《【書籍化】盡くしたがりなうちの嫁についてデレてもいいか?》彼の彥星は今どこに?
以前の俺だったら、悪い反応が返ってくる可能がしでもあるなら、踏み込んでみようなんて絶対考えなかった。
でも今の俺はりこに好きになってもらうため、勇気を出して頑張れる自分に変わりたいと思っているから……。
萬に一つでも、りことの距離をめるためのいいきっかけになるかもしれないのなら、過去のことをりこに話してみたい。
よ、よし!!
「りこっ! 昨日の話に戻るんだけど……! そ、そのぉ、りこが稚園の頃に出會った相手のことで……」
「私の初の男の子のこと?」
「……っ。……その子がりこの初の相手なんだよね」
「うん。私の初で、今でも好きな人だよ」
「……んんんっ!?」
そっ、そういえば……!!
りこがかつて言っていた言葉が蘇ってくる。
『私は稚園を卒業するのと同時に、また父の仕事で海外に引っ越すことになったから、それきりその男の子とは會えなかったの。でもね、中學生になって日本に戻ってきた後で再會できたんだ。――彼はちっとも変わらなくて、子供の頃とおなじようにすごく優しかった。しはにかんだように笑うところを見たとき、がきゅんってなって……「あ、私、五歳の頃からずっとこの人のことが好きだったんだあ」って。そんなふうに自分の想いに気づいたの』
Advertisement
と、ということは……!!
りこの初の相手=稚園の頃の俺(のはず)。
りこの初の相手=今現在もりこが好きな人。
となると……、今現在もりこが好きな人=俺ってことに……!?
一瞬、何もかも忘れて手放しで喜びそうになった。
でも、ガッツポーズをしかけたところでハッと我に返る。
ちょっと待てよ……。
中學生になって日本に戻ってきた後で再會……?
その言い方がし引っかかる。
俺とりこが再會したのは、高校生になってからだ。
「……あのさ、りこ……確か前にその初相手と再會したって話してたよね……?」
「湊人くん、私のした話、覚えててくれたんだ。うれしいな。――そうなの。中學二年生の春に日本に戻ってきて、それから數か月後に再會できたんだ。彼と過ごせた夏休みの思い出は、私の寶のひとつだよ」
「……」
……どういうことだろう。
俺は中二の夏にりこと會ったりしていない。
稚園の頃のことは忘れてしまっていたけれど、さすがに中學時代の記憶ははっきりしている。
だから斷言できる。
りこみたいにかわいい子に會っていたら、忘れるわけがない。
じゃあ一、誰がりことの一夏を過ごしたんだ……?
その人が俺ではないこと以外、わかりようがなかった。
しかもりこは、その誰か(仮にA男としよう)と接し、A男の優しさにれ、A男の笑った顔を見てきゅんとなったことでを自覚したと言っていた。
りこは、A男と稚園時代に知り合った男の子を同一人だと思い込んでいるから、稚園の頃知り合った男の子をずっと好きでい続けたと認識しているようだけれど、殘酷なことにそれはりこの勘違いだ。
りこがを自覚した相手=A男。
りこの思い込みの中で、A男=稚園の頃に知り合った男の子。
だからりこは、稚園の頃に知り合った男の子=初=今でも好きな人、という結論を出したのだから。
A男が俺ではないということは、そもそも稚園の頃に知り合った男の子にをしていたかどうかも怪しくなってくる。
その點を置いておいても、現在りこが好きな相手はA男であって、俺ではないということは確実だ。
……なんか死にたくなってきた。
ほんのちょっと前に、りこが好きな相手は自分なのだと舞い上がっていたのに、今は奈落の果てに突き落とされた気分だ。
