《【書籍化】盡くしたがりなうちの嫁についてデレてもいいか?》可い嫁があったかいご飯を作って出迎えてくれる
映畫館でのバイトを終えて家路につくのは、だいたいいつも二十一時過ぎ。
大船駅から歩いて五分のところにあるマンションのエレベーターを昇り、七階に降り立つときの張には、この生活がはじまって一か月が経った今でも慣れることができずにいる。
それどころか、本當にこれが現実なのか疑わしくさえなってくる。
「寶くじに當たったヤツもこんな覚なのかね……」
最奧の部屋の扉まで続く長い廊下を歩きながら、こうやってうなり聲をこぼすのも毎度のことだ。
そうこうしているうちに、七〇七號室の扉の前に辿りついた。
一ヶ月前までは鍵を使って自分で開けていた扉のインターホンを鳴らす。
すぐに『はーい、いま開けるね』という可らしい聲が聞こえてきた。
自分で開ける扉は重く冷たい音を立てるのに、家にいて迎えてくれる人が開ける扉の音は、どうしてこうも暖かく響くのだろう。
私服姿にエプロンをつけた狀態で扉を開いた花江りこは、俺を見るなり照れくさそうにニコッと笑った。
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「湊人くん、おかえりなさい……!」
「た、ただいま」
「このやりとり、まだ照れちゃうね……」
「あ、うん。だな」
ぎこちなく答えた俺の手から、花江りこが鞄を抜き取る。
昭和の亭主関白じゃあるまいし、自分で持つと言っても彼は全然聞いてくれなくて、いつもなぜだかうれしそうに俺の鞄をけ取り、両手で抱きしめるようにしてリビングのソファーまで運んでくれるのだ。
申し訳ないから持たせるのは悪いと思うんだけど、その仕草があまりに可くて、結局あまり強く言えない俺がいる。
「ちょうどごはんができたところだよ。お風呂の準備もできてるけど、先にってくる……?」
室の明かり、漂ってくるおいしそうな揚げの匂い、何よりもし頬を染めた花江りこの可すぎる笑顔。
ここまで幸せな新婚生活を與えられてしまったら、これが現実か疑いたくもなるだろう。
「湊人くん?」
「あ、ご、ごめん。ぼーっとしてた。飯、ありがとう。せっかくだから先にもらうよ。もしかしてこの匂いって唐揚げ?」
「うん、湊人くんの好だから……。よろこんでもらえるかなと思って……」
エプロンの裾を指先でいじりながら、呟くような小聲で言う。
その仕草のいじらしさが俺にとってはえらいツボで、のあたりがギュッと痛くなった。
しかも「よろこんでもらえるかなと思って」って……!
こんなことに言われて、ときめかない男なんているか? いや、絶対いない。
……あれ、でも変だな。
「俺、唐揚げが好きだって話したっけ?」
「……! き、聞いた……と思う」
花江りこはなぜだか慌てているような態度で、さっと視線を逸らした。
自分のことを話すのが苦手なので、好き嫌いについて説明するのも俺にとってはかなりハードルが高い。
でも花江りこが知っているということは、なんらかの會話の中でとっさに口にしたのだろう。
この一か月、間を持たせるために、俺らしくもなく饒舌にしゃべってしまったことが何度かあったから、思い當たる節はあった。
でもそんな雑談の中で俺が口にした好をちゃんと覚えてくれていたなんて。
正直めちゃくちゃうれしい。
ありがとうと伝えたいが、でも間が開きすぎたか……?
花江りこはリビングに向かう俺の半歩後ろを、黙ったままついてきている。
パタパタパタと歩幅の狹さをじさせるスリッパの音をたてて。
絶対に本人には言えないんだけど、俺の後ろを一生懸命ついてきてるじがものすごく小型犬っぽい。
チワワとかトイプードルとかそういう類の。
振り返って様子を伺う勇気はなく、結局俺はお禮を伝えられないままリビングの扉を開いた。
家庭の暖かさをじさせる匂いが、玄関をあけたときよりもっと優しく俺を包み込んでくれた。
こんなの、地味で目立たないキャな男子高生の俺には、の丈にあわない幸せすぎる……!
リビングのり口に棒立ちになったままの俺を、鞄を持った花江りこが不思議そうに見上げてくる。
「……もしかしてまた、『これ現実じゃないかも』って思ってる……?」
ごまかしてもしょうがないから頷くと、花江りこはちょっぴりを尖らせた。
「もう……。私の旦那様は、いつになったら私をちゃんとお嫁さんだって認めてくれるんだろ……」
拗ね顔も可すぎる花江りこを前に、俺はたじろぎまくった。
そう言われても、あの信じられない逆プロポーズをけた日から今日まで、起こる出來事のすべてが夢語のようなのだから仕方ない。
そう思った瞬間、すべてのきっかけとなったあの日の記憶がまざまざと蘇ってきた。
逆プロポーズをけた日、それは今年の一月の話だ――。
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