうだ。

彼は本當に、穣の神なのだな。威厳は無いに等しいけれど……

トマトにかぶりつくと、新鮮な甘みが口に広がった。

「……っ！？　うまいぞ、これ！　王都の大規模農園でも、ここまでの品質のトマトは、作れないんじゃないかな？　これも売ったら、かなりのお金になりそうだ」

「今日の晩ご飯は、これを使ったトマトパスタにする予定です」

「それは楽しみだなぁ」

思わずヨダレが出そうだ。

「ホント、マジでうめえなっ！」

ガインもトマトに舌鼓を打っている。

ではかわいそうなので、彼には僕の上著を貸していた。

「あっ！？　その男は悪名高い剣豪ガインじゃないですか？」

「この村で、酒代と宿泊代を踏み倒した、太え野郎ですよ！　俺の娘にもチョッカイを出しやがるし。おい、二度と來るなと言ったろ！」

「わっ、わりぃ。俺はアルト様の家臣にさせていただいたんで……金はちゃんと払うからよ」

村人に詰め寄られて、ガインはしどろもどろになる。

「はぁ～。あんたって、やっぱり犯罪者だったのね？　それじゃ罰が必要だわ！　罰金１０萬ゴールドよ！」

ルディアが、ガインに人差し指を突き付けた。

「１０萬ゴールドって、嬢ちゃん、そりゃあ、め、めちゃくちゃだぞ！」

「犯罪者が罰もけずに、アルト村に居座ろうだなんて。厚かましいにも程があるわ！

ガチャに課金するんだから、ツベコベ言わずに、とっとと出しなさいよ！」

ルディアがガインに詰め寄る。

どちらが強盜であるか、わからない吹っかけ合だ。

「おい、ルディア、ちょっとやり過ぎ……」

「アルトの夢を葉えるためにも、お金が必要なのよ！」

興したルディアは、人の話など聞いちゃいない。

村人たちも、険悪な顔でガインを見ている。

「わかった！　わかったって！　まあっ、ケジメって奴は必要だろうからな！　出大サービスで払うってばよ！」

ヤケクソ気味で、ガインはバックパックから金貨のズッシリった革袋を取り出した。

「やったわよアルト！　これでイヌイヌ族に支払ったお金も賄えたわね！　今すぐ、【神様ガチャ】を回しましょう！」

ガインから引ったくったお金を僕に押し付けて、ルディアはバンザイする。

「まぁ……これもアルト様のためになるっていうんなら、仕方ないぜ。先行投資つーことだな……」

ガインもしぶしぶだが、納得してくれているようだ。

「悪い……。村が発展したら、給料は弾むから。よし、ルディアがそこまで言うなら、課金してみようか」

「やったぁあああ！　次は誰が召喚されるのかしら！」

ゴブリンたちに頼んで、９０萬ゴールドのお金を持って來てもらう。ほぼ全財産だ。

これを突っ込むのはさすがに勇気がるが……

ルディアやバハムート並みの存在が出現してくれるなら、充分に元が取れるだろう。

「１００萬ゴールド課金、投！　ガチャ、オープン！」

僕の目の前で、まばゆいが弾けた。

現れ出たのは、キツネの耳とふさふさの尾を持った小柄なだった。

「溫泉の神クズハ！　參上しましたの！　あなたが私のマスターですの？」

かわいらしいロリボイスで、はあいさつした。

その頭にはタオルが置かれ、手には木製の風呂桶を抱えていた。

『レアリティＳＲ。溫泉の神クズハをゲットしました！』

『クズハを使い魔にしたことにより、クズハの能力の一部をスキルとして継承します。

スキル【薬効の湯けむり】を獲得しました。

【薬効の湯けむり】味方の全ステータスは２倍にアップする湯けむりを発生させるバフ系スキルです』

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名　前：アルト・オースティン

○ユニークスキル

【神様ガチャ】

【世界樹の雫】継承元。穣の神ルディア

【神炎】継承元。神竜バハムート

【薬効の湯けむり】継承元。溫泉の神クズハ（ＮＥＷ！）

○コモンスキル

【テイマーＬｖ１１】

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