《斷罪された悪役令嬢は、逆行して完璧な悪を目指す(第三章完結)【書籍化、コミカライズ決定】》05.悪役令嬢は兄とお茶をする
人と妹はその典型だ。負けてなるものか、と思う。
これはどちらかというと娼婦としての矜持だった。
「お兄様、ディーは、わたくしはいい子になるって誓うわ。お勉強も真面目にする。だからお兄様は、わたくしの傍からいなくならないでっ」
「あぁ、約束する。俺はクラウディアの傍にいるよ。これからは母上に代わって、俺がクラウディアを守る」
こうして兄妹は、母親の墓前で誓い合った。
それを気まずい表で見守る父親に、心の中でクラウディアは舌を出す。
(ふんっ、実子に想を盡かされていることを思い知ればいいわ。けど、フォローも必要よね)
こちらから歩み寄るのは癪だが、公爵家當主は父親なのだ。
その権力は無視できない。
ヴァージルの腕から抜け出すと、これ見よがしに涙を拭い、父親と向き合う。
「お父様にも、心をれ替えることを誓います。……しでも認めていただけるように」
「う、うむ」
言い終えると、目に溜めていた涙を伝わせた。
Advertisement
今のでは加減が難しいものの、今回はタイミング良く上手くいく。
眉を下げる父親の表に、まずまずの手応えをじた。
きっと父親は母親のことを嫌ってはいても、恨んではいなかったのだろう。
母親もしおらしい姿を見せていれば、二人の関係は違ったものになっていたかもしれない。
(これは、はじまりに過ぎないわ。フェルミナが悪なら、わたくしはそれを越える悪、完璧な悪を目指すのよ!)
屋敷に帰ったクラウディアは、侍長のマーサにも誓いを立てた。
「お母様のような、完璧な淑になるわ」
その言葉に、マーサは目を潤ませて喜びをわにする。
「クラウディア様なら、きっとなれます!」
「お母様の娘だもの。これからもよろしくね」
「はい……!」
誓い通り勉強に専念すれば、屋敷の中でクラウディアを見る目は、日に日に良くなっていった。
癇癪持ちのわがまま娘が、すっかり大人しくなったのだ。
それだけじゃない。
禮儀作法も早々ににつけ、家庭教師からも太鼓判をおされるようになれば、クラウディアを悪く言う者は誰もいなくなった。
クラウディアにしてみれば、娼館で學んだことのおさらいをしただけだったが。
人の機微にも敏になったおかげで、ヴァージルとの関係も変化していた。
「お兄様、そろそろ休憩にいたしませんか?」
侍に茶の載ったワゴンを押してもらいながら、ヴァージルの部屋を訪ねる。
ちょうど勉強の手を止める頃合いだと知っての上でだ。
妹の気遣いに、ヴァージルの顔が綻ぶ。
笑っているヴァージルの記憶がないクラウディアにとって、これは大きな進歩だった。
しかも。
「ディーが來てくれたなら、斷るわけにはいかないな」
稱で呼ばれるようにもなれば、ヴァージルが妹を可がっていることは傍目にもわかる。
「今日はわたくしがお茶を淹れますわ」
「ディーが?」
「ふふ、お兄様に飲んでいただきたくて、練習しましたの」
完璧な所作で紅茶をれるクラウディアの姿は、とても十四歳のとは思えない。
けれどまださの殘る見た目であるがゆえ、ヴァージルの目には微笑ましくも可憐に映った。
「ディーも習い事が増えて忙しいだろうに、いつ練習したんだ?」
「合間の休憩時間にですわ。最初に淹れたお茶なんて、渋くて飲めたものじゃありませんでしたのよ」
明るく、それでいて下品にならない程度にころころと笑うクラウディアを、侍たちも優しく見守る。
大人だった頃の覚に引きずられて失敗することもあったが、それを含めてクラウディアは周囲からされていた。
最近では、張り詰めていた屋敷の雰囲気も和やかになってきている。
「さぁ、召し上がれ」
わざと得意げにカップを差し出す。
そうして軽く笑いをいつつ、クラウディアも席に著いた。
紅茶を口に含むなり目を見開くヴァージルに微笑む。
「いかがですか」
「おいしい……凄いな、今まで飲んだお茶の中で、一番おいしいかもしれない」
「本當ですか!? 嬉しい!」
喜びの表現は、わざとらしくない程度に大袈裟に。
紅茶も、としての反応も、クラウディアはヴァージルの好みを把握済みだった。
そうとは知らず、ヴァージルは妹のらしさに、表をとろけさせる。
「これならまた飲みたいな」
「ぜひ! お兄様のためなら、いつでもお淹れしますわ」
ヴァージルから好を得て、クラウディアもを潤す。
「みんなが協力してくれたおかげね」
「みんなとは?」
「侍たちですわ。特に古くから仕えてくれている方たちの働きは素晴らしくて。お手本に淹れていただいた紅茶は、どなたのもおいしくて銘をけました」
「てっきり侍たちとは、距離を置いてると思っていたが」
【書籍化】追放された公爵令嬢、ヴィルヘルミーナが幸せになるまで。
「お前との婚約をここで破棄する! 平民の研究者が功績を上げて勲章を與えられたからな。お前をその褒美として嫁がせよう!」 王太子の婚約者であった公爵令嬢ヴィルヘルミーナは、夜會の席で婚約を破棄されて平民との結婚を命じられる。 王太子に嵌められ、実家である公爵家からも僅かな手切れ金だけ渡して追放され、顔も見たことのない平民の研究者の元へと嫁がされることとなった。 ーーこれがわたくしの旦那様、ダサい男ですわね。 身長は高いがガリガリに痩せた貓背で服のサイズも合わず、髪はもじゃもじゃの男。それが彼女の夫となるアレクシであった。 最初は互いを好ましく思っていなかった二人だが、ヴィルヘルミーナは彼の研究を支え、服裝を正すなかで惹かれ合うようになる。そして彼女を追放した実家や王太子を見返すまでに成り上がって幸せになっていく。 一方、彼女を追放した者たちは破滅していくのであった。 【書籍化】が決まりました。詳細はいずれ。 日間・週間総合ランキング1位 月間総合ランキング2位達成 皆様の応援に感謝いたします。
8 127骸街SS
ーーこれは復習だ、手段を選ぶ理由は無い。ーー ○概要 "骸街SS(ムクロマチエスエス)"、略して"むくえす"は、歪められた近未來の日本を舞臺として、終わらない少年青年達の悲劇と戦いと成長、それの原動力である苦悩と決斷と復讐心、そしてその向こうにある虛構と現実、それら描かれた作者オリジナル世界観ダークファンタジーです。 ※小説としては処女作なので、もしも設定の矛盾や面白さの不足などを発見しても、どうか溫かい目で見てください。設定の矛盾やアドバイスなどがあれば、コメント欄で教えていただけると嬉しいです。 ※なろう・アルファポリスでも投稿しています! ○あらすじ それは日本から三権分立が廃止された2005年から150年後の話。政府や日本國軍に対する復讐を「生きる意味」と考える少年・隅川孤白や、人身売買サイトに売られていた記憶喪失の少年・松江織、スラム街に1人彷徨っていたステルス少女・谷川獨歌などの人生を中心としてストーリーが進んでいく、長編パラレルワールドダークファンタジー!
