《【書籍化】誤解された『代わりの魔』は、國王から最初のと最後のを捧げられる》45 後悔 6
そこまで口にすると、私は目を瞑って、ぐっと眉間に力をれた。
様々ながに渦巻いていたため、それ以上は一言だって口にできると思えなかったし、言うべき思いは全て言葉にしたと思ったからだ。
―――ルピアはい頃からずっと、私を見ていてくれた。
優しい、無心の思いやりを與え続けてくれたのだ。
対して、私は一何をルピアに返せただろうか。
これまでの行いを思い浮かべ、彼の真心にどれほど応えられていたかを考える。
……結婚當初は、私なりに誠意を持って、彼に接することができていたのではないだろうか。
もちろん、ルピアの行為と比較すると、話にもならないレベルだろうが、彼は幸せそうに笑ってくれていた。
それなのに、―――私の酷い誤解が全てを破壊したのだ。私が……。
ルピアへの不當な行為を思い返し、絶的な気持ちを味わっていると、足元で掠れた聲が聞こえた。
初めのうちは無視していたが、何度も繰り返し名前を呼ばれたため、目を開けて視線をやる。
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すると、床に這いつくばったギルベルトが、真っ青な顔で私を見上げていた。
「へ、陛下……私は大きな過ちを犯しました。……フェ、フェリクス王は側妃を娶る用意があると、王妃陛下にお伝えしたのです!」
瞬時に、私の顔がギルベルト以上に青ざめる。
「……何だと?」
言葉は耳にったものの、言われた意味が理解できない。
目を見開いてギルベルトを見つめると、彼は震える両手を組み合わせた。
「私は王妃陛下が恐ろしかったのです。……王妃陛下が嫁いで來られた當初、王妃陛下が頻繁に執務室を訪れられるので、公務の妨げになると判斷し、今後は夜食をお持ちするのをお控えくださいと申し上げたことがありました」
「なぜそんな余計なことをしたのだ!」
またもや私の知らない話が飛び出してきたため、腹立たしくて叱責する。
ギルベルトは、いつの間にこれほど暗躍していたのだ。
「……それなのに、王妃陛下は一切不快に思われることなく、『宰相の考え通り、私ではフェリクス様に不足しているわね。今後は一杯頑張るから』というようなことをおっしゃったのです。あの時、王妃陛下は私と全く異なるもの……優しさだとか、思いやりだとか、……善いものだけで構されていることに気付きました」
話を聞いて、ルピアの優しさがよく分かる話だなと、ほっこりする。
しかし、ギルベルト自はその當時、ルピアの善を良いことだと思っていなかったように思われたため、顔をしかめて話の続きを聞く。
「このような方が相手であれば、フェリクス王は魅了されてしまうのではないかと、私は恐怖を覚えました。そして、実際に、王は王妃陛下にどんどん傾倒していかれ……最後には、不義の子ですら自分の子として引きけるとおっしゃったのです!」
その時のことを思い出したのか、ギルベルトは恐怖に顔を引きつらせると、両手で髪をかきむしった。
「私の一族は先祖代々、スターリング王家に仕えてまいりました。クラッセン侯爵家は王家のためにあり、支えていくことが喜びでしたのに、王は……よりにもよって、王のがらない子を王家の子と見做すと決斷されたのです! ―――なくとも、當時の私はそう考えていました。……過ちは、繰り返されるものです。王妃陛下がお産みになる子どもの全てに、フェリクス王のがらない可能があることに、私は戦慄しました」
「それは完全なるお前の妄想だ!!」
勝手な想像で、何てところまでルピアを貶めるのだと、かっとなってギルベルトを叱りつけると、彼は走った眼を私に向けてきた。
「……ですから、私が何とかしなければいけないと考え、その日のうちに王妃陛下の元を訪れました。そして、結婚契約書に基づいて、王は側妃を娶るとお伝えしました。王以外の子どもを籠られている王妃陛下には、今後一年ほど王の子をお産みすることができないので、王は速やかに側妃を娶られると。そのことに関して、王妃陛下の承諾は必要ないとも申し上げました」
「何てことをルピアに言ったのだ!!」
私は思わず椅子から立ち上がると、わなわなと震える両手をの橫で握りしめた。
そうでもしなければ、ギルベルトの首を締め上げてしまうと思ったからだ。
しかし、今度は自由な足で、真っ青な顔をして床に這いつくばっているギルベルトを踏み潰したい衝に駆られる。
「側妃相手としてバルテレミー子爵家のアナイス嬢を予定していること、事前に王との相を確認するため、王宮に彼の部屋を用意することをお伝えしました。その際、王妃陛下の口から直接、ご懐妊されているのは王の子だと教えていただきましたが、私は信じもせず、アナイス嬢は元々王の妃に定しており、そこに割り込んできたのがルピア妃だと、王の側に必要なのは『虹の乙』であると斷言したのです」
「ギルベルト!」
私は思わずギルベルトの倉を両手で摑むと、床に這いつくばっていた相手を力任せに引き上げた。
「そんな話を聞いて、ルピアがどう考えると思うのだ! しかも、お前の言葉選びは最悪だ! 王との相など……普通に考えたら、連想するのは閨事だろう! お前は妊婦を相手に、なぜそんな心労をかける話をするのだ!? いや、待て……アナイスは王宮に來ていたぞ。私がその相とやらを確認したと誤解されていたら、どうやってルピアに潔白を証明すればいいのだ!?」
怒りのまま、がくがくとギルベルトを揺さぶると、彼は目を白黒させた。
「お、王……」
彼の間が抜けた表を見て、怒りが倍増する。
「しかも、ルピアが私とアナイスの間に割り込んだなど……何の関係もない者同士の間に、どうやって割り込めるのだ!? ただでさえ私は多くの間違いを犯して、ルピアの審判を待つだというのに、もしもルピアが誤解をして、を引こうだなどと考えたら、私はどうすればいいのだ!? ああ、それよりもルピアはそんな誤解をしたまま、眠りについたのか!? ギルベルト、本當にお前は何てことをしでかしたのだ!!」
力を込めて服を引っ張ったため、首元が絞まったようで、青白かったギルベルトの顔は紫に変してきた。
しかし、彼は一言も苦を言うことなく、掠れた聲を出した。
「と……、とんでもないことをしでかしたことは理解しております。私は王妃陛下に、『3年かけて歪みが正される』と、話をしました。しかし、そうではなく、私自が正しかったものを歪めてしまったのです。フェリクス王、本當に申し訳ありませんでした」
「私ではなく、ルピアに謝れ!!」
私は怒りを込めて、ギルベルトの謝罪の言葉を叩き返した。
ルピアに対して、私は多くの間違いを犯した。
もちろん一番悪いのは私だが、王の過ちを正すのが宰相の役目ではないか。
「宰相職の者が、私以上に間違いを犯してどうするのだ。……私がルピアなら、こんな國は嫌になって、母國へ帰るぞ……」
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