A男がうらやましくて仕方ない。
りこがA男を好きになる過程では、俺との期の思い出が多なりともきっかけになったはずだ。
……くそ。りことの記憶をA男に盜まれたような気さえしてくる。
りことの思い出を忘れていた俺に言えた義理じゃないけれど、とにかくやるせなかった。
本當は稚園の頃に聲をかけたのは俺だって名乗り出たいぐらいだ。
だけど……。
好きな相手であるA男との思い出が、本當は俺とのものだったと知ったら、りこは絶対がっかりする。
自分のために、りこの幸せを奪うようなことはできなかった。
だいたい、棚ぼた的にりこから好かれていたと期待するなんて図々し過ぎた。
初心を忘れずに、りこから好かれるための努力をする。
りこからの気持ちを期待するのは、そういうことができてからの話だ。
今の俺は明らかに、りこの彥星として力不足だった。
今日の出來事でショックをけた分、それをバネにして週末のデートをめちゃくちゃ頑張れそうな気がしてきた。
「りこ……! 俺、日曜日がすごく楽しみになってきた……! あっ、もともと楽しみだったけど! それ以上になんかわくわくしてきたっていうか、こんなの初めての気持ちで……って、何言いたいかわからないよね。ごめん……!」
自分に言い訳をして、いつものマイナス思考で弱い人間に戻ってしまわないよう、逃げ道をなくす意味でもしっかり言葉にしておきたかったのだ。
慣れていないせいでワタワタしながら伝えたら、りこの頬がぽっと赤くなった。
「私もすごく楽しみ……!」
「きっと特別な日にするよ。期待しててほしい」
しでも好きになってもらえるように、死ぬほど頑張るから。
心の中でそう呟く。
そしていつか、りこが振り向いてくれたその時には――。
思い出の中の年は俺だっていう真実をりこに伝えたい。
りこはいつもとは様子の違う俺に驚いているのだろう。
顔を赤らめたまま、ぱちぱちと瞬きを繰り返している。
その様子がめちゃくちゃかわいいのは言うまでもない。
運命がき出す日曜日まであと數日――。
亀みたいなスピードで蛇行しながらも一応前進しているのです( ◜▿◝ )
これにて8章は終わりです。
9章の日曜日デートでは急展開を予定しているので(亀からウサギに!)どうぞお楽しみに~!
想欄は楽しい気持ちで利用してほしいので、
見る人や私が悲しくなるような書き込みはご遠慮ください( *´꒳`*)੭⁾⁾
書籍版のイラストを掲載しているので、是非下まで見てください~!↓
沒落令嬢、貧乏騎士のメイドになります
アニエス・レーヴェルジュは美しく、気位の高い伯爵令嬢である。 社交界の麗しの薔薇と呼ばれた彼女は、高嶺の花であった。 一方で、騎士である貧乏貴族のベルナールは、夜會の晩に生まれや育ちを嘲笑うような蔑んだ目でアニエスに見られたことを根に持っていた。 ――最悪の出會いから五年後、アニエスの家は突然沒落する。父親の不祥事が原因だった。 周囲の人々は冷ややかで、何もかも失ったアニエスに手を差し伸べたのは、ベルナールだけだった。 彼は使用人として働くならば、衣食住を保証すると言った。 提案を受け入れるアニエスを見ながら、ベルナールは一人、ほくそ笑む。 「――ざまあみろ、お嬢様、うちでこき使ってやる!!」 しかしながら、一緒に暮らし始めて、アニエスの本當の姿が判明する。彼女はベルナールが思っていたような娘ではなかったのだ。 仕返しのつもりで家に招いたのに、予想の斜め上の展開となる。そんな元令嬢と不器用な騎士の、ほのぼの戀愛物語 表紙畫像:フリー素材ぱくたそ(www.pakutaso.com)
8 188T.T.S.