8 55Lv.1なのにLv.MAXよりステ値が高いのはなんでですか? 〜転移特典のスキルがどれも神引き過ぎた件〜
全校集會で體育館に集まっていた人間達が全員異世界に召喚された!? おいおい冗談はよしてくれよ、俺はまだ、未消化のアニメや未受け取りのグッズを元の世界に殘してきてるんだ! え、魔王を全て倒したら元の世界に返してやる? いいよ、とっととやってやるよ! ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 學校関係者全員が勇者召喚されたとある高校。 〜元の世界に殘してきた、あなたの大切な物の數だけ、代わりにチートスキルを付與します〜 神のその言葉通りに全員が、それぞれ本當に大切な所持品の數だけチート能力をもらうことになる。 全員がだいたい平均2〜4くらいしか付與出來なかったのだが、重度のコレクション癖のある速水映士だけは1000ものスキルを付與できることになっていて!? しかも最初に極運を引いたことで、後に付與されたスキルが超再生、超成長、更には全屬性特攻etc,etc……というあからさまに強そうな能力たち! 元の世界ではただのヲタクソ野郎である彼がこの世界では英雄! しかし、彼は英雄の座には興味を一切示さず!? 「魔王なんてサクッと全員倒してやる。俺には、さっさと地球に戻って未消化のアニメを消化するっていう使命が殘ってるからな!」 ギャグ要素強めな情緒不安定ヲタクソ野郎×チート能力の組み合わせによる、俺TUEEEE系異世界ファンタジー! ※小説家になろうにも投稿しています 《幕間》噓つきは○○の始まり、まで改稿済み 2018/3/16 1章完結 2018/6/7 2章完結 2018/6/7 「いや、タイトル詐欺じゃねぇか」と指摘を受けたため改題 第63部分より3章スタート 第2章まで完結済み 2月3日より、小説家になろうにて日刊ランキングに載せていただきました! 現在作者都合と病弱性により更新遅れ気味です。 《番外》は一定のテーマが當てられてます。以下テーマ。 2018バレンタイン→初めてのチョコ作りをするシルティス 2018ホワイトデー→理想の兄妹の図が出來上がるエイシルコンビ 2018エイプリルフール→策士な王女様と騙された勝気少女 ◇◇◇ ご不明な點がございましたらコメントかTwitterのDMにどうぞ 7/9 追記 公開しようと予約した一括投稿のうち最終話のみ、予約ではなく後悔にしてしまっていたので削除しました。 全體的な更新はまだ先になります。
8 156存在定義という神スキルが最強すぎて、異世界がイージー過ぎる。
高校生の主人公 ─── シンはその持つスキルを神に見込まれ、異世界へと転移することに。 シンが気が付いたのは森の中。そこには公爵家に生まれ育ったクリスティーナという少女がいた。 クリスティーナを助ける際に【存在定義】という名の神スキルを自分が持っていることに気付く。 そのスキルを駆使し、最強の力や仲間、財寶を手に入れたシン。 神に頼まれた事を行うのと一緒にした事は……のんびりな日常? ※基本のんびりと書いていきます。 目標は週一投稿!
8 84女神に拾われた俺は女神の為に頑張ろうと思う
目を開けるとそこには無の空間に1人の女性がいた 何とその女性は女神だったのです 主人公は魔族として成長していく、人間化、魔物化のスキルを使って目指せ魔王!目指せ世界平和! 気付かぬ內に死んでいた俺を拾ってくれた女神の ために頑張ろうと思う Twitter始めました @kuma_chan066 是非フォロー下さい!返します! 広めてくれると嬉しいです! 投稿頻度は1話1話完成したら投稿します 要するに不定期なんです!すいませぇん! コメントやいいねをしてくれると凄く勵みになります! 初投稿なのでおかしな點が多々あると思いますが暖かい目で見てくださいm(*_ _)m
8 85胸にヲタクという誇りを掲げて
ヲタクであることを隠して生活している少年 ヲタクになったことを誇らしく思う少女 このふたりが出會う時、ヲタク達はーー ※不定期連載です!
8 107