《【書籍化】誤解された『代わりの魔』は、國王から最初のと最後のを捧げられる》57 慕 1
ルピアが眠り始めてから、3か月が経過した。
私は週に數度、執務室に顔を出すようになっており、ルピアの寢室に戻ると、離れていた時間について、眠る彼に報告することが習慣になっていた。
「ルピア、今日は久しぶりに大臣たちと面會したよ。私にとっては世界が造り変えられたような長い時間に思えたが……皆、前回會った時と何も変わっていなかった。そうだね、まだ3か月しか経っていないのだね」
私は寢臺の橫に置いた椅子に座ると、眠り続けるルピアの手を取り、ゆっくりとさすった。
「……また細くなったね。君が毎日を過ごす力や、取り込んだ私の毒を解毒する力を、このが擔ってくれているから、日一日と細くなっていくね……。ああ、君を見る度に後悔ばかりだ。スープのひとすくいでも、果のひとかけらでも、あと一口だけでも君に食べさせておくべきだったと悔やまれる」
でることで、ルピアのにしが付いたように思われ、もうしだけでる手に力を込める。
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「私は君の食事に無頓著だった。もっと君の側にいて、面倒を見るべきだったのに」
そう零す己の腕も細くなっていることに気が付いて、偉そうなことを言う割には自分の面倒も見られていないじゃないかと、思わず苦笑した。
―――毎日の生活において、楽しいことはほとんどなかった。
食は失せ、あれだけ熱心だった國政への意も湧いてこない。
毎日考えることは、ルピアが今日一日を苦しみなく過ごせるだろうかということだ。
楽しいことがあるとすれば、ルピアの表が穏やかそうに見える瞬間に気付くことだ。
自分でもルピアに傾倒し過ぎていると思うが、止められる気がしなかった。
……考えれば考えるほど、ルピアには1點の落ち度もなかったから。
それなのに、彼が不幸な気持ちのまま眠っているのは、全て私のせいだ。
ルピアの従兄であるアスター公爵は、この國に滯在中、ルピアについて多くのことを教えてくれた。
彼がどれほど可らしい子どもだったか、どれほど皆から大事にされていたか、……い頃から私のことを気に掛けてくれ、魔の力で様子を見てくれ、救ってくれていたかということを。
それは淡々と綴られたルピアの手紙から読み取れたものとは異なり、が締め付けられるような話で、私は何度も涙を零した。
『君は泣き蟲だな』と、公爵から呆れられたが、い時に涙して以來、私が泣くのはルピアのことのみだ。
そして、そんな私に追い打ちをかけるように、公爵は次々とルピアの話をする。
彼は実際には語學が苦手で、我が國の言葉を覚えるのに凄く苦労した話や、私とダンスを踴ることを想定して、ダンス講師にはいつだって長の者を選んでいた話を。
それから、私が戦場でけた傷の代わりとなり、2年間、聖獣の城で眠っていた話まで。
公爵は何一つ隠し立てすることなく、尋ねたことには答えてくれた。
恐らく、ルピアもそうだったはずで、私が尋ねれば何だって教えてくれただろう。
尋ねなかったのは、私の落ち度だ。
そのため、私は知るべき多くのことを知らずに過ごし、結果、ルピアへの対応を誤ったのだ。
私はもっと彼を大事に扱うべきだった。
そして、もっと彼に謝し、彼を守り、を捧げるべきだった。
ぽたり、ぽたりと涙が零れ落ちる。
毎日、変わらずにじるのは、ルピアへの謝だ。
未だにどす黒いを吐くことがあり、日一日とが細くなっていくのに、それでも命をつないでいてくれることへの謝。
ルピアが生きていてくれるならば、何だって堪えられる。
そして、改めてこの國を整えようと心に誓った。ルピアがしでも暮らしやすい國になるように。
「ルピア、ありがとう。ゆっくりでいいから、どうかから全ての毒を抜いてくれ」
そう言うと、私はルピアの髪をでた。
白くてしい髪を。
「ルピア、君の髪は本當にしいね。前にも言ったが、君の髪は我が國が誇るレストレア山脈の積雪のように輝いているし、瞳は國花と同じ紫をしている。一目見た瞬間に、君は我が國にぴったりの妃だと思ったのだよ。……この白い髪の方が、虹の髪より何倍もしいと、心からそう思う」
私は彼の髪を一房手に取ると、恭しく口付けた。
しばらく彼を眺めた後、私はこの部屋に持ち込んだ執務機に向かうと、書類仕事を始めた。
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