2166年。世界初のタイムマシン《TLJ-4300SH》の開発された。 だが、テロ組織“薔薇乃棘(エスピナス・デ・ロサス)”がこれを悪用し、対抗するICPOは“Time Trouble Shooters(通稱T.T.S.)”の立ち上げを宣言した。 T.T.S.內のチーム“ストレートフラッシュ”のNo.2い(かなはじめ)源とNo.3正岡絵美は、薔薇乃棘(エスピナス・デ・ロサス)の手引きで時間跳躍した違法時間跳躍者(クロックスミス)確保の為に時空を超えて奔走する。
8 168名探偵の推理日記零〜哀情のブラッドジュエル〜
突如圭介のもとに送りつけられた怪盜からの挑戦狀。そこには亜美の友人である赤澤美琴の父、赤澤勉が海上に建設した神志山ホテルに展示されたブラッドジュエルを盜ると記されていた。寶石を守るため、鳥羽警部と共にホテルに出向く圭介だったが、その前にテロリストが現れる。2つの脅威から圭介は寶石を、そして大切な人を守りきれるのか? 〜登場人物〜(隨時更新していきます。) 松本 圭介 名張 亜美 鳥羽 勇 城ノ口警部補 赤澤 勉 赤澤 美琴 建田 俊樹 藤島 修斗 三井 照之 周防 大吾 怪盜クロウ カグツチ イワ ネク ツツ ヒヤ タケ
8 98勇者のパーティーから追い出されましたが、最強になってスローライフ送れそうなので別にいいです
ある日、精霊大陸に『星魔王』と呼ばれる存在が出現した。 その日から世界には魔物が溢れ、混迷が訪れる。そんな最中、國々は星魔王を倒す為精鋭を集めた勇者パーティーを結成する。 そのパーティーの一員として參加していた焔使いのバグス・ラナー。だが、スキルの炎しか扱えない彼の能力は、次第に足手纏いとなり、そして遂に、パーティーメンバーから役立たずの宣告を受ける。 失意の內に彷徨った彼は、知り合った獣人をお供にやがて精霊大陸の奧地へと足を踏み入れていく。 精霊大陸がなぜそう呼ばれているのか、その理由も深く考えずにーー。
8 81同志スターリンは美少女です!?
歴史にその悪名を知らしめるスターリンは美少女になりました。その中身は日本の元社會人ですが、何の因果か女の子スターリンの中身になりました。 なので、第二の祖國、ソビエト社會主義共和國連邦。通稱USSRを戦禍から守っていこうと思います。 やることの多いソ連ですが、まずは國內のゴミ掃除から始めましょう。 いや、割とマジで國內の腐敗がヤバイのです。本當に、頭を抱えるくらいに真剣に。 あと、スターリンの著しいイメージ崩壊があります。 *意味不明な謎技術も登場します(戦力には関係ありませんが、ある意味チートかも)
8 165破滅の未來を知ってしまった悪役令嬢は必死に回避しようと奮闘するが、なんか破滅が先制攻撃してくる……
突如襲い掛かる衝撃に私は前世の記憶を思い出して、今いる世界が『戀愛は破滅の後で』というゲームの世界であることを知る。 しかもそのゲームは悪役令嬢を500人破滅に追いやらないと攻略対象と結ばれないという乙女ゲームとは名ばかりのバカゲーだった。 悪役令嬢とはいったい……。 そんなゲームのラスボス的悪役令嬢のヘンリーである私は、前世の記憶を頼りに破滅を全力で回避しようと奮闘する。 が、原作ゲームをプレイしたことがないのでゲーム知識に頼って破滅回避することはできない。 でもまあ、破滅イベントまで時間はたっぷりあるんだからしっかり準備しておけば大丈夫。 そう思っていた矢先に起こった事件。その犯人に仕立て上げられてしまった。 しかも濡れ衣を晴らさなければ破滅の運命が待ち構えている。 ちょっと待ってっ! ゲームの破滅イベントが起こる前に破滅イベントが起こったんですけどっ。 ヘンリーは次々に襲い掛かる破滅イベントを乗り越えて、幸せな未來をつかみ取ることができるのか。 これは破滅回避に奮闘する悪役令嬢の物語。
8 83