《【書籍化】盡くしたがりなうちの嫁についてデレてもいいか?》嫁に求められて一緒にゲームをして過ごす日曜日
最近、りこがやけにってくれるようになった。
夕飯を食べた後のんびりする時間だとか、バイトが休みの日とか。
「湊人くん、何か予定ある? もし時間があったら、私と一緒に過ごしてしいなぁ……」
遠慮がちにそんなことを言われたら、どんな予定だってキャンセルしてりこに付き合うに決まっている。
……って別に俺にはたいした予定なんてないんだけど。
そして今日もまた――。
「湊人くん、今日お休みなの?」
「うん。日曜日にバイトが休みなのって久々かも」
「なにして過ごすの?」
「んー……」
平日のバイト後はだいたい映畫を見ているから、たまにはゲームでもしようかな。
そう伝えたら、なんとりこが一緒にやりたいと言い出した。
俺はPS4と、最近買ったスイッチライトがあるから、ふたりでプレイできないことはない。
「……でもどうだろ。ひたすら狩りをするようなゲームだし、りこが楽しめるかな」
「上手にできるかわかんないけど、湊人くんが一緒に遊んでくれるなら、絶対楽しいよ」
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なんてプレッシャーをかけてくるんだ……!
これは絶対、りこを楽しませなければ。
朝食を食べ終えた俺たちは、さっそくリビングのソファーに並んで座り、ゲームをはじめた。
テレビの前のローテーブルの上には、りこが用意してくれたジンジャエールとスナック菓子が並んでいる。
いつかの會話の中で俺がポロっと「ジンジャエールが炭酸の中で一番好きなんだ」と言って以來、うちの冷蔵庫にはジンジャエールが常備されるようになった。
りこの盡くし癖は、こういう些細なところまで完璧に行き渡っているのだ。
りこのことを好きになったのは、盡くしてくれるからなわけじゃない。
でも、なんでもない會話の中から、俺が喜ぶことを見つけてくれて、何も言わずそれを形にしてくれる気配り上手なところを、俺は心から尊くじていた。
だってそんなのもはや神だろ……。
「湊人くん? ぼーっとしてどうしたの?」
「あ! な、なんでもない! ――まずはキャラメイクだね」
好きな子と、休みの日にゲームをして過ごす。
その特別さについては、あえて考えないようにした。
意識したら、途端にへまばかりしそうだからだ。
とにかくりこが俺とゲームしたことを後悔しないように、一杯がんばろうと思う。
俺は、キャラメイクから戦い方まで、一生懸命りこに教えていった。
そして一通り準備が整ったところで、ふたりでフィールドへ出た。
りこはゲームに不慣れなこともあり、きがぎこちないんだけれど、そういうところがまたしい。
だからだろうか。
普段、自キャラが攻撃されようがなんとも思わないのに、りこのキャラクターだと話は別だ。
敵に追いかけられているだけで、ふざけんなという気持ちになるし、何が何でも死なせてたまるかという想いが自然と湧いてきた。
絶対に俺がりこを守る。
「すごい……! 湊人くん、どうしてそんなに強いの……!?」
「はは。ただ慣れてるだけだよ」
「そんなことないと思うな。私には絶対できないと思うもん。ほんとにすごいよ。強さの訣とかってあるの?」
「どうだろ……。今はとにかくりこを守りたい一心で、立ち回ってただけだしな」
「……っ。守りたいって……。……待って。いきなりそんなこと言うの、ずるい。心臓に悪すぎる……」
「え?」
りこはなぜか抱え込んだクッションに顔を埋めて、もだもだしている。
えっ、えっ?
「……はぁ。……ときめき死するかと思ったよぉ……」
りこの聲はくぐもっていて、容までは聞き取れない。
だからどうして、彼がクッションをぎゅっとしてバタバタしているのかはわからないけれど、とにかくそのきが可くて仕方ない。
「湊人くんは、攻撃力が高すぎるんです……」
まだ枕を両手で抱いたまま、りこが上目遣いで俺を見る。
いや、攻撃力の話するなら、りこのその目つきこそやばいって……。
「攻撃力はほら、プレイ時間が多い分、裝備を固めてるから」
「……天然くんめ」
「天然?」
俺、何か変なこと言ったっけ?
思い當たる節がないけれど、りこの可さにやられて深く考えられない。
……だめだ。とんでもなく幸せだ。
気づけば俺は、りこに好きな人がいることも忘れて、心の底からこの時間を楽しんでいた。
でも、待てよ。
……そうか、そうだな。
俺が気にしようが、しなかろうがりこに好きな人がいるという事実は変わらない。
だったらそのことを意識して、死んだ気持ちになって過ごすより、いっそ今みたく頭の中から追い出してしまって、りことの時間を楽しんだほうが得だよ……!
マイナス思考の俺らしくもない考え方だけれど、染みついた思考を強引に捻じ曲げてしまうぐらい、今日りこが與えてくれた時間が素晴らしすぎた。
「ねえ、湊人くん。この防のえっと、材料だっけ?」
「素材?」
「そうそう! 素材はどの子が落とすの?」
「極龍の主核かあ。それはかなり難しい強ボスのクエで、俺がパーティーリーダーになれば連れていけるんだけど」
「私が一緒だと難しい?」
「んー」
りこの言うとおりなのだけれど、でも待てよ。
……強ボスか。
今日始めたばかりのりこと、最近サボり気味だった俺だとかなり厳しい戦いになるのは明白だ。
運にかなり左右される、奇跡を願うようなじになるだろう。
だけど、もしそんな奇跡が起きたのなら……。
――俺はこれから先、りこと過ごす時間を素直に楽しむことにする。
「よし、りこ、挑んでみよう」
「うん……! 足手まといになっちゃうかもだけど、一杯がんばるね……!」
俺も全力でりこの守護者となろう。
それだけじゃなく、できることなら敵だってちゃんと倒して、りこに爽快も味合わせてあげたい。
よし、挑みに行くか。
俺はぐっと歯を食いしばると、コントローラーを握り直した。
◇◇◇
――そして四十五分後。
死闘の末、俺たちは勝ってしまった。
奇跡が起きてしまったのだ。
……こうなったらもう、潔く腹をくくろう。
俺は今の狀況を一杯楽しんでやる。
好きな人に好きな人がいたって、悲観して生きることを義務付けられてるわけじゃない。
たとえりこが俺を好きじゃなくても、俺はりこといられるだけで幸せなんだから、そのささやかな喜びを自分自の手で潰すのはやめよう。
いいか、りこが好きなヤツ。
どこの誰だか知らないけど、おまえの代わりに今俺はりこの隣にいて、彼のとびきり可い笑顔を獨り占めしてるぞ……!
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