《【書籍化】誤解された『代わりの魔』は、國王から最初のと最後のを捧げられる》19 虹の乙 1
その日は珍しく、フェリクス様と一緒に夕食を取る予定となっていた。
とはいっても、貴族の方を招いての晩餐なので、あくまで公務の一環だ。
フェリクス様は執務室から直接向かわれるとのことで、晩餐室で合流する段取りになっていた。
そのため、私はこれまでのフェリクス様の服裝を思い浮かべながら、最大限の推測を働かせ、「これだわ!」と水のドレスを選んだ。
けれど、私の推測能力は優れていなかったようで、フェリクス様が著用していた服は紺に紫の差しを加えたものだった。
「ああ、全然違うわね。これではお揃いに見えるはずもないわ」
そう言いながら、がっかりと肩を落としたけれど、扉の外から覗き見たフェリクス様が楽しそうに笑っていたためびっくりする。
「まあ、フェリクス様が聲を上げて笑われるなんて、滅多にないことだわ」
お相手は誰かしらと室を見回してみると、晩餐室にいるのは、フェリクス様に加えて、1組の男だけだった。
テーブルの上にセットされているお皿の合から、どうやら今日のメンバーは私を含めて4名のようだと理解する。
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普段であれば、10名程度で行う食事會に、たった2名しか呼ばないなんて、特別のお客様かよっぽど親しい相手なのかしらと首を傾げた。
そもそもフェリクス様は國王の立場を慮って、時間ぴったりに參加するのが常なのだけれど、今日は10分前にもかかわらず、既に晩餐室に到著している。
マントルピースの周りに集まって、仲が良さそうに談笑している様子を目にし、部屋にりにくい気持ちになっていると、私に気付いたフェリクス様が扉口まで迎えに來てくれた。
「ルピア、清廉な水のドレスは君によく似合っているよ」
そう褒めてくれたフェリクス様の笑顔がいつも通りだったため、ほっと安心する。
「ごめんなさい、遅くなってしまって」
「もちろんそんなことはない。私を始め、皆が早く來すぎただけだ」
そう言うと、フェリクス様は今夜のお相手を紹介してくれた。
「こちらはバルテレミー子爵家のテオと、その妹のアナイスだ」
「初めまして、ルピア・スターリングです」
フェリクス様のアカデミーの同級生だと紹介されたバルテレミー子爵は、橙の髪をした穏やかそうな男だった。
子爵の妹であるアナイスは、橙をベースに赤と黃のメッシュがった髪をしていたけれど、彼の髪に見覚えがあるように思われて記憶を辿る。
「……アナイスは、『虹の神祭』で聖水を大地にお還しした『神のし子』の方ね。まあ、その節はご苦労様でした」
彼の行為をねぎらうと、アナイスはまんざらでない表をした。
「王族の方を除いて、3の虹髪を持つのは私だけですから、毎年私がお役目を務めますの。今年も無事にフェリクス陛下のお役に立つことができて、安心しましたわ」
そう言うと、フェリクス様の腕に手を掛けて、正面から彼に笑いかけた。
その気安い態度を見て、彼とフェリクス様が親しい間柄であることが推測され、がどきりと跳ね上がる。
「アナイスはいつまでたっても子どものようだな」
フェリクス様は笑顔を浮かべたまま彼の手を自分の腕から外させると、皆に座るよう促した。
その際、私の背に手を添えて私の席まで案し、その後に自分の席に著いたので、バルテレミー子爵が驚いたように目を見開く。
「これは驚いた! フェリクス陛下が王妃陛下の著席を手助けするなんて! いや、もちろんフェリクス陛下が不親切だと思ったことはないが、陛下は生まれながらの王族だからね。かいがいしく誰かの世話をするなんて、思いもしなかったよ!」
フェリクス様は澄ました表でテオの言葉をけ止めた。
「獨のテオに、私の気持ちが分かるはずもない。この會話の続きは、君が結婚した際に始めることにしよう」
「結婚したというだけで、先んじていると言わんばかりのその態度! ああ、陛下、思い返せば、確かにあなた様はそのような方でしたよ!!」
そう言い返したテオと2人、聲を上げて笑うフェリクス様の気安い姿を見てびっくりする。
すると、そんな私に気付いたフェリクス様が説明してくれた。
「先ほどは同級生と説明したが……間違いではないが、テオは友人と表現した方が的確な間柄だ。親友、あるいは悪友と呼んだ方がより正確なのかもしれないが」
「まあ、フェリクス様の親友!」
國王であり、その前は王太子であったフェリクス様に親友がいることは、非常に難しいことで、それゆえ大事にすべきことだと思う。
私が夢の形でフェリクス様の毎日を見続けていた際には、テオを見た覚えがなかったけれど、全てを覗き見ることができるわけもないので、貴重な報をもらったと嬉しくなる。
興味深く話の続きを待っていると、フェリクス様は子爵の妹に視線を移した。
「とはいっても、先に知り合いになったのはアナイスの方だがな。見ての通り、彼は3の虹髪を持っているが、3の虹髪が発現するのは滅多にないことだからね。昔から々な場で一緒になる機會が多かったのだ」
フェリクス様の説明を聞いたアナイスは、嬉しそうに微笑んだ。
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