《【書籍化】誤解された『代わりの魔』は、國王から最初のと最後のを捧げられる》65 王妃の戸い 2
「……………」
私は意識もなく、ただ10年もの間、眠り続けていたのだ。
そんな私の側にいたからといって、それは一緒に生活したとは言えないし、ただ眠る私に寄り添って暮らすような、そんな寂しい毎日を彼に過ごしてほしいとも思わない。
そう考えて、困ったように見つめると、フェリクス様は絞り出すような聲を出した。
「それに、もしも…………もしも、君が去ってしまったとしても、私には君以外必要ない。一人でいて、君を想っている方が何倍もいい」
はっきりと斷言されたにもかかわらず、私は理解できずに大きく首を傾げた。
……目覚めた時にもフェリクス様は、妃は私1人だと言っていたけれど、あれはどういう意味だったのかしら、と再び疑問を覚えたからだ。
―――王妃が10年も不在にすることの意味は分かっている。
フェリクス様は優しいから、私が側にいれば私を優先してくれるけれど、この國の総意はそうでなかった。
なくとも一の文と武は、私以外の方を妃にとんでいたのだ。
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そのような狀況の中、私が彼の唯一の妃であり続けることは、誰にとっても不幸だろう。
だから、……私は眠り続けることにしたのだ。
い魔の心が、この國の正しい在り方を邪魔しないように。
「王妃が眠り続けるのであれば仕方がない」と誰もが納得して、この國が正しい方向に進み出すように。
そして、フェリクス様は王だから、考えが揺れたとしても、最後には國益を優先するはずだ。
そんなフェリクス様は、私の表を見て何かを察したらしく、慌てた様子でベッドの橫に跪くと、私の手を握ってきた。
「ルピア、私には君だけだ。その気持ちは1度も変わったことはないし、ったこともない。……私が勝手に誤解して、君に酷い態度を取った時も、君から離れようとは決して思わなかった」
「……………」
どうして彼の言葉がに響いてこないのだろう。
フェリクス様は私を想う言葉を、出し惜しみせずに贈ってくださる。
これほどの言葉を彼に言わせるのならば、私も同じ言葉を返すべきだろうに。
「……フェリクス様、ごめんなさい。先ほどあなたがおっしゃったように、私の心からはあなたを想う気持ちが抜け落ちてしまっていて、同じ言葉を返せないの。そして、そのことがすごく心苦しいわ。だから、もうこれ以上、私のために言葉を重ねないでほしいの」
すると、フェリクス様はくしゃりと顔を歪めた。
「ああ……そうだろうね。君はそういう人だ。……ルピア、君はこれまで1度も、私への好意を直接口にしたことがない。恐らく10年前の君は、私が同じ言葉を返せないだろうからと、好意を口にするのをためらったのだろう。でも、ごめんね。私は君が同じ言葉を返せないのが分かっていても、君への好意を口にするから」
「どうして」
私は々な意味で混していた。
確かに私はこれまで1度も、直接彼に『好きだ』と伝えていないけれど、どうしてそのことに気付いたのかしらと不思議に思い、それから、なぜ彼は私に好意の言葉を告げようとしているのだろうと戸いを覚える。
「なぜなら私は君に求しているのだから。……君が眠っている間、私は何もできなかった。そして、ただ靜かに眠り続ける君を見て、恐怖を覚えていた。君が年を取ることなく眠っている間に、私だけが一人老いて、死んでいくのではないかと。だから、君に頼んだのだ。『君が私を好きでいることが苦しくて、そのせいで目覚めを拒絶するのならば、その気持ちを捨てればいい』と」
「えっ」
知らなかった。
フェリクス様は眠る私に、そんな言葉を掛けてくれたのだ。
そして、私には彼の言葉が聞こえたのかもしれない。
だからこそ、大好きだったフェリクス様の言葉だったからと、私は許された気持ちになって、これほどすっきりと心を捨て去ってしまえたのかもしれない。
私の中から心が消え去った理由を理解したように思い、納得していると、フェリクス様の聲が響いた。
「そして、同時に私は誓ったのだ。『君が私への思いを忘れても、私はずっと君をするし、必ず君を取り戻すから』と」
「……………」
そんな彼の言葉を聞いて、私は途方に暮れる。
フェリクス様が一どのようなつもりで、その言葉を口にしたのかが分からなかったからだ。
話をしない、もない、眠っているだけの相手に、好意を持つことなどあり得ない。
だから、私が眠り続けていた以上、彼が何らかの新たなを抱いたとしても、それは好意でないはずだ。
「君は私の言葉に従い、目覚めるために、私への心を捨て去ったのだ。……ルピア、君からもらった手紙に、君は7歳でに落ちたとあった。7歳から10年間、私にをし続けてくれたから、忘れるのに10年かかったのだろう」
ああ、そうだ。眠る前に、彼に長い手紙を書いたのだった。
私が魔であることを伝え、彼をどれだけ思っていたかを手紙で伝えたのだ。
なるほど、だからこそフェリクス様は、私が彼にをしていたことに気付いたのだろう。
「だが、君が忘れることに費やした10年間を、私は君にすることに費やした。……いや、違うな。當時の私に自覚はなかったが、君に出會った6歳の時から、私も君にをしていたのだ。世界が、虹の神が私をしてくれているとじていたが、それは私の勘違いで、私にをくれたのは君だった。そのことを理解した途端、ああ、神にじていた謝の心は、正しくは君への想いだったのだと理解したのだから」
「……………」
多分、それはフェリクス様の思い違いだ。
彼は私にしていると考えているのかもしれないけれど、実際には以外のだろう。
私はそう間違いなく確信しているというのに、フェリクス様は苦しそうに言葉を続けた。
「ねえ、私は何年、君にしていることになるのだろうね。こんな私が君を諦められるはずもないだろう?」
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